ホスピス研究会OKAZAKI(がん全般/愛知)
市民が支え手となる場が多くできることを願って
岡崎市ががんになっても安心して住める街になるように
私の友人は、98年3月に大腸がんと診断され、痛みの中で苦しみながら44歳で亡くなりました。ホスピスも考えましたが、余命の告知に友人が耐えられるのか、そして私たちもその事実を伝える悲しみに耐えられるのかどうか、迷っている間に逝ってしまったのです。
友人ががんとなったとき、私たちは情報が溢れているにも関わらず、本当に知りたかったことは手に入りませんでした。そして、手に入らないのであれば、自分のできる範囲のことだけでもしたいと考えるようになりました。
生後3カ月のわが子を亡くした思いも重なり、病院があるのになぜホスピスがないのだろうと、2000年「ホスピス研究会OKAZAKI」を立ち上げました。
患者さんとご家族のお話をお聞きし、必要と考えたことを活動としてきたように思います。
緩和ケアへの偏見から、痛みの中で亡くなっていく方もおります。お話をお聞きしているうちに、よりよい終末期を迎えるには、がんになったときから考えることが必要であり、そしてそれは、「どう生きるか」を考えることだと思いました。
死は一瞬であり、それまでどう生きるかは、誰もが違う答えがあるはずです。だからこそ、教えてもらうのではなく、答えを考えられる場を作りたいと、活動を行っています。
人の顔が見える街、岡崎市の良さを生かし、患者さんとご家族をサポートする地域の力を高め、がんになっても安心して住める街になるようにとの夢を抱いています。会員130名(患者会40名含む)。運営は8名で、頑張って続けております。
「街の中からの情報発信」会場
研究会の主な活動は次の通りです。
1.「街の中からの情報発信」(市民の視点で集めたがん医療情報展)
2.模擬患者
3.女性患者会「お話の会」(奇数月)、患者家族の会(偶数月)
4.「いのちときぼうのアート展」企画・主催
5.医療情報冊子作成
6.電話相談
7.バンダナ・つけ毛の頒布
次に、女性の患者会「お話の会」について、お伝えしたいと思います。
名古屋芸術大学で講演する金田亜可根さん
愛知県がんセンターの協力を得て行っている模擬患者の様子
最初は、「患者会を作ってください」との長年にわたるご要望にも、自身が患者でないために、作るきっかけを掴めないでいました。患者会のご相談を男性にすると、まず、この体力では無理と断られ続けました。
若くして卵巣がんになったAさんは、「岡崎に患者会がほしい」と、私に言い続けてくださっていましたが、Aさんには、まず病院で作るようにとお伝えしました。ところが、「主治医の協力が得られず、他の患者さんに声をかけられない」というお答えでしたので、Aさんにある会合で、「私と話したい女性患者さんは集まってください」と声をかけることを提案しました。その問いかけで集まった方々に、「患者会」を作りたい旨をお話しすると、男性と違い、「組織はいらない。集まって話ができるだけでいい」とのこと。では、難しいことはなしにして、女性の会からと、2007年に念願の会が5人で始まりました。
その後、中日新聞に紹介されると、67本もの問い合わせがあり、必要とされていることを改めて感じました。
地域・部位を問わず、いつでも誰でも集える場。話すことで、少しでも心を軽くすることを目的とした、サロンのような場を目指すことに致しました。気持ちよく過ごすため、皆で「プライバシーを守る。参加者の発言は参考に留める。特定の宗教・健康食品・代替療法を押し付けない」ことを決めました。
参加費は1回500円。場所は事務局でもある我が家で、午後1時半から5時すぎまで。季節の行事を行い、手作りのおやつなどを用意して、集う方にゆっくりとしていただくことを目的としています。
患者でないものが主宰することのよい点は、体調を考慮に入れなくとも活動が続けられること。ただ、大きな不安は、患者さんのお気持ちをどう受け止めていくのか、ということです。
色々な心配はありましたが、患者さん同士のお互いを思い合う気持ちがうまく生かされる時間(空間)となり、今のところ支障はございません。皆様の「楽しかったぁ」の声に励みを感じます。女性患者会は、奇数月第2土曜日、来年からは偶数月にご家族の会も開催を予定しています。
「2人に1人」といわれるがんに対し、私たち市民がもっと理解を広めることは大切です。患者さんとご家族のため、ひいては私たちのために、市民が支え手となるこのような場が地域にいくつもできることを願って、続けてまいります。
ホスピス研究会OKAZAKI 金田亜可根
〒444-0052愛知県岡崎市康生町515-39
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