大腸がん手術後に肝転移。手術以外の治療法は?
66歳の父が1年半前に大腸がん(ステージ2)で手術を受けました。6月の検査で、肝転移が見つかり、大きさは2センチ以下、1個とのことです。転移は肝臓だけのようです。主治医からは、手術を勧められています。しかし、年齢などを考えると、手術以外の治療法を選びたいと思います。手術以外にどんな治療法があるのでしょうか。また、その治療成績についても教えてください。
(福島県 女性 35歳)
A 基本的には手術を考えるべき
大腸がんの肝転移の場合、手術で肝切除ができれば、根治が期待できます。5年生存率は30~40パーセントほどです。肝切除ができるかどうかは、いくつかの条件があります。肝転移が取り切れる場所にあること、手術に耐えられるだけの体力があることなどが必要となります。また、転移は3個以下が好ましい報告されています。
ご相談者は66歳とのことで、肝転移は1個とのことですし、場所にもよりますが、全身状態さえよければ、手術は可能です。この手術のリスクはもちろんあります。ただし、その危険性はそれほど高くなく、一般的には安全に行うことができます。
手術以外の治療法としては、熱凝固療法があります。肝転移した場所に針を刺して、ラジオ波やマイクロ波を流して、熱を発生させてがんを焼き切る治療法です。理論的には焼き切ることにより、がん細胞数がゼロになれば、手術に近い治療効果が期待できます。しかし、現時点では、熱凝固療法で手術と同等の治療効果が得られたという臨床データは発表されていません。肝転移の場所によっては、熱凝固療法ができにくい場合もあります。たとえば、肝転移が血管のそばにある場合は、針が血管に刺さる危険性があるため、治療が難しいかも知れません。
ご相談者の場合には、手術が可能な肝転移なので、通常なら、熱凝固療法もできると思います。ただし、現状では、手術のほうがより確実に治せると考えてください。
手術や熱凝固療法ができない場合には、肝動注療法と全身化学療法があります。これらの治療では肝転移を完全に治すことは難しくなります。