大腸がんの輪(大腸がん/東京)
大腸がん友の「輪」を広げたい

大腸がんの輪 代表 安田洋一
発行:2009年9月
更新:2013年4月

  

がん患者の就労問題に目を向け、社会に伝えていきたい

写真:『大腸がんの輪』代表の安田洋一さん

『大腸がんの輪』代表の安田洋一さん

同会の名前の由来は、大腸がん友の「輪」を広げたいとの思いからつけました。

患者会を作るきっかけとなったのは、大腸がん患者が増える一方で、大腸がんの患者会は少なく、患者同士の生の情報が聞けないと感じたからです。

私自身、2004年に大腸がんを患い、同じステージ(病期)で同じ状況の先輩患者を探しましたが、見つかりませんでした。

手術や抗がん剤の治療については、多少の情報はあるもの、ピタッとはまる、大腸がん仲間の存在を見つけにくいと感じました。

情報収集した生の声を幅広く周知させることができれば、少なからずも不安は解消され、治療に専念できるのでは、そしてその情報を、どのように伝えられるかを考えたとき、患者会の必要性を感じ、組織しようと思いました。そのことを踏まえ、大腸がん撲滅キャンペーン「ブレイブサークル」へも参加しました。

同じく会の発起人メンバーでもあり、仲間でもある、西山氏ともそこで出会い、過去の体験話や、大腸がんにおける、検診の重要性など様々な意見交換を行いました。同じ体験をし、同じ道を通ってきた仲間だからこそわかり合える部分もあるのではないでしょうか。

会の発足は、2008年の予定でしたが、私の体調が、優れず、2009年まで延びてしまいました。患者が患者会を運営するには、それだけのリスク管理も併せた、組織作りが必要であることを考えさせられました。我々の会は発起人全員が、リーダーという役割で、運営をしていきたいと思っております。

会のメンバーのほとんどが働き盛りで、一家の大黒柱の方が多く、そのために「がん患者と就労の問題」は、生活に密着した身近な問題で議題によく上がります。がんを告知された時から直面する、がん治療と就労の問題、治療を受ける際に、仕事量をどのように落とし込むことができるのかなど、働きながらの『がん治療』に関わる問題は切実です。企業や社会の認識はどうなっているのかなど、疑問を残すところです。

抗がん剤治療では、通院治療も可能です。入院治療を終え、通院治療に切り替えたときの働く環境が整えば、企業としても、優秀な人材を確保できるのではと思います。正しい、がんの知識を認識することで、がんと向き合いながら共存共栄ができるのではないでしょうか。

こうした就労の問題や、がんの早期発見=検診率の向上を社会に訴えていくことが大切だと考えています。そのためには、がんに対するイメージを変えなくてはなりません。大人だけでなく、子供達へも「命の授業」と銘打って、体験者自ら、「命の大切」「がん」の知識を伝えていくことが大切だと思います。そうすることで、共にがんを取り巻く環境を考えられるのではないでしょうか。がんや、検診に対する、「痛い」「つらい」といったイメージを払拭できれば「がん=死」という間違った認識を是正できるのでは、と考えております。

会を発足させた3本柱は、(1)正しいがんの情報・予防や検診の普及(2)がん患者が体験した疑問や不安の解消(3)『がん患者は、治れば普通の人』ということを伝えていくこと、です。

発起人メンバーの思い

写真:初顔合わせの様子

初顔合わせの様子。それぞれの思いを語り、同じ体験をわかち合った

写真:大腸がんの輪 発起人メンバー

大腸がんの輪 発起人メンバー。左から早嵜さん、中村さん、滝川さん、西山さん、町田さん、堀越さん

滝川雅行(大腸がん)
「自分の病気を受け入れて、治療するか共存を選択するかを決めることが大切だと思います。がんというのは特殊に思われがちですけれども、長生きをすると誰でも最終的には皆がんになる可能性があるわけです。広い気持ちでがんを受け入れたほうがいいかなと思います」

西山浩(虫垂がん)
「がんになって思ったのは、なったものはしょうがないということ。状況は変わらないので、それなら少し冷静になって、自分で1番いい方法を選択したほうがいいのではないかという感じでやっています。病気になってまず選択するのは、病院を選ぶのか、医者を選ぶのかということです。いい病院イコールいい先生かどうかっていうのはわからないのです」

堀越秀郎(遺族 父を大腸がんで亡くす)
「父は、心臓に疾患を持っていたためそちらのほうに神経が偏っていて、まさかがんにかかっているとは誰も思わず、気がつきませんでした。手術をするもすでに転移していて余命6カ月という状態でした。病気は併発する可能性があるということを痛感させられました。大きな病気にかかっていても、他の疾患にも気を配ることが大切だと感じています」

安田洋一(結腸がん)
「がんの治療は日進月歩なので、希望をもっていただきたい。私自身も不安で押しつぶされるようなこともありました。しっかりしなきゃ、頑張らなければという気持ちもありましたが、疲れてしまう時もありました。振り返ると、素直に病気を受け入れることも大切だったのかもしれません。病院で治療を受ける時等、情報収集は必要で、患者としての心得や覚悟も、邪魔にならない程度は必要だと感じました。肩の力を抜き、自然体を目指しながら、医療従事者との信頼関係を築くことができれば、納得する治療を受けることができるかもしれません」


大腸がんの輪

〒190-0023 東京都立川市柴崎町3-5-7
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