仕事をしながら療養する

先進医療保障付き保険に替え新たな仕事も見つけた

取材・文●菊池憲一(社会保険労務士)
発行:2013年11月
更新:2014年2月

  

田島久人さん
田島久人さん(64歳)は、長野県小諸市で田島陶器商会を営む2代目社長。陶器の販売やタイル工事を行う。49歳のとき、左の腎臓に4cmほどの腫瘍が見つかり、左腎臓と副腎を摘出する手術を受けた。腎がんだった。入院費用などは、高額療養費制度と民間の保険でカバー。3年前、先進医療保障付きの新保険にチェンジし、新たながんに備える。

再検査で腎がんが発覚

1997年、尿が赤色に感じたので、心配になり近くの総合病院泌尿器科を受診した。3月のエコー検査では膀胱に異常なし、造影剤を用いた組織検査でも異状なし。さらに、10月の尿検査やレントゲン検査でも尿管・腎臓ともに異状なしという結果だった。

この頃は、仕事のタイル工事が忙しかった。また、子どもの高校のPTA会長や、交通安全協会の事業指導部長、大手鹿島商店街の事務局長なども務め多忙だった。それでも「異状なし」を信じ、仕事に打ち込んだ。

ところが1998年1月のある日、尿が詰まった。無理をしたら、ゼリー状の尿が出た。今度は別の総合病院に行った。内視鏡で膀胱内を検査すると、尿道、膀胱ともに異状なし。しかし、片方の腎臓は尿が下りるがもう片方は尿が下りてこなかった。

そこで、CT検査を追加した。その結果、左腎臓に4cmぐらいの腫瘍が見つかった。担当医から「腎臓は片方が健全なら大丈夫。腫瘍のある腎臓は、摘出したほうがベターです」と手術を勧められた。少し迷ったが、手術を受けることに決めた。

同年2月23日に入院。26日、手術で左の腎臓と副腎を摘出した。3月14日に退院。27日に担当医から、「病理検査の結果、悪性の腎がんで転移なし。悪性度は中よりやや悪い」と告げられた。49歳のときだ。

仕事の引き継ぎは簡単だった。当時は初代社長の父親が健在だったため、入院生活も安心して送れた。

医療費は、高額療養費制度を利用した。民間の生命保険会社2社、さらに、商工会議所の共済にも加入していたため、合計4万5千700円の保険料を支払っていた。3社から手術給付金と入院給付金が支給された。「義理で加入した生命保険もありましたが、とても助かりました」と田島さん。

保険の掛け替え

手術後、抗がん薬治療は行わず経過観察となった。退院後、しばらくは無理せずに体調と相談しながら働いた。退院から3カ月後、自ら現場に出てタイル貼りをした。疲れはなかった。「手術前と変わらない。やっていける」という自信を得た。

ところが、景気のほうが次第に悪くなった。さらに、専門家でなくても貼れるタイルが普及し始めると、受注減と職人の退職が続いた。2005年頃から、タイル貼りは1人で取り組んだ。

幸い、3~6カ月毎の定期検査も異状なし。腎がんのことは、ほとんど気にならなくなっていた。しかし、この頃から心臓の心房細動に苦しみ始めた。1~2カ月に1回のペースで、循環器科の外来治療を受け、血液をサラサラにするワーファリンを飲み続けた。

腎がんと心臓疾患を抱えながらの受注減という現実に、毎月の生命保険料の支払いが重荷になった。そこで、3つの保険を解約してA社の勧める新保険の加入審査を受けた。

「腎がんだったから、加入は難しいと思っていましたがOKでした。新保険は、万が一のときのお守りです」

新保険の毎月の保険料は、約1万円。先進医療500万円、災害病気の入院は日数にかかわらず1日5千円、一時金5万円、手術には所定の手術給付金が支払われる。ただし、病気死亡の給付は少ない。月々の保険料負担は軽く、入院の際には先進医療を含めて保障が手厚く、充実しているのが特長だ。

2012年12月、市の健康スクリーニングで尿潜血とタンパク尿を指摘された。2013年2月、泌尿器科を受診。3月のCT検査では、腎臓や膀胱へのがん転移なし。だが、PSAが正常の約5倍の21で、前立腺がんが疑われた。前立腺の腫れを抑える薬を飲む。

4月下旬には採血、超音波検査を行う。腎臓、膀胱は異状なし。前立腺は触診ではがん特有の硬いものはなく、尿の勢いも異状なし。しかし、医師からは前立腺の組織を採って調べる針生検を勧められ、7月に針生検を受けた。

「前立腺がんと診断されたら、先進医療を含めた数多くの治療法の中から、最善の医療を選びたい。そのとき、お守りが役立つかも知れません」

心房細動=心房が細かく動く不整脈の一種 ワーファリン=一般名ワルファリン。抗凝固剤

地域のために役割を果たす

複数の病気を抱えながら、それでも新しい仕事を探し求めた。

2011年4月、シルバー人材センターに登録。2012年2月、地元小諸市にある「懐古園」内の遊園地での仕事が決まった。子どもたちが、安全に楽しく遊んでもらうための仕事だ。

「通院日と出勤日のスケジュール調整はうまくいっています」

民生児童委員と市福祉委員も引き受けた。活動費・報酬はわずかだが、生きがいだ。国の制度だから研修が充実している。現実と向き合うことで、勉強になることも多いという。2010年から2期6年間の社会貢献を目指す。もう1つ、小諸交通安全協会副会長を務める。これまで40年間、交通事故防止と安全運転のため、警察のお手伝いやボランティア活動をしてきた。引き続き、取り組んでいくという。

「本業の陶器販売とタイル工事のほかに、遊園地の仕事と年金で生活を支えています。民生児童委員と市福祉委員、交通安全協会の仕事はボランティアです。これからも、地元のために、ささやかな役割をきちんと果たしたい」と田島さんの表情は明るい。

キーワード 先進医療保障付き医療保険

先進医療とは、厚生労働大臣に承認された高度な医療技術のこと。
健康保険が適用されず、先進医療にかかわる費用は、全額自己負担でかなり高額になります。その費用をカバーするのが、先進医療保障付きの医療保険です。
最近、先進医療保障付きの色々な型の保険が登場しています。
保険内容は、先進医療の費用の実費を給付するもの、一定額を給付するものなどさまざまです。自分に合った保険選びが大切です。

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