わかばカフェ(子育て世代のがん患者サロン/北海道)
子育て世代のがん仲間が集う癒やしの空間

わかばカフェ店主(北海道大学助教 チャイルド・ライフ・スペシャリスト) 藤井あけみ
発行:2011年12月
更新:2013年4月

  
藤井あけみさん
わかばカフェを主宰する
藤井あけみさん

子どもの心の専門家が子育ての悩みをサポート

ある日のわかばカフェ

ある日のわかばカフェ。お菓子作りの上手なUさんがシフォンケーキを作ってきてくれ、おいしくいただきました

わかばカフェは、北海道大学病院に2011年6月にオープンした"子育て世代のがん患者サロン"です。毎月第2、第4月曜日の午後、患者さんが自由に参加し、お子さんや子育てのことについて、お茶を飲みながら気軽に話し合っています。まだ始まって数カ月なので、参加者は平均5、6名、男女比は5対1といったところです。

オープンにあたっては病院長、腫瘍センター長、副センター長をはじめ、多くのスタッフの応援がありました。とくに患者さんを1番近くで知る看護師さんが患者さんに直接声をかけてくれていることは大きな力です。

わかばカフェの第1の特徴は、参加者が”子どものいるがん患者さん”ということです。お子さんの年齢は幼児から20歳前後と幅広く、いろいろな年代の子どもの話をしたり、聞いたりすることができます。

子育ては親がたとえ健康であっても大変な仕事です。ですから、親ががんであるという状況は並大抵の大変さではありません。幼い子どもは何もわかっていないように見えて、多くのことを察しています。親の微妙な変化を感じとり、小さな心を痛めています。小学生は親に遠慮しがちです。本当はいろいろ聞きたいのだけれど、聞いたら親を傷つけそうで聞けず、いつも我慢しています。思春期の子どもは自立と親への依存の間で揺れています。そのようなとき、ふと垣間見た親の弱っている姿に、彼らは動揺し傷つきます。

「がんになった親と子育て」というのはこれまで省みられなかったジャンルです。ここに光を当て、患者さんのサポートをするのがわかばカフェです。

わかばカフェ応援団のみなさん

わかばカフェ応援団のみなさん(北海道大学病院腫瘍センター緩和ケアチーム)

わかばカフェの第2の特徴は、北大病院に常勤するチャイルド・ライフ・スペシャリスト()が毎回参加して、必要があれば相談に応じていることです。

参加者の皆さんから寄せられる相談で多いのは病名告知に関するものです。子どもへの病名の伝え方、タイミング、告知後のフォローについてなど、さまざまです。ほとんどの場合、参加者の皆さんからのアドバイスで解決していますが、どうしてもというときはチャイルド・ライフ・スペシャリストもお手伝いしています。

なお、北大病院以外に入院中・通院中の方でも、わかばカフェに参加できます。

これまで参加してくださったメンバーの感想の一部を紹介します。

「今回、手術だけで終わると思っていたのが初めての放射線&抗がん剤治療という未知の世界に飛び込むことになり、ただ不安で、とにかく何か1つでも知りたいと思っていました。"がん"仲間ではないですが、この病気になったからこそ知り合えた仲間に出会えて本当に良かったです。つらい思いしている分、楽しいこともないとまいってしまいますからね。私はこんな交流がどんどん広がっていくことを願っています」

「子育て世代&がん治療中という共通点が、カフェの雰囲気を柔らかくしていると感じました。治療中の悩み、子どもとの生活の悩みなど、いろんな意見を聞けてためになります」

「子どもとの接し方や子どもへのサポート方法をアドバイスいただけるのがありがたいです」

「ちょうど入院中で、体調も気持ちも落ちているときに、看護師さんから教えていただき、気分転換に参加してみようかなと思いました。実際参加してみて、皆さんの話を聞いていろいろ勉強させていただいています」

「カフェの雰囲気はとてもほっこりしていて、つらく落ち込み、自分の前の大きな壁をどうにもできないときなど、そのヒントが見つかる場所だと思っています。また、1番心配である子どもに関しても、プロのアドバイザーがいらっしゃるので何でも相談にのっていただけてとても安心できます。私は再発して現在治療中です。これからもカフェの方々に助けられながら、病魔と闘っていきたいと思います」

わかばカフェの10月のポスター

わかばカフェの10月のポスター。センス抜群のスタッフのYさんが毎月作ってくれます

「わかばカフェは、同じがんという病気を持つ者同士、子どもを持つ親同士なので人には言えない、家族にも言えないことでも言える場です。自分の心の中の苦しみやもがきもここでなら、『吐き出してもいいんだ~』という気持ちにさせてくれます。私にとっては『解放の場』だと思います。病気のことはもとより、バカ話をして笑ったり、いろんな話をしたりしながら、安心感を得ています。自分の悩みも解消できて、少しでも人の役に立てているのかなと思えることで、明日からの原動力をもらって帰ってきています」

誕生したばかりのわかばカフェを、これからも参加者の皆さんと一緒に育てていけたらいいなと思います。

本音をいいますと、1番楽しみにしていて1番癒やされているのは、実はカフェの店主である私自身ではないかと思う昨今です。

チャイルド・ライフ・スペシャリスト=病気の子どもや、病気の親を持つ子どもの心の問題について支援を行う専門職


わかばカフェ

〒060-8646 札幌市北区北14条西5
北海道大学病院腫瘍センター 外来棟3階カンファレンスルーム
TEL: 011-706-5659
ホームページ : http://www.huhp.hokudai.ac.jp/cancer/other/wakabacafe.html


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