吻合部再発。手術以外の治療法は?
昨年(2015年)、夫(62歳)が直腸がんの手術をしたのですが、今年になって、がんを切除して残った腸管をつないだ部分に再発しました。主治医から再度手術をして切除すると言われたのですが、肛門からの距離があまりない位置にがんがあるので、肛門を残すことは難しいと言われ、夫は人工肛門にする決心がつかないようです。例えば、放射線治療など、ほかの方法はないのでしょうか。
(56歳 女性 神奈川県)
A 根治のために手術が必要。人工肛門を回避できるケースも
獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん
大矢雅敏さん
がんを切除して残った腸管をつないだ部分(吻合部)に再発することを吻合部再発と言います。この場合は、手術で腸管を切除することが最も適した治療法と言えます。
ただし腸の内腔に再発したのではなく、腸管の外で再発が起こり、それが腸管内に浸潤してきているケースもあります。本来の吻合部再発であれば、吻合部を切除して腸管同士をつなぎ合わせる手術が可能な場合もありますが、後者の場合は膀胱や前立腺なども併せて切除する大掛かりな手術となることが多くなります。
人工肛門を回避できるかどうかは、吻合部が肛門からどのくらいの位置にあるかがとても重要です。
吻合部再発であれば回避できる可能性がありますが、腸の外からの再発であれば手術自体が難しく、再発の確率も高くなるため、あまり勧められません。吻合部再発の場合でも、前回の手術でがんの位置が肛門から4cm以内にあった場合は、人工肛門を選択したほうがよいと思います。
基本的に、直腸がんの再発は放射線治療や抗がん薬治療だけでは根治は難しいため、手術が必要になります。腸の外からの再発の場合は、化学療法や放射線療法も併用したほうが根治の可能性が高くなります。