アルファ・クラブ
胃を切除した方々の術後の人生に「プラス・アルファ」を
創設者の梅田幸雄さん
会報は医師と患者の架け橋であり、会員相互の情報共有の場
アルファ・クラブは胃を切除した人の患者会として昭和57年7月に発足しました。
「医師と患者の話し合い」「患者同士の助け合い」をモットーに、「胃を切った人は自らの努力と工夫で、術後の後遺症を克服してゆこう。そして普通の人よりむしろプラス・アルファ元気に長生きしよう」と宣言しました。この「プラス・アルファ」が、「アルファ・クラブ」の名前の由来です。
発足当初から、青木照明先生(前東京慈恵会医科大学外科教授・現アルファ・クラブ会長)をはじめ、多くの医師に顧問として協力いただき、アドバイスをいただいています。
現在、会員数は個人会員4428人、病院会員3732施設です(表)。個人会員は、胃がんや胃潰瘍、食道がんなどで胃を切除された方々です。
病院会員は、本会の大きな特色で、「医師と患者の話し合い」のモットーをより具体化するため、平成4年に設けました。
これは、本会の主旨に賛同いただいた病院や医師に、会報『ALPHA CLUB』を院内で回覧していただき、患者さんへの情報提供に役立てていただくというシステムです。会員は順調に増え、今は全国の消化器の手術施設がある病院の90パーセント以上が加入しています。
このように、本会の会報の読者は、患者さんだけでなく、医師や看護師、栄養士にまで広がっています。こうした活動が「医師と患者の話し合い」の大きな基盤となり、胃切除後の後遺症の認識を広めることにつながっています。
アルファ・クラブの誕生は、発足の3年前、創設者の梅田幸雄が胃噴門部のがんのため、胃を亜全摘したことから始まります。
昭和54年1月、梅田は、がんを切除したという安堵も束の間、胃切除による、食事のつかえ、嘔吐、腹痛、便秘、逆流などの後遺症に苦しみました。
後遺症の参考となる書籍を探しましたが、1冊も見つかりませんでした。梅田は「当時、年25万もの人が胃を切除しているのに、胃切除者を救う本が1冊もなかったことに驚いた」と語っています。
そして自ら全国の胃を切除した人たちを取材し、昭和56年4月、55人の体験談をまとめた『胃を切った人の養生学』を発刊しました。これがアルファ・クラブの原点です。
『胃を切った人の養生学』の反響は大きく、全国から多くの手紙や感想が寄せられました。その実態を調べるために、アンケートを実施したところ、予想以上に後遺症に苦しむ人が多く、1人でいくつもの後遺症に悩んでいることが分かりました。
しかし、当時は、胃切除後の後遺症への医師の認識も薄く、「胃を切除しても、体力が回復すれば健常者と変わりなくなる」と言われることが多かったのでした。当然、術後のケアの情報も乏しく、皆、1人で悩んでいたのです。
こうした現状から、梅田は、アルファ・クラブの設立を決意しました。
本来、胃は食物を消化、撹拌して、ゆっくりと腸に送りますが、胃を切除すると、十分に消化されないまま急激に腸に落ちるために、さまざまな後遺症が起こります。とくに食中食後に起こる早期ダンピング症候群(冷汗、動悸、めまい、腹痛、腹鳴、嘔吐、低血圧)、食後数時間後に起こる後期ダンピング症候群(低血糖症状)をはじめ、つかえ、ガス、便秘、下痢、疲れ、貧血、逆流、腸閉塞などが多くの胃切除者を悩ませています。また、骨粗鬆症、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、胆石症などの注意も必要になります。
これらの症状と共に、食事摂取量の低下や、栄養吸収障害が加わり、体重や体力の極度な減少が深刻な悩みとなっています。
本会への問い合わせの電話でも、病院からの説明が少なく、こうした症状に「再発したのではないか」「後遺症はいつまで続くのか」と見えない答えに悩み、相談できる人がいないという声が聞かれます。
会報には会員諸氏の体験談や後遺症の対策、専門医のアドバイスなどが盛り込まれ、会員相互の情報交換の場となっています。悩んでいるのは自分1人ではないという安心感や、同じ苦しみを抱える人の努力する姿が大きな励ましとなっています。
患者さんの家族も一緒にこうした情報を得ることで、患者さん本人の悩みや苦しみを理解する一助となっています。
胃の切除が闘病の終わりではないことを多くの人に知っていただき、本会が提供する情報が後遺症の克服につながることを願っています。
胃を切った人友の会 アルファ・クラブ
創設者・梅田幸雄
代表・山路一朗
〒105-0004 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館925号 株式会社協和企画内
電話:03-3569-9531(平日9時~18時) FAX:03-3569-9532
ホームページ
同じカテゴリーの最新記事
- 新しくWell-beingをテーマに 4つの活動を柱に日本骨髄腫患者の会の輪を広げたい
- 患者会E-BeC「第10回 乳房再建全国キャラバン」を広島で開催
- 「小児脳幹部グリオーマ」患者会 厚生労働大臣に直接陳情
- 「医師と患者で、一緒に考えよう」をテーマに BCネットワークが第6回乳がんタウンホールミーティングを開催
- 乳がん体験者ががん患者を支える 患者の悩み、必要なサポートとは?
- リンパ浮腫について知ろう、語ろう、「リンパカフェ」
- 「乳房再建手術がわかる」 セミナーを開催
- BCネットワークでは初めて、患者さんの経験談をメインに開催
- 患者さんや家族の気持ちが、少しでも楽になるように「まる」と名付ける
- 「小児脳幹部グリオーマ」に関する要望書を厚生労働大臣宛に提出