精巣腫瘍患者友の会(精巣腫瘍/全国)
日本で初めてできた精巣腫瘍の患者会
知ってほしい、精巣腫瘍というがんがあることを

監修:小嶋修一 「精巣腫瘍患者友の会」発起人(TBSテレビ報道局解説委員)
発行:2011年3月
更新:2019年7月

  
小嶋修一さん
「精巣腫瘍患者友の会」発起人の
小嶋修一さん
患者も少ない精巣腫瘍。若年性であること、また性にかかわるがんであり、1人で悩む患者さんは少なくない。 そんななか、日本で初めてこの精巣腫瘍の患者会が、精巣腫瘍患者によって立ち上げられた。

日本で初めての精巣腫瘍の患者会

「精巣腫瘍患者友の会」(正会員50人)通称、「J-TAG(ジェイ・タッグ)」は、2010年10月に産声を上げた。京都と東京で、10月30日に患者会発足のキックオフミーティングを開き、両会場であわせて約250人が参加した。

胃がんや肺がん、肝臓がんなどに比べ、「精巣腫瘍」は、あまり知られていない。精巣腫瘍というがんもあるということを知ってもらいたいという思いは、患者会設立への大きな原動力となった。

では一体、どんながんなのだろうか。

男性器である精巣にできるがんで、患者は人口10万人当たり2人程度と、きわめてまれながんである。しかも患者の約3分の2は、30代までに発症するという若年性のがんでもある。発症などの仕組みは、ほとんどわかっていない。治療は精巣摘出と、化学療法が中心だ。私が精巣腫瘍で治療を受けたのは1986年。もう四半世紀も前のことになる。

この病気の呼び方は、「精巣腫瘍」、「精巣がん」、「睾丸腫瘍」などさまざまだが、私たちは、病名を、精巣腫瘍に統一してもらえないかと、学会などに提案していきたいと考えている。多くの患者が「睾丸」という言葉を避けてほしいと思っているからだ。

さて、同じ、性に関わるがんでも、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどは、製薬会社のホームページにわかりやすい解説コーナーが設けられていたりする。ネットで検索すれば、多くの患者のブログも見つけられる。さらに、書店でも、解説書や闘病記を容易に入手できる。しかし、精巣腫瘍に関しては、どれをとっても、ほとんどないというのが現状だ。

さらに驚くべきことがあった。日本には精巣腫瘍の患者会が、1つも存在していなかったのだ。

患者が少ないうえに、患者のほとんどは働き盛りの男性である。がんを克服できても、精巣のがんであるという気恥ずかしさや、職場復帰後の忙しさなどから、患者会を立ち上げるまでには至らなかったのだろう。

こうした状況の中、〝今後どうなるのか〟と、不安で一杯の患者や家族が、相談に乗ってもらえる仲間すら見つけられないことに愕然とするという。私たちが、今この場で、患者会を立ち上げなければならないという気持ちに駆り立てられた理由は、このあたりにあった。

精巣腫瘍は、若者のがんで、かつ、性にかかわる病気である。長期入院で退社を余儀なくされた患者や、性機能に障害が出たため子作りを断念させられた患者もいる。結婚をあきらめたケースさえある。

がん克服だけの問題でなく、就労や、結婚・出産など、多くの社会的な問題も抱えているため、家族や地域、医療態勢など、社会が支えていくことが大切になる。とりわけ、パートナーの理解と協力が欠かせない。

精巣腫瘍を知るということは、がんという病気の社会的側面をも知ることにつながるのだ。

サバイバーシップに則って会を運営

写真:精巣腫瘍患者友の会

患者が少ないうえに、情報も少ない精巣腫瘍患者の現状から、患者会を立ち上げた。左が代表の改發厚さん、その隣が京都府立医科大学教授の三木恒治さん

「サバイバーシップ」ということばをご存知だろうか。がんを克服した体験者はもちろん、今がんと闘っている患者や、患者・体験者の家族、支援者、医療関係者など、がんの闘病に関わる全ての人がサバイバーであり、サバイバーが患者を支えるという考え方がサバイバーシップだ。

この考え方に則り、私たちの患者会には入会資格の制限がない。そのため、患者だけでなく、患者の母親や妻などの家族や患者会、教育関係者、医療関係者らも入会していることが特徴だともいえよう。

また、この会が、患者や家族を精神的に支え、科学的根拠に基づいた最新の情報を提供する場となれればと考えている。発起人の1人で、精巣腫瘍治療の第一人者、三木恒治・京都府立医科大学教授の全面的な協力も大きい。

加えて、寄付を集めることを活動の大きな柱に据えている。精子の保存システムの改良と普及、難治性精巣腫瘍の治療法開発、晩期障害(治療後何年も経ってから現れる化学療法などの副作用)など、見過ごされている精巣腫瘍の研究に役立ててもらうためだ。

さらに、私たちの会では、性に関わるがん(男性の前立腺がんや、女性の乳がん・子宮がん・卵巣がんなど)の患者会に、連携や交流、協力関係の樹立などを呼びかけている。すでに、乳がんや子宮頸がんなどのいくつかの患者会が、提携を申し出て下さっている。

精巣腫瘍のシンボルカラーオーキッド

写真:「京都宣言」

会のめざすところをまとめた「京都宣言」。1人の乳がん体験者が心をこめて筆書きしてくれた

以上に記したこの会の目指すところは、「京都宣言」()という形でまとめられた。私の草稿をもとに、発起人の間で文章を吟味し、磨いた。それを、1人の乳がん体験者が、1文字1文字心をこめて筆書きして下さった。寝食を忘れて書き上げた、まさに魂の力作だ。キックオフミーティングでは、この「京都宣言」の末尾に、サバイバー1人ひとりが署名し、がん撲滅などを誓った。10年後、再びこの京都の地に、メンバー全員で元気に集おう、ということになっている。

ちなみに、乳がんのピンクリボンに代表されるリボンだが、精巣腫瘍にもある。「オーキッド・リボン(淡い紫色)」だ。覚えておいていただけると嬉しい。

「京都宣言」は本会のホームページに全文が掲載されている


精巣腫瘍患者友の会(通称 J-TAG ジェイ・タッグ)

代表 改發(かいはつ)厚
事務局 〒532-0011 大阪市淀川区西中島 5-7-14 大京ビル206号(キャンサーネットジャパン内)
TEL:06-6886-3388 FAX:06-6886-3387
ホームページ
精巣腫瘍患者会友の会のリボン「オーキッド・リボン」


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