2期の大腸がん。術後の抗がん剤治療は必要か?
今年3月、父(63歳)が大腸がんと診断されました。病期は2期ということです。主治医からは、手術をし、その後、経過観察を行うと言われました。ただ最近、インターネットなどを見て、「大腸がんは再発しやすい。再発を防ぐためにも術後にFOLFOX療法という抗がん剤治療を行うべき」という記載を見つけました。父も、手術後に抗がん剤治療を行ったほうがいいでしょうか。
(千葉県 女性 31歳)
A 再発しやすいタイプなら抗がん剤治療を行うことも
病期が2期とお書きですが、手術前に2期と判断されていても、手術をして病変を調べてみたら1期や3期だったということも実際にはあり得ますので、この場合、手術をして調べた上で2期だったとして、話を進めていきます。
以前は、2期の大腸がんの場合、術後の抗がん剤治療はあまり行われていませんでした。しかし最近では、2期の大腸がんであっても、再発の危険性が高い方には、患者さんに十分説明した上で、抗がん剤治療を行うのが妥当ではないかという考え方が広まっており、2010年の『大腸癌治療ガイドライン』でも、そのような記述がなされています。
では、実際に再発の危険性が高いのは、どういった患者さんなのでしょうか。
まだ確実にはわかっていませんが、一般的には、①がんが腸の外側の表面まで露出している場合、②病気が発見されたときに、腸が破れるような腹膜炎を起こしている場合、③顕微鏡検査で、分化度の低いがん(低分化、未分化)の場合などで、再発の危険性が高いといわれています。
また、2期というのはリンパ節転移がない状態のことをいいますが、この場合、何個リンパ節を採って調べたかということも重要になってきます。たとえば、リンパ節を1個採ってリンパ節転移がなかったから2期というのは乱暴な診断といえます。
ですので、現在の国際的な基準では、12個以上のリンパ節を採って調べた上で診断するのが望ましいとされており、採って調べたリンパ節数が12個未満の場合、術後補助療法の対象となるのでは、という意見があります。
つまり、同じ2期といっても、病理学的な所見などによって再発の危険性は異なってきますので、今1度、主治医とご相談されることをお勧めします。
大腸がんの術後補助療法として有効であるというエビデンス(科学的根拠)のあるFOLFOX療法ですが、副作用もあります。指先などがピリピリと痛む神経障害や、白血球・血小板などが減る骨髄抑制、さらには軽い吐き気などです。骨髄抑制や吐き気などは、他の薬剤で対処できますが、神経障害については、今のところ対処する有効な手立てはありません。しかも、FOLFOX療法の治療が終わった後でも症状の回復は遅いとされています。
2期の全体としての再発率は低く、5年間の再発率は13・3パーセントと、決して再発しやすい進行程度ではありません。お父様のがんが、再発しやすいタイプなのかどうか、病理学的な所見を調べるとともに、副作用などが起こり得ることを受け入れられるかどうか、そこら辺も含めて、主治医とご相談してみることをお勧めします。