始まりは仲間の追悼コンサートから
~サバイバーの時代~愛の風になる
監事 堤 寛
藤田保健衛生大学医学部第1病理学講座教授
NPO法人ぴあサポートわかば会
http://npowakabakai.com
http://aichipeer.com
連絡:wakabakai-sayoko@r7.dion.ne.jp(てらださよこ)
始まりは追悼コンサート
私たちNPO法人ぴあサポートわかば会は、2013年9月11日、神奈川県横浜市の横浜みなとみらい小ホールで、cancer survivorship for advocacy(がんを経験した者が主体的に活動すること)をテーマに、第7回「輪の和」コンサートを開催しました。
その始まりは、2004年3月に仲間の死を追悼するために行ったコンサートでした。
そして、がん患者支援が推進されるなかで、とくに医療者と患者の信頼関係を築く手段として、医療者と患者のハーモニーをテーマに、「音楽でwithness」「医療者と患者のハーモニー」「音楽でつながろう」と呼びかけ、「輪の和」コンサートと名付けで活動を始めました。それは音楽で「輪」になり「和」になる。テーマは、「いのちのつながり、愛と夢と希望」です。
これまでに、医療機関や施設への慰問コンサートも含めて、のべ36回のコンサートを開催してきました。そのなかで、「輪の和」=「peer support」をテーマに掲げたコンサートが今回で7回目でした。
わかば会の活動の特徴
私たちわかば会は、全国各地でcancer survivorship for advocacyを啓発しています。
①ピア・サポートプログラム“wellbeing program”(当会の開発した患者の自立、自己実現にアプローチするサポートプログラム)の実施
②「輪の和」コンサートの実施③サポーターのためのワークショップの実施
以上が活動の3本柱です。
2003年にわかば会を立ち上げて以来、11年にわたる活動経験をふまえて、未来に向かって、「愛の風になる」と決意しました。
地域社会でがん患者たちの仲間支援(ピア・サポート)を実践しながら、ひととひとがつながる「輪」を広げることによって、地域社会のなかで、がん患者やその家族のための「社会的支援」を充実させていきたいのです。
今回の新しい取り組み
今回の新しい取り組みは、チャリティーコンサートを自主企画し、当日にがん患者支援活動への募金を呼びかけたことです。サバイバーの活動を自立的で継続性のあるものにするために、活動資金は、まず、自ら調達して仲間支援をすべきと、自立した活動を目指すために行動開始したともいえます。
音楽はひととひとが感動の“とき”を共有できる喜びがあります。
大いなる恵みは、コンサートを企画し、準備し、当日を迎えるまでのプロセスにおいて、出演者、活動支援者、協力者、参加者、実に多くのひとと出会えることです。活動のプロセスに関わった多くのひとたちは、達成感を味わえます。音楽で感動的な時間を共有し、よい思い出ができることは本当に素晴らしいことです。
盛り上がったコンサート
18時、横浜市立大学医学生3名のピアノとフルートによる歓迎のプレ演奏でコンサートが始まりました。
第1部の出演者は総勢58名(患者、医師、プロ音楽家、学生、一般市民)、当日ボランティアスタッフ12名(患者、一般)、当日の入場者を含めると参加者合計197名が音楽を楽しみました。
「医師&患者のハーモニー」では、「わかば会」の代表で乳がんサバイバー寺田佐代子がピアノ、会の幹事で藤田保健衛生大学の堤寛病理医がオーボエによる演奏でグノー作「アヴェ・マリア」を披露しました。
サバイバーが企画し、医療者、プロの音楽家、医療系学生、音楽系学生、一般市民が応援しました。当日のチャリティーは、11万7250円が集まりました。お客さまは、たくさんの拍手をくださいました。みんなで歌いました。笑顔もたくさん見られました。コンサートに参加したみなさんは、きっと「感動」していただけたに違いないと自負しております。
また、2012年6月、宮城県東松島市で開催した被災地支援、第6回「輪の和」コンサートに友情出演していただいたベルリン在住のオーボエ奏者の渡辺克也さん。
今回、がん患者支援のためのチャリティーコンサートを企画して収益を活動に充当したいと話したところ、「協力します!」と快く引き受けてくださいました。
そして第2部で、渡辺さんのソロの演奏がホールいっぱいに広がり、すばらしい音色に心揺さぶられました。
プロの音楽家が、サバイバーのチャリティーコンサートに気さくに参加してくださったことは本当にありがたいことです。おかげで、サバイバーの巻き起こす「愛の風」のはじまり、第一歩にふさわしいコンサートとなりました。
私たちの思い
私たちの「輪の和」コンサート活動が、がん患者の自助と共助に役立つことができたら本望です。
さらに、私たちの活動が、「愛の風」となって、仲間(peer)の輪を広げ、その結果、地域社会を豊かにしてゆくことにつながれば、なお幸せです。
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