S状結腸がん・ステージⅢb。抗がん薬治療だけは避けたいが、他にどんな治療法があるか
腸閉塞になり精密検査をすると、S状結腸のがんが見つかりステージⅢbと診断されました。腫瘍を摘出する手術を受けましたが、術後切開した箇所が癒着したため、再度開腹手術を受けました。その過程でリンパ節と肝臓に転移が見つかり、抗がん薬治療を勧められました。肝臓に転移した腫瘍は1個で大きさは1㎝ぐらいです。
私は現在、手が離せない仕事をしており、抗がん薬で体力を消耗して仕事ができなくなることは何としても避けたいと思っています。現在は普通に生活ができており、仕事も支障なくできています。
そこでご相談ですが、抗がん薬治療を断ってこのままなにもせず放っておいても大丈夫でしょうか。また、抗がん薬治療以外にはどんな治療法があるでしょうか。
(42歳 男性 栃木県)
A 悪化の気配が出てきたら、早く抗がん薬治療・化学療法を受けることを勧める
獨協医科大学埼玉医療センター
外科教授の大矢雅俊さん
外科教授の大矢雅俊さん
この患者さんの場合、リンパ節と肝転移だったらしばらくは自覚症状が出ることはありません。ですから生活も仕事も支障なくできているのです。
リンパ節と肝臓の転移で手術ではなく抗がん薬治療を勧められたことを考えると、おそらく肝臓から離れたところのリンパ節転移です。1㎝大の肝転移が1カ所だけだったら切除手術を行っていますから。
「放っておいて大丈夫でしょうか」と訊ねていますが、放っておいて大丈夫なわけはありません。確かに今は自覚症状が出ていないかも知れませんが、1年後は厳しい状態になると思われます。
今は手の離せない仕事があるということで、抗がん薬治療を拒否されていますが、2カ月に一度CT検査を受けて、悪化の気配がないことを確認し、悪化の気配が出てきたらなるべく早く抗がん薬治療・化学療法を受けられることをお勧めします。今ならかなりの治療効果が見込めると思います。