PSA検診により早期発見も可能になった!!
前立腺がん丸わかり図解
近年、前立腺がんは
非常に増えていますと語る
赤倉功一郎さん
50歳以上の男性に多い前立腺がん。この病気の大きな特徴は、早期に発見することができれば根治可能な治療法がたくさんあることです。しかし、初期の前立腺がんは無症状のため検査で疑いを抱くかどうかが非常に重要になります。
Q 前立腺ってどこにあるの?
前立腺は、膀胱の下にあって、前立腺のなかを尿道が貫いて走っている。正常だと栗の実くらいの大きさである。精液の一部を作り、排尿のコントロールに関与している。
前立腺をもつ男性は、高齢になると尿がでづらくなる。
Q 前立腺がんの特徴は?
● 近年、日本で急増している ● 高齢の男性に多い ● PSA検査が早期発見に非常に有効である ● がん細胞が血液で運ばれて骨に転移しやすい
| ● たくさんの治療選択がある ● 男性ホルモン依存性である |
Q 前立腺がんってどうやって知るの?
血清PSA(スクリーニング) |
がんが発生して、前立腺の組織が壊れると血液中にPSAが漏れだしPSA 値が高くなる。PSA は腫瘍マーカーとしても非常に優れている。 |
直腸診 | 経直腸エコー |
直腸壁ごしに前立腺を触診して、大きさ、形、硬さなどをみる検査。この検査で異常が感じられても、触診だけなのでがんがあると確定診断はできない。 | 直腸のなかに棒状のプローブ(超音波用探子)を挿入し、前立腺のなかを画像で確認する。直腸診でわからないがんも見つけることができる。しかし、ある程度の大きさでないとがんを画像で確認することはできない。 |
生 検 | |
がんと確定診断するために不可欠な検査。麻酔が必要。直腸の前壁または会陰から針を刺し、前立腺の微小な組織を10カ所以上から採取する。顕微鏡を使って、この組織を検査して、がんかどうかを確認する。 |
Q グリソンスコアって何?
前立腺がんの悪性度を点数で表記する。患者さんから取ったがん細胞のうち、最も多いがん細胞のパターンを5段階で評価して悪性度を判定する。
その後、2番目に多いがん細胞のパターンを再び5段階で評価する。そして、両方の数値を足し算してグリソンスコアを決定。悪性度の低い(1+1)=2から悪性度の高い(5+5)=10まで9段階ある。
たとえば、(4+3)=7は、悪性度の低い点数(2~6)と悪性度の高い点数(8~10)の中間と判定できる。写真は、悪性度の高い点数のグリソンスコア 8である。
Q 病期の分類って何?
[前立腺がんのTNM分類]
T:原発腫瘍 N:リンパ節転移 M:遠隔転移
転移あり |
遠隔転移 |
[リスク分類(NCCガイドライン)]
低リスク | 中リスク | 高リスク | |
病期 | T1-T2a | T2b-T2c | T3a |
グリソンスコア | 2-6 | 7 | 8-10 |
PSA値(ng/ml) | 10> | 10-20 | 20< |
リスク分類によって治療法を選択する。低リスクは、性質のおとなしいがん細胞であり、小さな病巣なので、すぐに治療をしなくてもいいと判断されることもあるグループである。一方、高リスクは性質の悪いがん細胞であり、ある程度病巣が大きく、病状が進行しているグループである。中リスクは、これら2つの中間に分けられる。
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