最近、腫瘍マーカーが上がってきた
1年半前に、右精巣腫瘍が見つかりました。腎臓付近のリンパ節に転移もありました。右の精巣を切除した結果、非セミノーマでステージ2とのこと。抗がん剤治療後に、後腹膜リンパ節手術をしました。切除した部位からがん細胞が見つかり、抗がん剤治療を受けました。最近、腫瘍マーカーが少し上がってきています。左の睾丸を触ると、少し硬くなってきたようにも感じます。左の睾丸に発症することはあるのでしょうか。もし、発症した場合、手術で切除しなければならないのでしょうか。
(大分県 男性 33歳)
A 対側の精巣に腫瘍が発生している可能性が高い
同時に、あるいは時期をずらして精巣腫瘍が両側にできてしまうことはあり得ます。腫瘍マーカーが持続的に上昇しているのであれば、残念ながらどこかに再発しているか、あるいは対側の精巣に新たに腫瘍が発生している可能性が非常に高いと考えられます。
精巣腫瘍の患者さんで対側の精巣にも腫瘍ができてしまう可能性は2~5パーセントとの報告が多いです。超音波検査が有効な場合が多いので、主治医に申し入れて実施してもらってください。対側の精巣に再発しているのであれば、残念ですが他の治療に先立って精巣を摘除する必要があります。その場合、摘出後は月1回の男性ホルモンの注射を継続的に実施するのが一般的です。また、これを摘出することによって腫瘍マーカーが正常化すれば、その時点でステージ1の精巣腫瘍としての経過観察を行うことになります。しかし、腫瘍マーカーが持続的に上昇し、対側の精巣が問題ないようであれば、通常の治療に抵抗性の難治性精巣腫瘍として、新規抗がん剤などを使用した、より集学的な治療が必要になる可能性があります。