基底細胞がんで再発の恐れ。手術以外の治療法はないか?

回答者・高橋 聡
国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科医師
発行:2014年8月
更新:2014年11月

  

眼の下に2㎝大の基底細胞がんができ、手術を受けました。しかし、術後の病理検査で断端陽性と診断され、主治医からは再発の恐れがあるため、再手術を勧められています。ただ、顔に2度もメスを入れることにかなり抵抗を感じています。放射線治療など、他に治療法はないのでしょうか。

(59歳 女性 高知県)

がんの取り残しの部位にもよるが、手術を勧める

国立がん研究センター中央病院の
高橋 聡さん

基底細胞がんは、皮膚がんの中でも悪性度はそれほど高いものではなく、転移をきたして命にかかわることは極めて稀です。

通常適切な手術により根治しますが、ご相談者のように顔面に発生することが多いのもこのがんの特徴です。顔面ですので整容面からも十分な切除範囲が確保できないことや、深部に浸潤すると完全切除が難しくなる場合もあります。

この方の場合、切除断端が陽性だったということですが、切除した病変の横に取り残しがあったのか(側方断端陽性) 切除した下床に取り残しがあったのか(深部断端陽性) によって、その後の対応も異なります。側方断端陽性の場合は、再手術の際に残存の可能性がある部分だけを追加切除すればよいため、さほど大きな手術とはなりません。

また、どうしても手術が嫌だということであれば、慎重に経過観察を行うということも、1つの選択肢として考えられます。もし、その後再発してしまった場合、そのときに手術などの治療で対処しても遅くはありません。

一方、深部断端陽性の場合は、再手術することが望ましいです。なぜなら、がんが外見上は見えない深部にあるため、再発した場合発見が難しく、顔の表面に出てくるころにはがんが奥深く進行してしまっていることもあり、治療が困難になるからです。

手術以外の治療として、放射線治療がありますが、放射線によるびらん、色素沈着など皮膚障害が起こる可能性があり、整容面からもマイナスになることも考えられます。どこにがんの取り残しがあったかにもよりますが、断端陽性ということであれば再手術を受けることをお勧め致します。

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