FP黒田尚子のがんとライフプラン 68

要注意! 2019年10月の消費増税で初診料も値上げに!

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2019年11月
更新:2019年11月

  

くろだ なおこ 98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター。黒田尚子FPオフィス公式HP www.naoko-kuroda.com/

2019年10月から、消費税が8%から10%にアップされました。以前からわかっていたこととはいえ、これまで2度も延期されてきただけに、「もしかして今回も……」と期待した方もいるかもしれませんが、今回ばかりは避けられませんでした。

ただ、増税前に色々と買いだめしている方も医療費に関してはノータッチ。増税は関係ないと思っていませんか? 実は、そうとばかりは言えません。

そこで今回のコラムでは、医療費に関する消費増税の影響、値上げされた初診料などについてお伝えしたいと思います。

消費増税の医療費に関する影響は?

もともと消費税は、モノやサービスの消費にかかる税金です。医療に関して言えば、健康保険の対象となる検査や治療、薬剤等などの保険診療は非課税取引になりますので、消費税はかかりません。

しかし、予防接種や健康診断、人間ドック、美容整形手術、歯列矯正手術、インプラント、市販の医薬品の販売、国内未承認の医薬品の投与、入院時の差額ベッド代などは、消費税の課税対象です(なお、先進医療は2006年から非課税)。

とくに、がん患者の場合、注意したいのは「差額ベッド代」です。

具体的には、2019年9月30日に入院した場合、その日の分は8%ですが、10月1日以降は10%にアップしたので、月をまたいで入院される方は、支払いの際に驚かないように。

また、紹介状なしで大病院を外来受診した際の定額負担制度が2016年4月から義務化されています。

初診の場合は5,000円(歯科は3,000円)、再診(他の医療機関に対して文書による紹介を行う旨の申し出を行ったにもかかわらず、当該病院を受診)の場合は2,500円(歯科は1,500円以上)です。

いわゆる選定療養費の1つですが、これも別途、消費税がかかるため、実質的な負担増となります。

2018年度の診療報酬改定では、対象となる病院が「特定機能病院および一般病床500床以上の地域医療支援病院」から「特定機能病院および許可病床400床以上の地域医療支援病院」に拡大されています。これまでかからなかった病院も対象になっている可能性もあるので、ご注意を。

10月1日より診療報酬の一部が引上げに!

さらに注意すべきは、10月1日から消費税が10%になったことに伴い、診療報酬の一部が引き上げられた点です。

前述したように、保険診療は非課税なのですが、医療機関が医薬品や医療機器を仕入れる際には消費税がかかっています。そのため、仕入れにかかる増税分の負担を賄(まかな)えるよう、診療報酬に増税分を上乗せして対応する必要があるのです。

これまでも、1989年4月、1997年4月、2014年4月の消費税導入・引上げ時には、診療報酬や薬価等の改定の措置が行われてきました。

2019年9月末までの現在の初診料は2,820円(282点×10円)、再診料は720円(72点×10円)です。これが10月1日以降、10~数10円ずつ値上げされました。

実際に患者が窓口で支払うお金は、自己負担割合に応じて1~3割ですので、3割負担の場合、外来診療について、初診料は約850円から約860円、調剤基本料1は約120円から約130円と、わずかではありますが負担が増えました。

ただ、これだけでは医療機関の持ち出し分を賄いきれません。そこで、厚生労働省では、今回の消費増税に対する値上げについて、従来よりも初診料や再診料の上乗せ分を抑え、入院基本料の上乗せ分を多くする方針としました。

そのため、入院について、急性期一般入院基本料1(30日超)は1,591点から1,650点と59点アップ。3割負担の場合、約4,770円から約4,950円と180円の値上げです。

入院基本料は、基本的な入院医療の体制を評価したもので、施設基準や看護配置、平均在院日数などによって点数は異なり、実際の値上げ額も一律ではありません。

いずれにせよ、これは1日あたりの金額ですから、前述の差額ベッド代と合わせると、入院が長期化した場合、じわじわと負担が増すのは確実でしょう。

再診料・初診料のさまざまな加算に注意!

いわゆる病院は、医療法によって、ベッド数20床以上の医療施設を「病院」、19床以下もしくはベッドがない施設を「診療所」と定められています。

がん患者であれば、多くの場合、病院(しかも大病院)で治療を行うケースも多いと思いますが、これまで再診料については、病院と診療所で格差があり、病院よりも診療所のほうが高かったのです。

国として、「診療所は外来が中心、病院は入院が中心」という機能分化を強化した狙いがあったためで、実際の患者負担は約10~20円の違い程度です。

とはいえ、患者側からすると、設備の整った病院のほうが割安なら、そちらに行ったほうがおトク感はあります。このまま格差が広がると、国の思惑とは違った方向に患者の足が向かいかねません。

そこで、再診料を統一し、格差を解消した経緯があるのですが、その際にさまざまな加算も導入されています。

最近では、2018年度改正で、初診料に、「機能強化加算」(80点)が新設。専門医療機関への受診の要否などを含めた、夜間や休日でも患者からの電話相談に対応できるなどのかかりつけ医機能を整えているかどうかがポイントです。

対象は、診療所やベッド数200床未満の病院で、ベッド数200床以上の病院は対象外です。そもそも200床以上の病院は再診料ではなく「外来診療料」が算定されているなど、ご存じない方も多いでしょう。

患者のためにさまざまな加算が行われているのは理解できます。しかし、患者にしてみれば、かかりつけ病院が加算の対象になっているかどうか、費用が増えた分に見合うサービスを享受できているのかわかりにくいといった指摘もあります。

秋以降、受け取った診療報酬明細書を確認して、不明な点があれば、きちんと説明を求めるようにしましょう。

 

今月のワンポイント 2018年度改定では、「機能強化加算」以外にも「妊婦加算」が新設されました。妊婦を外来で診察した際の母体や胎児への配慮を評価したものですが、加算の趣旨の周知不足などから、コンタクトレンズの処方など、妊婦でない患者と同様の診療を行う場合に妊婦加算が算定された事例や、会計時に妊婦とわかってから算定した等不適切な事例の報告で批判が集中。新設から1年を待たず2019年1月から凍結されました。しかし最近、妊婦加算の復活の声が上がるといった報道もあります。きちんと適切に治療を受け、それに対する報酬を支払うのは当然ですが、できるだけ費用負担は減らしたい。今後さらに、診療報酬のあり方に対する患者の理解が求められていると感じます。

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