広げよう笑顔の輪

自分らしく病気を乗り越え、自分らしく社会で活躍するために

白石恵子 NPO法人 にこスマ九州 代表
発行:2014年3月
更新:2014年7月

  

NPO法人 にこスマ九州
代表 白石恵子さん
小児がん経験者のための支援団体
NPO法人にこスマ九州

〒811-1347 福岡市南区野多目3-1-2-212
TEL&FAX:092-515-2010
HP:http://nicosuma.net
E-mail:info@nicosuma.net


集まれる場所を作りたい

NPO法人にこスマ九州は、「広げよう笑顔の輪」を合言葉に小児がん経験者を支援する団体です。運営は小児がん経験者を中心に、医療関係者や多くのボランティアで行っています。

小児がんは、治療の進歩によって約80%が治るようになりましたが、進行した状態で見つかる場合も多く、その場合には根治を目的に大量の抗がん薬が使われます。そのため治療後は、再発だけでなく、晩期合併症やその他諸々の健康状態に対する心配をしなければならない時もあります。また小児期発症なので、病気になった後の人生は長く、発育の伸び悩み、学習面、人間関係、思春期独特の悩み、就職、恋愛・結婚・出産など成長発達に伴う心理社会的な気がかりは次々と出てきます。

小児がんの発症は、年間2千~2千5百人程度です。非常に稀な病気で、日常生活の中で、同じ病気の人に出会うことはほとんどありません。また、小児がん経験者には「治ったと言われたものの、病気を抱えながらの生活が大変」「何か他の人と違う気がする」「進学や就職はどうしたらいいのか」など、いろいろな思いがあります。

そういった思いをどのような形で受け止めていけばいいのだろうと、2009年に小児科医・看護師・臨床心理士・小児がん経験者などが集まり話合いをしました。

そして、「経験者同士がお互いに話し合って、自分らしい方法で乗り越えていくことが大切だ」「集まれる場所を作ろう」「のびのびできる環境が良い」と、小児がん経験者のためのキャンプを計画することになりました。

体験する場・仲間を作る場

一番のメイン活動「にこスマキャンプ」は、小児がん(以下、それに準ずる病気を含む)を経験した子ども達の交流キャンプです。春・夏の年2回、子ども達に自然の中での活動や団体行動の楽しさを体験する場を提供し、同じ経験を分かち合う仲間作りができるようにしています。小児がんになると、治療の影響により外遊びやスポーツなどに制限がかかることもあります。そのため、同世代の子どもと同じような経験ができないこともあるのです。そのため、キャンプでの企画を通して、子どもたちにはいろいろな経験をしてもらっています。企画内容は、小児がん経験者が発案・計画していますので、同じ経験したからこそできる配慮のある活動が催されています。

「にこスマ家族の集い」。親やきょうだいも小児がんと闘う。思いを共有できる人たちとの出会いは大切(上)「にこスマキャンプ」の経験は、子どもたちに変化をもたらしているという

話を聞くだけでも構わない「にこトーク」

12年にNPO法人となり、キャンプ以外の活動を増やしました。成人(18歳以上)の茶話会「にこトーク」では、小児がんや若年性がんの経験者が日々の出来事を語り合います。病気のことを職場に公開しているかどうかや体力的な問題、将来の展望、発症時に親や主治医からどのような告知がされ、その時の気持ちなど、いろいろな話題が語り合われます。

「にこスマ家族の集い」は、子どもとともに病気に取り組む親やきょうだいが集まる場所です。

長い闘病生活で、家族もいろいろな思いを抱えています。ここでは、それぞれの立場で話し、思いを共有して支え合います。また、小児がんに対する正しい知識を持ってもらうため、啓発活動も行っています。小児がんの社会的認知が進めば、偏見が減り小児がん経験者のQOL(生活の質)の向上にもつながっていくと思います。

病気の経験を自分らしいものに

10年から計8回のキャンプを実施しましたが、延べ296名の小児がん経験者が参加しています。年齢層は6~35歳までと幅広く、いろいろな経験をした仲間の姿を見て、お互いに刺激を受け合っているようです。

参加者からは「にこスマは私にとって、とても楽しい場所です。経験者の人とは病気のことを気にしなくて良いので落ち着いて話せます。その友だちと遊べるのは本当に楽しいです」(12歳)「社会復帰をするとても良いきっかけとなりました。退院後は入院前と同じ生活を行うことにとても苦労しました。自分を理解してくれる人が身近にほとんどおらず心細くて、1人で抱え込んでいました。しかし活動に参加して、同じように病気を経験した仲間が輝いている姿を見たり、先輩方からの素敵なアドバイスや経験談を聞いたりしているうちに、私も前向きに頑張れるようになりました」(20歳)といった声がありました。

初めて参加する時は、みんな緊張して不安そうな表情ですが、一度参加すると「また参加したい」と嬉しそうに帰っていきます。また保護者は、戻ってきた子どもからキャンプの様子や友だちができたことを聞き、親から離れても大丈夫だと子どもを見直すきっかけになっているようです。

私は、小児がん経験者が出会い楽しく活動をしながら、それぞれが自然な形で病気と向き合い、病気の経験を自分らしいものとしてほしいと思っています。

にこスマ九州は、正会員22名・サポート会員72名・学生対象のにこスマメイト5名となっています(13年12月現在)。活動に参加する小児がん経験者は、福岡を中心に九州・中国地方などの各県から集まっています。

また、九州がんセンター、九州大学病院、久留米大学病院などの協力施設、新聞社や一般企業など、多くの方々からご支援を頂いています。

今後も現在の会員や新しく会員になってくださる方の応援を受け、ますます多くの小児がん経験者の支援をしていけるように活動を充実させていきたいと思っています。

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