NPO法人女性医療ネットワーク「マンマチアー」委員会(乳がん)
乳がんを経験しても、していなくても、広く知識が得られる場として

NPO法人女性医療ネットワーク理事・マンマチアー委員会 増田美加
発行:2011年10月
更新:2013年4月

  

エビデンスに基づいた、すぐ役立つ正しい情報の発信を目指して

増田美加さん、山崎多賀子さん、石見雅美さん

中心メンバーの乳がんサバイバー3 人
左から増田美加さん、山崎多賀子さん、石見雅美さん

私たちは2010年4月、NPO法人女性医療ネットワークのブレストケア部会として、「マンマチアー(Mam ma Cheer)」委員会を発足させました。Mammaは乳房の意味。乳がん検診のマンモグラフィなどからヒントを得て、女性の乳房の健康を応援する(Cheer)ために「マンマチアー」と名づけました。

代表者をおかず、女性医療ネットワークの会員で乳がん体験者でもある山崎多賀子(本誌連載でもおなじみ)、石見雅美、増田美加(3人はキャンサーネットジャパン乳がん体験者コーディネーターとして認定)が中心となり、医療者からは対馬ルリ子医師、片岡明美医師も加わり、5人が実行委員として活動しています。

活動のベースは月1回(年内は第3水曜日)、東京・銀座で行う「チアー活動」。これが私たちの会の大きな特徴です。

参加者は乳がんサバイバーや治療中の人、その家族はもちろん、乳がんを経験していない女性たち、さらには男性も。気軽に足を運んでもらえるように会員制にせず、申し込み不要で無料で行っています。そういう意味では、一般の患者会とは少し異なると思います。

山崎多賀子さん

山崎多賀子さんによるセミナー「闘病中も使える美容術」では立ち見も出た

井上哲夫さん

毛髪にくわしい井上哲夫さんによるマイクロカメラを使った頭皮診断は女性だけでなく、男性の参加者も興味津々

増田美加さん

女性医療ジャーナリストである増田美加さんのセミナー「乳がん治療中、治療後の更年期症状への対策」

戸崎光宏医師

2011年7月の戸崎光宏医師(亀田メディカルセンター乳腺科部長)のセミナーにはテレビの取材も入った

毎月、テーマを決めて講師をお呼びし、がんサバイバーにも、がんを経験していない人にも、興味をもってもらえるセミナーを実施。これまでのテーマは、「闘病中も使える美容術」「乳がん検診の利益と不利益」「乳房再建と下着の話」「対医療者とのコミュニケーションとサバイバーシップ」「乳がんの標準治療とガイドライン」「女性のがんと就労」「病気予防&健康に生きるための食・栄養」「更年期の症状への対応策」「日本と海外の医療情報の違い」「リンパ浮腫と不安を取り除くマッサージ」「治療中&日常の髪と頭皮のケア法」「乳がん検査で異常ありのときの対処法」などです。

実は、私たちが会員制にしない自由参加形式をとったのには、理由があります。

今や乳がんは、日本女性の16人に1人が罹り かん患、新たな罹患者は年間5万人とのデータ(国立がん研究センターがん対策情報センター)が報告されています。数年前までは23人に1人といわれていたことを考えると、速いスピードで罹患者が増加していることがわかります。残念ながら、乳がんの発症を止めることはできません。しかし、乳がんの正しい知識を得て、エビデンス(科学的根拠)に基づいた検診などの情報を知ることにより、早期発見ができれば、大切な命と乳房を守ることができます。

近年のピンクリボン運動の盛り上がりは喜ばしいことですが、一方で恐怖心をあおったり、誤解を生んだりするような啓発活動が行われるなど、正しい情報の整理がなされていないことも事実です。

そこで、自分たちの経験から、早期発見、早期治療の重要性、正しい治療情報を得る必要性を伝えたい。さまざまな垣根を取り払い、みんなが気軽に参加できるよう、銀座での買い物帰り、仕事帰りに立ち寄ってもらえる形式にしたのです。

がん経験者でない参加者からは、「乳がんとは無縁と思っていたが、他人事ではない、検診に行かなくては、と思うきっかけになった」「知っているつもりの知識だったのに、目からウロコの話ばかり。知識は更新しないとダメと実感」「医療関係メーカーに勤めているが、なかなか体験者の話を聞く機会がなく、勉強になった」などの声が寄せられています。

もちろん、乳がんサバイバーにも喜ばれています。患者会のよさは理解していても、会員になるのはハードルが高いと感じている人や、患者会に所属しつつ、患者以外の人との交流の必要性を実感して来てくれる人もいます。乳がんサバイバーの参加者の声としては、「乳がんの治療は終わったものの、いまだに落ち込むことが多く、誰に相談していいかわからなかった。心が軽くなった。自分はこのような場所を探していたんだと思った」「乳がんで落ち込んでいたけれど、自分はまだまだ頑張れると思った」「自分(の乳がん)と照らし合わせて、そうそうと思えることが多く、安心した。また、乳がんについて自分の知らないことがたくさん聞けた」などがあがっています。

セミナーの後半に、参加者のがん体験などフリートークの時間を設けることで、「自分は1人じゃない」「不安や心配事ができたら、いつでも相談に行ける」という勇気と安心を得られる場になっているようです。

主宰する私たちの力にもなっていて、乳房を失くしても、病気が進行したとしても、自分らしく生きていくことの大切さを、全ての人と共有したいという想いを込めて行っています。

今後は、毎月のチアー活動を充実させつつ、さらに、そこでの情報をその後も必要な人が必要なときに入手できるように整理し、提供できるようにしたいと考えています。


NPO法人女性医療ネットワーク「マンマチアー」委員会

〒104-0061 東京都中央区銀座2-6-5 銀座トレシャスビル7F
ジュノ銀座産院銀座健康院内
TEL: 03-3538-0250 / FAX: 03-3538-0268
ホームページ : http://www.cnet.gr.jp/
Eメール:info@cnet.gr.jp


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