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がんのタイプによって薬を選べる時代が近づいた 変わる非小細胞肺がんの最新化学療法

監修●久保田 馨 国立がんセンター東病院呼吸器科医長
取材・文●町口 充
発行:2008年7月
更新:2019年7月

  
久保田馨さん
国立がん研究センター東病院
呼吸器科医長の
久保田馨さん

肺がんの8割以上を占める非小細胞肺がんの治療が大きく変わってきている。術後の化学療法(補助療法)の有効性が明らかになる一方、進行がんでも化学療法によって生存期間の延長が認められるようになり、内科治療での根治が期待できるケースも出てきた。効き方に違いがあるさまざまな薬が登場しており、近い将来がんのタイプ別に、より効果的で安全性の高い薬を選ぶ時代が到来しそうだ。

手術不能の患者にも期待が

[非小細胞肺がんの治療方針]

病期 標準治療法 検証中の治療
1期・2期 外科切除 術後化学療法
3a期 化学放射線療法 導入化学放射線療法
術後化学療法
3b期 化学放射線療法
4期 化学療法

「手術不能の3期や4期の患者さんでも、化学療法により長期生存が可能となり、根治に至る例も出てきています。3期例では、がんが縮小する割合もかなり高いですし、明らかな生存期間の延長が認められるようになってきました」と語るのは、国立がん研究センター東病院呼吸器科医長の久保田馨さんだ。

非小細胞肺がんの場合、1期と2期は手術の適応となり、進行したがんでも3a期までなら、完全切除が可能と判断されれば手術適応となる。しかし、実際には非小細胞肺がんの6~7割はすでに手術不能の段階で発見されるため、手術適応となる人は多くないのが実情だ。

手術での完治が不可能な3期の患者さんに対しては、シスプラチンを含む化学療法と放射線の同時併用療法が標準治療になっている。

4期の患者さんに対して化学療法を行う場合のファーストライン(初回治療)の治療法は、シスプラチン(商品名ブリプラチンまたはランダ)との併用で、タキソテール(一般名ドセタキセル)、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)、ナベルビン(一般名ビノレルビン)、タキソール(一般名パクリタキセル)、カンプト(一般名イリノテカン)といった第3世代と呼ばれる薬剤を用いるのが基本となっている。

放射線との同時併用化学療法

90年代の初めぐらいまで、標準治療とされていたのは放射線治療だった。しかし、放射線単独では局所再発率や遠隔転移再発率が高いことなどから、抗がん剤を組み合わせた併用療法が試みられるようになった。

80年代に行われた試験では、3期に対して放射線治療単独群と、化学療法(シスプラチン+エクザール(一般名ビンブラスチン)後に放射線治療を行った群とを比較したところ、放射線と化学療法を併用したほうが放射線単独に比べて有意に生存期間を延長した。

次に検討されたのは、化学療法と放射線治療を併用した場合、どのタイミングで放射線治療を行うのがよいかだった。

3期の患者さんを対象に、日本とアメリカで比較試験が90年代に行われた。最初は日本の試験で、シスプラチン・フィルデシン(一般名ビンデシン)・マイトマイシン(一般名マイトマイシンC)の3剤併用化学療法に放射線を同時併用する群と、化学療法後に放射線を行うシークエンシャル群(逐次化学放射線療法)とで比較検討したところ、同時に行ったほうが有意に優れていることが証明された。

また、シスプラチンとエクザールの併用療法についても調べられたが、やはり同時併用したほうが有意に生存期間を延長した。

第2世代の薬剤を使った場合、生存期間の中央値(平均的な生存日数)は16~17カ月だが、第3世代の薬剤を用いた最新のデータでは、生存期間の中央値は20カ月を超えているという。

3期では内科治療で根治も期待できる

最近行われた注目すべき試験として、シスプラチン+ベプシドまたはラステット(一般名エトポシド)の化学療法と同時に放射線治療を行い、その後にタキソテール(一般名ドセタキセル)の投与を3コース行った試験がある。結果は、生存期間の中央値が26カ月、5年生存率29パーセントという高いものだった。ただし、まだ第2相試験の段階であり、また、昨年のASCO(米国臨床腫瘍学会)では、症例数は少ないものの、タキソテールの有無で生存期間に差がないという報告がされ、現時点では推奨できない。

いずれにしろ、同時投与となると血液毒性などの毒性も増えるが、それに十分耐えられる患者さんに対しては勧められる治療といえよう。この治療法によって、3期の患者さんに対しては内科治療で根治も期待できるまでになってきており、大きな希望といえる、と久保田さんは語っている。

4期ではシスプラチン+第3世代抗がん剤

「4期の患者さんに対する化学療法も、昔と比べると成績がずいぶんよくなってきています」と久保田さん。

化学療法で4期の患者さんの生存期間が明らかに延びるという科学的根拠は、95年のメタアナリシス(複数の試験結果の解析)によって示された。

このときのメタアナリシスでは、シスプラチンを含む化学療法は症状緩和を目的とした治療法(BSC)と比較して、1年生存率がBSCの10パーセントから約2倍改善され、生存期間中央値では約2カ月の延長が示された。現時点では、4期の患者さんに対してシスプラチン+第3世代抗がん剤の2剤併用療法が標準治療となっている。

[進行非小細胞がんに対するシスプラチンを含む化学療法の延命効果]
図:進行非小細胞がんに対するシスプラチンを含む化学療法の延命効果

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