ハート・マンマ(H・M)の会(乳がん/神奈川)
ありのままの自分を、安心して語ることができるように

ハート・マンマ(H・M)の会 代表 山尾和子 田沢百合子
発行:2012年4月
更新:2013年4月

  

横浜市立大学付属病院内にある、乳がん患者会

40代から50代、この年代の女性は家庭、職場、そして地域などで柱となって活躍する時期です。

また、この年代は役割の大きさと比例するかのように乳がんに罹りやすいことも知られています。社会において果たす役割が大きいほど、乳がん患者は治療に際してさまざまな調整が必要になってきます。

「家族に心配をかけたくない、近所の人に知られたくない、同僚に迷惑をかけたくない」と思うことも多く、整理しきれない不安や悲しみを1人で抱え込み、深い孤独感を抱いてしまうこともありがちです。しかし、患者同士が同病らしき人の不安や苦しみを検査室前や待合で目の当たりにしても、「声をかける場、話し合える場」がありませんでした。

代表の田沢百合子さん(左)と山尾和子(右)さん

代表の田沢百合子さん(左)と山尾和子(右)さん

2010年4月。「この病院に患者会はありませんか?」という年々増える患者の声を受け止めてきた看護師の想いと、何年も前からチーム医療を推進・実践していた乳腺外科・千島隆司医師(当時)の、「乳がん患者会を作ろう」のひと声から全てが動き出しました。

すでに患者会の必要性を痛感していた医師、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師がすぐに賛同し、2人の患者に声がかかりました。

2010年9月、看護師と2人の患者で院内患者会の基本的なイメージ・活動の概要を具体的に話し合いました。「元気にならなければ、と思わせる会でなく、ありのままの自分を安心して語れる会にしたい」という患者会の目的を確認し合いました。同年10月に初めての幹事会を開き、概要をとり決め患者会の名称も「ハートマンマの会」と決めました。

その後、他の病院の院内患者会の代表の方にも「要綱作成のポイント、広報の効果的な方法、患者会に必要なアイテム」等、多くのヒントをいただきました。こうして第1回の「ハートマンマの会」は2011年1月にスタートしました。 

かわいいハートマンマのロゴマーク

かわいいハートマンマのロゴマーク

「ハートマンマの会」は、いつも表情豊かです。泣いたり、眉間にしわを寄せたり、笑ったり……。主な活動は、とにかく「話すこと」です。でも、この会には簡単な決まりごとがあります。それは「自分の考えを押し付けない、言いたくないことは言わなくてもいい、元気でなくてもそれでよい、守秘を心がける」等です。

日常的には、患者相互の情報交換や「今困っていること、自分なりに工夫していること」などを、お互い話題にのせていきます。例えば脱毛や、腕のむくみ、放射線の副作用などに関する心配をお互いに体験者から聴けるのは心強いです。また、病気を知らない周囲の人たちとのお付き合いの仕方などについても相談し合います。

最初は参加者2人から始まりましたが、2011年11月現在では、参加者は10人を超えています。リピーターも多く、毎回の患者会は親しみやすい雰囲気を作り上げているのかもしれません。

いつも机にはお菓子と飲み物……そしてティッシュの箱。好きな飲み物を飲んで落ち着き、お菓子でなごみ、泣きたいときは泣いてよい会です。

みんな集まると心強い。ハートマンマの幹事一同

みんな集まると心強い。ハートマンマの幹事一同

初めての参加者も、すぐ打ち解けられます。そして、心強いのは後ろに控えて参加している看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、ときには婦人科の医師、乳腺外科の医師も患者会の状況によって参加することです。

私たち患者が話し合いの最中に疑問に思ったとき、例えば薬の飲み方についての理解の仕方「食前・食間・食後」とは?あるいは薬を飲み忘れたときは、どうしたらよいか? などの専門的な回答がほしいとき、振り返れば薬剤師がいて適切に応えてくれます。

患者会で毎回集めるアンケートにも、「患者同士話ができて自分1人の悩みでないとわかりほっとした、今まで1人で待合にいたが患者会で知り合った人と顔を合わせられるようになって安心する、情報が得られて参考になる、もっと前から患者会があればよかった」という意見が寄せられ、幹事たちの力の源となっています。

ある日、患者会の中での「私たちで患者のために何かしたい」という1人の方の言葉は、私たちの社会参加の気持ちを呼び起こしました。病気だから何もできないのではなく、病を知ったからできることがあるという逆転の発想です。

そんなわけで、私たちは昨年の9月ころから冊子作りを始めています。患者による患者のための、横浜市立大学付属病院オリジナル乳がんへの対応手引書、題して「乳がん患者の知恵袋」です。定例の患者会の時間を少し割いて、現在項目立てをしています。ゆっくり楽しみながら役に立つ小冊子作りに取り組むことで、自分たちの今までの病気の経過を振り返ることができます。そこで心を整理して、次へと向かう気持ちを確認しています。

また、他の病院の患者会との交流会も構想中です。横浜南部地区の患者会同士のつながりも、大切かと思います。その他、医療関係者による勉強会など……。なにしろ誕生してから1年に満たない患者会です。試行錯誤の日々です。でも、皆つながり合って今をしっかり生きています。


横浜市立大学付属病院

〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9
TEL: 045-787-2800 FAX: 045-787-2901
ホームページ : http://www.fukuhp.yokohama-cu.ac.jp/
乳がん患者会担当者: 加藤弘美(看護部)


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