「患者の生命保険を考える会」(がん全般/全国)
生命保険のことを正しく知り、最大限に活用するために

「患者の生命保険を考える会」代表 濱崎研治
発行:2010年12月
更新:2013年4月

  
濱崎研治さん
「患者の生命保険を考える会」
代表の濱崎研治さん

生命保険の活用法について全国で勉強会を開催中

私たちは、世帯平均で年収の約8パーセントもの大金を生命保険に払い続けています。その結果として、私たちが生命保険会社に支払う保険料の総額は、住宅の次に高い買い物であるといわれます。また死亡保険金の額は住宅の価格を超えるほどに高額なのです。

皆さん、「そんな生命保険は生きている間に必ず現金化できる」ことをご存知でしょうか。

私たち「患者の生命保険を考える会」は、生命保険について学び、かつ患者さんにとってより良い生命保険のあり方を考える会として活動しています。

私は生命保険業歴25年の日本保険学会の会員であり判例・新保険法について現在も勉強中です。またこの8年間は消費者である患者さんの視点から生命保険を注視してきました。

当会を立ち上げたきっかけとなったのは2007年、知人の看護師に「生命保険を解約しようとしている末期の患者家族がいるので相談に乗って欲しい」と頼まれたことでした。

その患者さんとご家族は治療費を賄うために保険を解約し、解約返戻金を得ようとしていました。

私はすぐにご家族へ連絡を入れました。保険の解約ではなく、生きている間に生命保険金の前払いができる「リビングニーズ特約()」などの方法があることを何度も伝えましたが、病院で寝泊まりして看病を続けるご家族と会うことはできず、その間にご家族は保険を解約してしまいました。

写真:保険会社と代理店向け勉強会の模様

がん患者さんと医療相談員による、保険会社と代理店向け勉強会の模様

イラスト

「生命保険を上手に利用できたら良いなぁ~」

写真:生命保険について熱弁をふるう、会員の松原さん

生命保険について熱弁をふるう、会員の松原さん

その生命保険の死亡保険金は2千万円。ですが彼らが受け取った解約返戻金はたったの80万円でした。そして相談を受けた5カ月に、その患者さんは亡くなられました。

私は、このような例を何回も経験してきました。そして死と直面するような状況の中で、患者さんやご家族が保険やお金の話について話し合うことはとても苦痛なことであるとわかりました。

そして2008年、患者さんやそのご家族は、元気な間に生命保険というものを正確に知っておくべきだと考え、この会を立ち上げました。

会員にはがん患者・医療関係者・保険会社社員が参加しており、医療相談員や医療関係者、患者会に対して、全国で生命保険の勉強会を実施しております。

また私たちは、医療相談員の協力を得て、保険会社や保険代理店社員向けに、がん罹患後の「心の問題」「経済的な問題」「がん予防」についての講演会を実施し、民間保険の「がん保険」の必要性と改善も訴えています。

勉強会では、生命保険は生きているときに利用できるものであるということを知っておくことの大切さを訴え、前述のリビングニーズ特約や高度障害保険金()などの理解を促しています。

そういった知識と理解は、治療費の財源確保や患者のQOL(生活の質)の維持向上に役立ち、ひいては私たちの「自分らしく生きる」という生き方に良い影響を与えることができると考えています。

また生命保険をきちんと請求する方法もお伝えしています。

多くの人々にとって民間生命保険は「善意のギフト」というような感覚でとらえられている例が散見されます。これはとんでもない見当違いです。 生命保険とは、1対1の契約に基づく厳格な契約行為であることを知る必要があり、双方の権利と義務が激しく衝突するものであるということを知るべきです。

保険金不払い事件が物語るように、生命保険会社とは、営利を目的とする団体であることを忘れてはなりません。

生命保険は請求しないと何も起きません。そして請求するには知識が必要です。

私たちが開催する勉強会の目的は患者さんの利益を尊重することであり、勉強会や講演会では必ず患者さんを主役に、保険の活用法を考えています。

勉強会に参加したことでリビングニーズ特約を初めて知り、利用したという人も少なくありません。改めてご家族の生命保険を再度確認したというお礼文もよくいただきます。

最近では参加者より、「消費者である患者さんの声を代弁する組織」としての期待を受けるようにもなりました。

現行のがん保険では、入院日数の激減、がん患者さんの生存率の向上、がん治療費の高騰の問題は解消されていません。生命保険におけるリビングニーズ特約も非常に少なく、問題は山積しています。

もしもの時のためと後生大事に続けてきた生命保険契約を、このときこそ勉強し、最大限に活用できるように、この会がその一助になれることを望んでいます。

私たちは、患者会のみならず、医療関係者や教育関係者や事業家に向けても、生命保険の活用の仕方についての情報を発信続けてまいります。また勉強会等のご要望も承っております。

リビングニーズ特約=生命保険の特約の1つ。被保険者が医師に余命6カ月以内と診断された場合、死亡保険金の前払いを請求できる
高度障害保険金=被保険者が疾病または傷害により所定の高度障害状態になった場合、受け取ることのできる保険金


患者会 「患者の生命保険を考える会」

代表 濱崎研治
〒136-0076 東京都江東区南砂2-3-2-729
TEL:03-5677-4001 FAX:03-5677-4002
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