直腸がんの手術後、ポリープが見つかる。経過観察だけで大丈夫か

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2005年12月
更新:2014年1月

  

2年前に直腸がんと診断され、切除手術を受けました。転移などはなく、その後は半年に1回、内視鏡検査を受けています。先日の検査の結果、3~4ミリほどのポリープが4個見つかりました。主治医は、切除せずにこのまま定期的に検査をしながら様子を見ると言っていますが、ポリープを放っておくとがんになる可能性があると聞き、心配です。手術などの治療を受けずに、経過観察だけで丈夫なのでしょうか。

(滋賀県 男性 59歳)

A 数ミリのポリープや過形成性ポリープなら問題ない

大腸にポリープができると、がん予防のために、以前はどんなポリープでも切除する傾向がありました。しかし今では、すべてのポリープががんになるわけではないことがわかっています。

大腸ポリープの約8割は、腺腫といわれるがんになりやすいポリープです。この腺腫の場合は、内視鏡で切除したほうがよいでしょう。

しかし、残りの約2割は、過形成性ポリープと言い、これはがんにならないと言われています。

ご相談者のポリープの大きさは3~4ミリということですが、1センチ以下の小さなポリープは、最近では、あまり積極的に切除しなくてもよいと考えられています。それは、ごく小さなポリープは過形成性ポリープの可能性が高いからです。

また最近は、拡大内視鏡という新しい機械でポリープを観察することで、将来、がん化するポリープかどうか、かなり判断できるようになりました。

文面から推測すると、主治医はおそらく過形成性ポリープと判断されたのではないでしょうか。その場合は、半年から1年に1回の経過観察で大丈夫でしょう。それで問題がなければ、期間を延ばし、2年に1回程度の経過観察にしても大丈夫でしょう。

ただ、1度、大腸がん(直腸がん)になっていると、再びがんになる可能性は、そうでない方の場合に比べると高いのが現状です。がんは、現在ポリープのない場所にできる可能性もあります。ですから、経過観察はやはり必要になります。

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