特定非営利活動法人メディカルメイクアップアソシエーション(メディカルメイク)
肌の傷跡や変色を目立たなくさせる「メディカルメイク」の普及を目指して

特定非営利活動法人メディカルメイクアップアソシエーション理事 小井塚千加子
発行:2011年11月
更新:2013年4月

  

肌の悩みを持つ患者さんのQOL向上に向け、がん経験者や医師を糾合

小井塚千加子さん

メディカルメイクアップ
アソシエーション
理事の小井塚千加子さん

メディカルメイクといっても、きっとまだご存知ない方が多いでしょう。メディカルメイクというのは、がん(皮膚がんや頭頸部がんなど)、種々の皮膚疾患、ケガなどで、とくに顔や首、腕、手足といった見える部分に傷跡や変色などが残った場合、化粧品などによって、それを自然な感じで隠す技術のこと。

たとえば、皮膚がんの治療の1つとして皮膚の移植があげられますが、完治するまでは縫合した部分などに皮膚の変色が残ります。メディカルメイクでは、ファンデーションなどによって皮膚の色の違いをわからなくするのです。

メディカルメイクアップアソシエーションは、メディカルメイクの普及を目的に、皮膚がん経験者などの患者と皮膚科医などの医療者、美容関係者などが集まって2001年に発足しました。メディカルメイクの普及に取り組んでいるのは、メディカルメイクが患者さんの精神的負担を軽減し、ひいてはQOL(生活の質)の向上に役立つと確信しているからです。

皮膚の傷跡や変色は患者さんにとって大きな精神的負担になっています。皮膚に傷跡や変色があると人目がどうしても気になり、外に出るのが苦痛になります。その結果、性格まで消極的になって、人生を無為に過ごしてしまうことにもなりかねません。

メディカルメイクを活用すれば、多くの患者さんが健康的な皮膚の人と見分けのつかない外見を手に入れ、精神的負担から解放されることで、人生を前向きに送れるようになると私たちは考えています。

若い女性の患者さんはもちろん、高齢の女性や男性の患者さんでも、肌の問題に悩んでいる人が少なくありません。実は私自身、メディカルメイクに出合うまでは、肌の問題を抱える1人でした。そして、メディカルメイクの普及活動を始めて、肌のことで深刻に悩む患者さんがいかに多いかということを、痛感するようになりました。

メディカルメイクは肌の問題を根本から解決するわけではありません。しかし、1度テクニックを身に付ければ、誰でも簡単にメイクできるようになるので(慣れれば5~10分でできるようになる)、肌のことで悩まなくてすみます。

首の脇の傷跡がメディカルメイクできれいに消えた

首の脇の傷跡(左)がメディカルメイクできれいに消えた(右)

近年、医学の進歩によって、血管腫()や母斑()などはレーザー治療で治せるようになりました。しかし、中には完全に治せない皮膚の症状もあるので、メディカルメイクはレーザーの治療中に使うという、医療の補助手段としての役割も担っています。

メディカルメイクの技術はとても進んでおり、多くの皮膚の傷跡や変色を完全にカバーすることができます。中には、乳首を失った乳がん患者さんのために、ピンク色の化粧品を使い、乳首があるように見せるメイクもあります。化粧もちがよく、汗にも落ちないので、水泳や温泉入浴も可能です。

肌の凹凸を隠すのは難しいのですが、私たちは医療機関との共同研究で、リンパマッサージなどを使って肌の凹凸を目立たなくする技術の開発を進めています。また、毛髪ケアの相談にも応じています。

メディカルメイクを学んでいるサポーターの人たち

メディカルメイクを学んでいるサポーターの人たち

現在、メディカルメイクアップアソシエーションは会員約590名で構成され、会員の会費と寄付で運営しています。

事務局には私を含めた専任2名、非常勤3~5名のスタッフがいて、メディカルメイクの電話相談、ホームページの運営、医療機関・教育機関・マスコミへの広報活動など、さまざまな実務を担当しています。

また、メディカルメイクの技術を習得した「サポーター」と呼ばれるボランティアが全国に約150名いて、メディカルメイクの普及活動に携わっています。

主な活動はサポーターの養成と相談会の開催です。サポーター養成講座・認定講座では、約60時間の講習を行い、各講座の試験に合格した人にサポーターの資格を認定しています。受講者は年々増加しています。

[メディカルメイクの教室がある医療機関]

  県名 開催予定 病院名
1 京都 偶数月 第3金曜日 京都大学病院
2 福岡 奇数月 第4木曜日 久留米大学病院
3 大阪 毎月 第2金曜日 近畿大学病院
4 和歌山 奇数月 第4金曜日 和歌山県立医科大学病院
5 福井 毎月 第3木曜日 福井赤十字病院
6 鹿児島 毎月 第4水曜日 鹿児島大学病院
7 大阪 毎月 第1金曜日 関西医科大学滝井病院
8 北海道 毎月 第3木曜日 札幌医科大学病院
9 東京 毎月 第4月曜日 東京大学病院
10 宮城 毎月 第2火曜日 東北大学病院
11 神奈川 毎月 第2土曜日 なでしこクリニック
12 福井 毎月 予約入り次第 さかい皮膚科
※メディカルメイクアップアソシエーションと提携し、サポーターがメディカルメイクを行っている

また、患者さんが参加する相談会は東京、大阪で年1回開催するほか、札幌、福岡などの地方中核都市でも開催して、肌の悩みやメイクの相談を受けています。毎回100人以上の参加があり、現在までに約3000人に来ていただいています。しかし、まだメディカルメイクを知らない方が多いと思いますので、私たちは東京サロン、札幌サロンを設けているほか、サポーターがいる地区では、相談できるような場所を設置しています。

白斑()、交通事故の外傷などに悩む人のご相談が多いのですが、最近ではがん患者さんが目立って増えてきました。皮膚がん、頭頸部がん、乳がんなどがん種もさまざまで、抗がん剤の副作用による皮膚の変色の相談もよく受けています。

私たちが力を入れているのはメディカルメイクを相談・施術できる医療機関を増やして、患者さんが肌の悩みを抱えたとき、その場でフォローできるようにすることです。現在、12カ所の医療機関と提携していますが、このネットワークをもっと広げていきたいと考えています。

血管腫=血管組織が部分的に増殖する病気
母斑=皮膚の色や形の先天的な異常
白斑=皮膚の色素が部分的に脱落する病気。自己免疫疾患と考えられている


特定非営利活動法人メディカルメイクアップアソシエーション

〒162-0822 東京都新宿区下宮比町2-18 グランドメゾン飯田橋1102
TEL: 03-5261-7320 / FAX: 03-5261-7322
ホームページ : http://www.medical-makeup.net
Eメール: info@medical-makeup.net


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