ガンマナイフで20個の転移を治療。再発は?
5年前に肺がんが判明し、脳転移もあったため放射線の全脳照射を受けました。ところが、3カ月前の MRI検査で、脳の転移が4~5個再発していることがわかりました。その時点まででイレッサを3年間服用していました。1カ月後にガンマナイフ治療を受け、最終的に20個の腫瘍を治療しました。
4~5個と言われていた腫瘍が、わずか1カ月間ほどで20個までになるものなのでしょうか。また今後も短期間のうちに、再び脳転移が見つかる危険性もあるのでしょうか。
(68歳 男性 東京都)
A 再発の危険性はある。2カ月に1度は脳のチェックを
福田 直さん
MRIなどによる定期検査では、患部を5㎜から1㎝程度の間隔でスライスした画像で診断します。症状が出るような転移性脳腫瘍は、1㎝刻みの画像でも十分捉えることができるのです。
一方、ガンマナイフやサイバーナイフなどの定位放射線治療を行う場合には、スライス間隔が1~2㎜の精度の高い画像を基に、事前に治療計画を立てます。その際には、数㎜の小さい腫瘍も捉えるため、相談の方のように、当初は4~5個と言われていた脳転移が、実際の治療場面では20個になったということは、実際にあり得るのです。
数㎜の小さい腫瘍も治療するかどうかは、患者さんの経過や状況によって判断します。脳転移の治療は、腫瘍の増大による麻痺や失語などの機能低下を改善、もしくは予防することが目的になることが多いです。数㎜の小さい腫瘍は、機能に影響を与えないことがほとんどです。
また、イレッサは肺がんの脳転移にも効果を発揮することがあります。そのため、数㎜の病変に関しては増大傾向がないかなど経過を見た上で、大きくなる病変のみ治療して様子を見るのも1つの選択肢と考えられます。
相談の方の場合、イレッサの服用歴があり、小さい腫瘍が出現したとのことなので、そのままイレッサの効果に期待するよりも、20個をガンマナイフで治療されたのかと思います。
脳転移の今後の再発についてですが、イレッサを服用した上で今回のような再発があったわけですから、残念ながら今後も再発の危険性はあると考えるべきでしょう。2カ月に1回、脳の画像検査を受けてチェックしていただきたいです。
そうすることで、新しい脳転移が出現した場合には、なるべく早く治療を開始することができます。また治療の効果や副作用が出ていないかをチェックすることもできるからです。