広島 ホスピスケアをすすめる会(ホスピス/広島)
希望通りの最期を迎えられる信頼されるホスピスボランティアの養成を
広島ホスピスケアをすすめる会
代表の
石口房子さん
「小さな町のホスピスモデル」の拡大へ
当会は、今年で設立17年目を迎えました。設立当初は、ホスピス(緩和ケア)という言葉が、まだ医療従事者にも市民にもあまり知られていませんでした。そのため、ホスピスケアの啓発と実践を目的に、医療関係者や市民が一緒になり当会を設立しました。
最初に始めた活動は、『ホスピスダイヤル ―がん闘病相談―』です。電話相談の訓練を積んだ相談員10名が、交代で毎週土曜日に担当をしました。がん患者さんやその家族の相談場所が皆無だったため、多くの相談が寄せられました。「激しい痛みに苦しんでいる」、「家に帰りたいがどうすればいいのかわからない」「ホスピスは何処にあるのか?」など、さまざまな声が寄せられました。
次に取り組んだのが、ホスピスボランティアの養成です。ホスピスボランティアは、在宅ホスピスを実践していく上で欠かせない存在です。まだ介護保険がない頃でしたので、がん療養者を助ける上でも、QOL(生活の質)を向上させる上でも、ホスピスボランティアが欠かせませんでした。とくに独居の末期がん患者さんには、ボランティアの存在はとても有効で頼りとされました。
当会の歴史を振り返って、一段と輝いているのは、『広島にホスピスを求める会』を関係団体と一緒になって設立したあと、県内に緩和ケア病棟を造るため広島市議会・広島県議会に請願署名を行ったことです。
1998年頃は、県内にホスピス病棟が1カ所もありませんでした。9月から翌年2月まで県全体へと広がった署名活動は、15万名余りの署名を集める形となりました。そして、請願は異例の早さで採択され、5年後には、広島県立病院と広島市民病院に緩和ケア病棟ができたのでした。
こうした活動を通じて、ホスピスの理解は一般市民にも進んでいきました。今では、広島県は国内でもホスピス先進県と呼ばれるほど、充実してきています。
現在の活動としては、まず、がんサロン『つむぎの路・広島』などの運営です。患者さんだけでなく誰でも参加しやすいようにサロン形式にしました。そのため、患者さんやそのご家族とボランティアとの交流がよくとられているようです。患者さんからは、「この会が、生きる支えになっている」と言われ、とても嬉しかったことを覚えています。
また、がんの知識や情報について、市民が医療者と同じように関心を持ち、医療者とのコミュニケーションも上手にとれるようになることを目的とした、『がん市民講座~かしこい患者になるために~』を開いています。同時に、終末期のケアに関わる看護師などを対象に、患者さんとより深いコミュニケーションがとれ、看護師の精神的ストレスも軽減できるようになればと、『ホスピスケアカウンセリング講座』なども開いています。
その他にも、末期がんで療養されている方とそのご家族を訪問し、話し相手になったり病院に付き添ったりといった支援をする『ホスピス訪問ボランティア 一歩(いちほ)』なども行っています。
人口2万人ほどの竹原市にある竹原支部「サロンつむぎの路」は、5年前に開設されました。こうした小さな街では、公立・私立を問わず施設ホスピスを設立・運営するには、経営や人材の面でも困難でした。しかし、もちろんがん患者さんは存在し、症状のコントロールで苦しむ方や、最期を在宅でと望む患者さんもいます。
そこで開設された同支部は、代表の大石睦子さんらによって、ボランティアにより運営されています。毎週木曜日の午前中から集まり、地元食材を使った昼食会を皆で楽しんだりしています。
特徴としては、病状が進行して在宅での療養を望まれる方には、ホスピスボランティアが在宅ホスピスを支えます。この活動こそが、他の組織ができそうでできない貴重な内容ではないかと考えます。そして、なによりも、ユーモアを大切にして皆がいつも笑っていることが特徴だと考えています。
ホスピスボランティアが、在宅ホスピスのチームの一員となり、看取るところまで積極的に関わる。患者さんと家族を支え、チームに足らない情報は、ボランティアも人脈を駆使して集め、それをチームと共有するよう努めています。
「最期まで家で」と希望されるのは、私たちのサロン参加者に多い傾向です。サロンに参加する中で、ボランティアとの信頼関係もでき、仲間が希望通りに最期まで家で療養できているのを見たとき、「自分も!」と思えるのでしょうか。この活動を私たちは、「小さな町のホスピスモデル」と呼び、全国に広がっていくことを望んでいます。
施設ホスピスに頼らない、しかも、ホスピスボランティアの力が大切なのだ、ということを全国の方に知ってもらいたいと思っています。
広島ホスピスケアをすすめる会
同じカテゴリーの最新記事
- 新しくWell-beingをテーマに 4つの活動を柱に日本骨髄腫患者の会の輪を広げたい
- 患者会E-BeC「第10回 乳房再建全国キャラバン」を広島で開催
- 「小児脳幹部グリオーマ」患者会 厚生労働大臣に直接陳情
- 「医師と患者で、一緒に考えよう」をテーマに BCネットワークが第6回乳がんタウンホールミーティングを開催
- 乳がん体験者ががん患者を支える 患者の悩み、必要なサポートとは?
- リンパ浮腫について知ろう、語ろう、「リンパカフェ」
- 「乳房再建手術がわかる」 セミナーを開催
- BCネットワークでは初めて、患者さんの経験談をメインに開催
- 患者さんや家族の気持ちが、少しでも楽になるように「まる」と名付ける
- 「小児脳幹部グリオーマ」に関する要望書を厚生労働大臣宛に提出