乳がん長期生存の秘密
再発乳がん患者座談会:「おしゃべり会」への参加が患者力を強化する!!
サロン終了後、座談会が行われた
再発患者の集い「なのはなサロン」に参加する、乳がん再発患者さん13人のエピソードで体験談を披露してくれた「あけぼの千葉」会員5名と、代表の齋藤とし子さんに、サロンの役割と意義について語ってもらった。
病気への理解が深まる
齋藤 「なのはなサロン」に来ると、最初はしょんぼり肩を落としていた人も見違えるようにイキイキとした表情で帰っていきます。
他の再発患者さんと交流したことで、力をもらっているんですね。
緒方 私は、なのはなサロンに来るたびに自分に自信が持てるようになります。1人の患者としてがんに向かっていくための「患者力」が高められるように感じています。実際、なのはなサロンに参加するようになって、がんという病気についての理解がぐっと深くなりました。
中村 会の参加者のなかには私より症状が進んでいる患者さんも少なくありません。そうした先輩患者と話すことで自分の治療のコースが見えてきます。
稲垣 それに、勉強することで主体的な意見を持つことができるようになりますね。
中村 私は診察を受けるときに先生に聞きたいことを書き込んだノートを持参するんです。なのはなサロンに来ると、聞きたいことがたくさん出てきてノートが真っ黒になってしまう……(笑)。
それに治療方針を決めるうえでも、なのはなサロンで得られる情報はとても役に立ちますね。たとえば先生から抗がん剤治療について提案があったときなどは、すぐに返事せず、なのはなサロンで先輩患者から情報をもらったうえで主体的に考えます。
私の場合は、7カ月のハーセプチン治療がよく効いてがんが画像上見えなくなりました。先生はあと3カ月続けようと言いましたが、薬には副作用があります。がんが消えたので、ハーセプチン治療をやめると決めたときもそうして結論を出しました。
医師との関係も良くなる
齋藤 なのはなサロンで病気や治療について勉強することは、医師とコミュニケーションをとるのにとても役立ちますね。
高柳 先生との関係が悪いとストレスにつながりますから、これをよくすることは大切ですね。
澤井 いい状態を維持するには、先生との関係を良好に保つ必要があります。
齋藤 患者と医師との関係も、人間関係だから相性というものがあります。でも、相性の悪い先生とも、時間をかけてコミュニケーションを取り続けていくうちに、いい関係が築けるんじゃないでしょうか。
緒方 そのためにも、患者は自分で勉強することが大切ですね。だって先生の話が理解できなくては、コミュニケーションそのものが不通になってしまいますからね。患者も自分を磨かなくては……。がん患者が元気で長く生きるためには、無知ではいけません。
高柳 患者力を高めることで、先生との信頼関係も強化できるということですね。
お酒だってたまには飲んでもいい
中村 治療以外にも、なのはなサロンで教えられることがたくさんあります。たとえば食生活面の工夫もその1つです。私は緒方さんに教えられて玄米食を始めているんですが、あれはいいですね。玄米だとよく噛んで食べるようになりますからね。血行やリンパ液の流れがよくなるらしいですよ。それに私の場合は便通もよくなった(笑)。
緒方 私は玄米だけでなく、野菜もたくさん摂るようにしています。でもね、実際はそんなに厳密にやっているわけではないんです。こうでなくてはいけない、と自分を縛りたくありませんから……。
稲垣 自分を縛ると、それがストレスになってしまいますね。
緒方 そう。だから、みんなと外食するときはおいしいものを食べるし、お酒を飲むこともあります(笑)。楽しくやって、発散することも大切ですからね。
齋藤 実は私も適量だけど、毎晩、お酒は飲んでいます(笑)。データでは、乳がん患者はお酒を飲んではいけないことになっている。でも、飲まないことがストレスになると逆効果ですからね。
緒方 病気のことを考えるのも大切だけど、それより自分がイキイキと生きることのほうを優先すべきだと思いますね。
中村 運動することの大切さも、教えられました。
齋藤 なのはなサロンでは気功の講習もやっていますからね。気功やヨガは腹式呼吸を用いるので、体にいいんです。
中村 私は週に3~4回、ウォーキングやスイミングで体調を整えています。そのことも自分自身の患者力につながっているように思いますね。
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