セミノーマと非セミノーマが混在。手術だけでよいか

回答者:中西 弘之
国立がん研究センター中央病院 泌尿器科医師
発行:2009年3月
更新:2013年11月

  

7カ月前に、左の睾丸に腫瘍が見つかり、手術で切除しました。病理検査の結果、セミノーマと非セミノーマとが混在していて、リンパ節転移はなかったとのことです。私のように、セミノーマと非セミノーマが混在している場合、手術だけでよいのでしょうか。再発の可能性はどの程度なのでしょうか。再発したときの治療法についても、教えてください。

(兵庫県 男性 27歳)

A セミノーマ・ステージ1と同様、経過観察を行う

手術後の補助治療の副作用を考えると、慎重に経過観察を継続していくことをお勧めします。セミノーマと非セミノーマが混在しているタイプは、その比率にかかわらず非セミノーマに分類されます。

ですから、前の方との違いは、セミノーマではなく非セミノーマであるということです。非セミノーマのステージ1の再発率はセミノーマより低く、約10パーセントとされています。以前述べたように非セミノーマは放射線治療の効き目がよくないので、予防照射は実施されません。これに代わるものとして、とくに再発する可能性が高いと考えられる患者さんなどに、手術(後腹膜のリンパ節郭清)や抗がん剤を投与する化学療法を実施している施設はあります。しかし、予防照射と同様に、多くの方に対し、不必要な治療を実施してしまうことになりますので、当院ではセミノーマ・ステージ1と同様に、慎重に経過観察を行うことが妥当と考えています。

この際、とくに2年以内に再発が多いことがわかっていますので、この期間中は1~2カ月に1度程度の腫瘍マーカーの検査と、胸部と腹部を含めたCT(コンピューター断層撮影装置)検査を最低6カ月に1回実施することが推奨されます。再発したとしても、しっかりとした治療を受ければ、治癒する確率の高い腫瘍であり、さらに、治療がうまくいくかどうかには、確実な経過観察と早期発見がとても大事なポイントとなります。

再発した場合の治療は抗がん剤を投与する化学療法とその後の手術が中心となります。治療期間として最低4カ月程度は必要で、体への負担もかなり大きな治療ですが、適切に経過観察が実施され、再発した場合の治癒率は95パーセント以上とされています。従って大切な点は、セミノーマと同様に医師の指示通りにきっちりと定期検査を受けていくことです。

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