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肺がんⅢ期の化学放射線療法後にイミフィンジが効果 放射線副作用の肺臓炎をいかに抑えるかが重要

監修●大西 洋 山梨大学大学院総合研究部放射線医学講座教授
取材・文●伊波達也
発行:2020年2月
更新:2020年2月

  

「肺臓炎をうまく抑えて、化学放射線療法後、イミフィンジの投与をできるだけ早く開始したほうが良い結果が出ています」と語る
大西 洋さん

非小細胞肺がんⅢ期における化学放射線療法は標準治療だが、最近、治療後の免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果が認められ、その治療が標準治療化されてきた。今後はさらなる延命効果を望むために、様々な治療の組み合わせが臨床試験を通じて模索されていきそうだ。ここでは手術不能非小細胞肺がんⅢ期の化学放射線療法の最新治療について、山梨大学大学院総合研究部放射線医学講座教授の大西洋さんに伺った。

手術不能非小細胞肺がんⅢ期の標準治療に、免疫チェックポイント阻害薬が加わる

肺がんは、男性年間約7万7千人、女性は約3万5千人が罹患し、男性約5万3千人、女性約2万人が亡くなる、がんのなかでも死亡者数が一番多いがんだ。

早期にはあまり自覚症状がないため、進行した状態で見つかることも多くあり、見つかったときには、6割は手術不能のⅢ期、Ⅳ期であるのが現状だ。Ⅲ期の5年生存率も15〜20%程度と高くないがんの1つである。

そんな肺がんだが、手術不能の非小細胞肺がんのⅢ期に対しては、抗がん薬と放射線治療を組み合わせた、化学放射線療法が標準的に行われている。

化学放射線療法は、従来、プラチナ系のブリプラチン(一般名シスプラチン)、パラプラチン(同カルボプラチン)やタキサン系のタキソール(同パクリタキセル)やタキソテール(同ドセタキセル)やナベルビン(同ビノレルビン)などの抗がん薬による薬物療法と、週5回×6週間の計30回×2Gy(グレイ)=60Gyの放射線治療を組み合わせてきた。

それが、最近では通常の化学放射線療法後に治療効果をさらに向上させるため、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体であるイミフィンジ(同デュルバルマブ)を投与することが標準治療化してきた。

「この治療法が標準治療化したのは第Ⅲ相『PACIFIC試験』という試験の結果、イミフィンジという薬の上乗せ効果が認められたからです」

そう話すのは山梨大学大学院総合研究部放射線医学講座教授の大西洋さんだ。

化学放射線療法後イミフィンジ投与をできるだけ早く開始、中断なく継続を

「PACIFIC試験」は、国際的な第Ⅲ相臨床試験だ。切除不能のⅢ期非小細胞肺がんの患者で、標準治療の化学放射線療法(プラチナベースの化学放射線療法)を受けた後に、進行が認められない26カ国235施設の709人を、イミフィンジ投与群とプラセボ投与群に2対1に無作為に割り付けて行った。

その結果、全生存期間(OS)では、イミフィンジ投与群が、プラセボ群に有意に勝り、死亡リスクを32%減少させた。

無増悪生存期間(PFS)の中央値でも、イミフィンジ投与群が16.8カ月、プラセボ投与群が5.6カ月と11.2カ月の開きがあった(図1)。

その後、2年生存率においては、PD-L1の発現の有無にかかわらず、化学放射線療法後の患者に対して、イミフィンジ投与群は、プラセボ投与群との比較で有意に全生存期間を延長した(P=0.0025)。死亡リスクは32%低減した。

さらに、2019年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)では、3年生存率がイミフィンジ投与群で57%、プラセボ投与群43.5%という経過が発表された。

全生存期間の中央値では、イミフィンジ投与群は未到達(いまだに半数以上の患者が亡くなっていない)、プラセボ投与群は29.1カ月だった。

このような途中経過により、今後は5年生存率の結果がどのようになるか、注目されるところである。

また、イミフィンジは併用治療が完遂できれば、その後休薬しても治療効果が持続する可能性があると言われているため期待は大きい。

副作用については、イミフィンジ投与群では、患者の20%に有害事象が表われ、咳(せき)35.2%(プラセボ投与群25.2%)、疲労24.0%(同20.5%)、呼吸困難22.3%(同23.9%)、放射線性肺臓炎20.2%(同15.8%)だった。このようにイミフィンジ投与による有害事象の増強には注意が必要だ。

同時に、化学放射線療法を終えて、イミフィンジ投与まで持っていけるかどうかが、治療の恩恵を受けるためのカギを握っているため、化学放射線療法での副作用を慎重に管理して、イミフィンジの治療を受けられるようにすることも大切だと大西さんは話す。

「イミフィンジの投与は、2週間に1回を6カ月以上続けることになるのですが、試験のサブ解析では、化学放射線療法後、イミフィンジの投与をできるだけ早く開始したほうが良いという結果も出ました。

42日以内に開始するべきであり、14日以内に始めることができると有意差がつくのです。治療を少しでも早く受けられるようにするためには、化学放射線療法後に、患者さんの元気な状態を維持し、副作用の出ない、あるいはできるだけ最小限に抑える状況へと導くことが重要だということになります」

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