がん看護専門看護師 山田みつぎの

副作用はこうして乗り切ろう!「味覚障害」

監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
構成●菊池亜希子
発行:2015年10月
更新:2020年2月

  

やまだ みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長。2006年日本看護協会がん化学療法看護認定看護師認定。11年聖隷クリストファー大学大学院博士前期課程修了(看護学修士)。同年、がん看護専門看護師認定。13年より現職。日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本看護研究学会所属

抗がん薬治療をすると、かなりの割合で味覚に異変を感じます。原因の多くは神経障害。有効な治療法はありませんが、治療終了後はゆっくり回復してきます。それまでは、おいしく食べられる味を見つけてしのぎましょう。

食べ物が味蕾に届かない

■図1 舌ブラシ

「何を食べても味がしない」「すべて甘く感じる」「肉が苦くて金属の味がする」など。抗がん薬治療を受けた患者さんの55~60%で、何らかの味覚障害が起きるとされていますが、私の印象では、もっと多いように思います。なぜ、抗がん薬治療で味覚障害が起こるのでしょうか。

味覚障害の原因をお伝えする前に、まず味を感じるしくみについてお話ししましょう。口の中に食べ物を入れると、唾液と入り混じって溶けます。その溶けたエキス(食べ物から溶け出した汁)を、舌の味蕾という味覚センサーが感知して、それが脳に伝達され、味を感じます。

ところが、抗がん薬の影響で口の中が乾燥すると、唾液が出にくくなるため、口の中で細菌が繁殖し、舌苔(舌を覆うバイオフィルムの膜)が厚くなります。こうなると、口の中に食べ物が入ってきても、舌の味覚センサーの感知が鈍るため、味を感じにくくなります。

対策は、舌を磨いて舌苔を取り除くこと。歯ブラシで舌を優しく磨いて頂きたいのですが、知らないうちに舌を磨きすぎて、かえって味蕾を壊してしまうこともありますので、ゴム製や軟らかい毛質の舌専用ブラシを使って磨くことをお勧めします(図1)。

また、水分の少ないパサパサした食べ物や溶けにくい固い食べ物は、味覚センサーが感知しにくい場合があります。予め、酢やレモン、梅干しなどの酸味を上手く活用して、唾液を出やすくしておくことや、人肌程度の水分を摂りながら食べるなどの工夫をされると良いでしょう。「食事の前の梅干1個」を習慣にされている方もいます。

味蕾が壊れると

■表2 亜鉛を多く含む食品

味覚障害が起こる2つ目の理由は、抗がん薬の影響で、味覚に関係する神経がダメージを受けることです。

味蕾やその中にある味覚神経そのものに影響が起こる場合と、味覚神経は大丈夫でも、味覚を脳に伝達する神経に異常をきたす場合とがあります。

これらの味覚に関係する神経がダメージを受けると、食べ物の味を感じにくくなったり、逆に特定の味だけ強く感じるなどの変化が起こります。

対策は、美味しく感じるように食べ方を工夫すること。醤油味より味噌味、固いものより柔らかいもの、熱いものより常温のもの、固形物より汁物のほうが味を感じやすいので、ぜひ試してみてください。

とはいえ、抗がん薬によってダメージを受けた味蕾は、3~4週間で再生されるので、この頃から味覚も徐々に戻り始めます。追って味覚神経も回復してきますので、半年ほどで、味覚はほぼ戻ると思われます。

ただし、味蕾を再生するためには、微量栄養素の亜鉛が必要と言われています。抗がん薬の影響で、亜鉛の吸収や活用が普段より妨げられるので、意識的に亜鉛を多く含む食品を摂るよう心がけましょう(表2)。

まだ検討段階ですが、胃潰瘍の薬として処方されるプロテカジンやプロマックといった薬が、味覚異常時の亜鉛補給によいことがわかってきました。実際に試している病院もありますので、医師や薬剤師に相談してみるとよいかもしれません。

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