静鈴会(喉頭(声帯)摘出/静岡)
「ことば」の獲得を通して社会復帰を支援する
県内遠隔地へも、可能な限り活動を広げていきたい
静鈴会は、病気などで喉頭(声帯)を摘出し、通常の“ことば”を失った人たち(以下「喉摘者」という)の団体で、静岡市に拠点を置き、発足して35年になります。
会では、喉摘者が声帯に代わる食道や人工喉頭を使って会話ができるように発声講習会を開き、社会参加の支援をしています。
県下には喉摘者が1000人以上いるといわれていますが、現在会員は約200名です。非会員の多くは、以前会員として、本会で発声訓練を受け、社会復帰すると同時に、退会した人たちです。しかし、中には静鈴会の存在を知らなかったり、入会しても、遠方で講習会に出席できなかったりして早々と諦め、筆談や無言の生活をしている人もいます。
この会の特徴は、発病が遅く、摘出手術の平均年齢も60歳代ということで、高齢者の会員が多いことです。40、50歳代の若い人は食道発声による“ことば”の獲得が早く、社会復帰をして、自然に退会しますが、高齢者は早々と食道発声を諦め、電動式人工喉頭や笛式人工喉頭に頼ったりする傾向があります。
静岡県の人は昔から、診察は近隣の病院で受けても、手術が必要となれば、県外の大病院や大学病院へかかる傾向が多く見られ、術後の訓練なども引き続き他県で受けておりました。
ただ、昭和40年代になって、県立病院の統合や浜松医科大学、県立こども病院の新設が決まり、ようやく喉摘者団体の設立や訓練会の要望が強まっていきました。
昭和48年3月、日本を代表する阪喉会(大阪)の奥村会長、銀鈴会(東京)の重原会長を招き、「人工喉頭の改良」「食道発声の基本」というテーマで講演会を開催し、終了後に「静鈴会」の発足となりました。
そして昭和57年1月、浜松医科大学付属病院から、浜松市で食道発声講習会開催の依頼があり、数回の準備を経て4月16日に浜松教室を開所しました。
さらに59年、沼津市を中心に県東部地区に教室を開設することになりました。静岡県は全国有数の海岸線が長い県であり、たとえば東海道新幹線の駅が6カ所もあるなど、在住する全ての喉摘者に対応することはとても困難な状態です。そこで県内遠隔地への巡回指導などを実施して、可能な範囲で拡大してきています。
平成20年度の活動は、大きく分けて6事業になっています。
(1)音声機能障害者発声訓練
本会の最重要事業で、喉摘者が、発声、発語の訓練により他者との対話を可能にするための支援活動です。県内3会場(静岡、浜松、沼津)において、8月と1月を除く毎週1回、年間のべ159時間の訓練指導を行っています。食道発声が困難な場合は、電動式人工喉頭の発声を指導します。本事業は県からの委託を受けた事業です。
(2)喉摘者と家族に対する相談
喉摘者の発声、発語に限らず、食事、排泄など生活上の諸相談、日常生活用具、関係書類、障害者手帳、税に関することなど様々な相談に応じています。
(3)遠隔地巡回指導と病院訪問
訓練会場が遠方で通所時間に問題があったり、交通手段が無かったりするなどの理由で、訓練が困難な喉摘者や、病院内で指導を希望する人には、可能な範囲で訪問指導を行います。
(4)会員及び指導員研修
会員研修は、上期の宿泊を伴った交流・親睦・合同研修とスピーチコンテスト、下期の発声訓練発表会があります。指導員研修は、指導力の向上を目的に他施設の視察・講習、指導資料作成研修などを行います。
(5)啓発活動
会と喉摘者の活動を広く社会に理解していただくために、会と会の行っている事業を各市町や病院、報道機関などに発信する機関紙「静鈴」の発刊や、会の紹介パンフレットの作成配布などにより啓発に努めています。
(6)本年度の特別事業
会員によるスピーチ大会静岡県大会の入賞者が中部大会へ参加し、さらに全国大会へ出場を決めています。
また銀鈴会(東京)の協力で、特別遠隔指導を平成21年1月28日から31日まで、伊豆と浜名湖で実施しました。
これからの静鈴会は、事業の円滑な推進とともに、広く社会に貢献できることを目指したいと思っています。
そのためには、医療機関、医療機器メーカーなどの各種団体と連携し「障害者相談の拡大」「早期診察と治療の助言」、また、頭頸部がん予防の啓発運動として「禁煙のすすめ」「口腔口蓋の清潔のよびかけ」などに一層力を入れていきたいと考えています。
静鈴会
〒420-0856 静岡県静岡市葵区駿府町1-70
静岡県総合社会福祉会館5階(福)静岡県身体障害者福祉会内
TEL:054-252-7829 FAX:054-255-2011
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