NPO乳がん患者の会 ぴんく・ぱんさぁ(乳がん/沖縄)
手をつなごう、沖縄の乳がん患者みんなで
NPO乳がん患者の会
ぴんく・ぱんさぁの
与儀淑恵さん
離島にも乳がんの正しい知識と情報と、患者同士のつながりを
09年、沖縄では約700名の女性が乳がんの告知を受けています。入院中は医師や看護師さん、仲間がいるからあまり感じないのですが、多くの患者さんは退院してから、孤独と不安との戦いが始まることが多いのです。
そこで05年6月、入院がきっかけで出会った5名で乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」を立ち上げました。病院の枠を越え、各病院にある患者会や沖縄県内の乳がん患者みんなが手をつなぎ合うためのNPOです。
沖縄には“いちゃりばちょーでー(出会えば皆兄弟)”という言葉があります。私たちの活動の輪は出会いを繋げ、当初の目的通り、現在では県内に拡がってきています。
「ぴんく・ぱんさぁ」は、地域に住む患者さんと連携をとりながら、情報の届きにくい宮古島、伊江島、北大東島などの離島、そして本島北部地域で「乳腺専門医による講座」や「リンパ浮腫セルフケア講座」、懇談会などを開催し、正しい情報の発信を試みてきました。
うれしいことに、中心になってくれた方々から、1人また1人と対話がすすみ、宮古島と本島北部に、病院の枠を越えた地域の患者会が誕生しました。2つの会にはそれぞれの地域で乳腺診療に携わっている医師がかかわってくださり、定期的に勉強会や懇談会をもっています。
NPO乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」はこのように、県内の乳がんを患った女性同士のための患者会などのネットワークをつくり、『乳がんの正しい知識と情報』を内外に発信すること、自分たちの体験から『正しい検診による乳がんの早期発見・早期治療の大切さ』を訴える啓発活動を行うことを主旨として、乳腺専門医による講座の開催や広報誌の発行を行っています。
事務局のメンバーは5名。年間の活動計画の作成は、県内の院内患者会や地域の患者会中心者にも協議に参加してもらい、皆で相談しながら取り組んでいます。会員の登録や会費納入はなし。県内の乳がんを患ったすべての女性を「ぴんく・ぱんさぁ」会員とし、年1回発行する会員のメッセージを載せた冊子と、一堂に集う年1回の「With you~OKINAWAと患者懇親会」で、乳がんを患った女性1人ひとりを繋いでいけたらいいなと願っています。
With you~OKINAWAは全国5カ所で開催されている「With You~あなたとブレストケアを考える会~」の沖縄版で、県内外の乳腺治療に携わる医療スタッフにより患者の視点に立って開催されています。私たち患者にとって最新の『乳がんの正しい知識と情報』を得ることができるとても価値あるイベントです。毎年その年のテーマにそって特別講演があり、講演後の分科会では「心のケア」「ホルモン治療」「再発後の治療」「抗がん剤治療」「リンパ浮腫セルフケア」など、自分が興味のある内容ごとにグループに分かれ、患者同士で意見を交換したり、専門の医師・医療スタッフからの情報を得ることができます。
今年は7月10日に、宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターで開催されました。県内各地から約200名の「ぴんく・ぱんさぁ」会員が集ってきました。
会場の入り口にはウィッグ、ピンクリボングッズ、補正下着、弾性スリーブなどのブースが並び、情報が満載でした。
「久しぶり~。元気だった?」
朝1便の飛行機で到着した宮古島のメンバー、送迎バス“ぴんく・ぱんさぁ号”でやって来た伊江島・本島北部方面の遠方メンバーが「ぴんく・ぱんさぁ」のブース前に集まり、ひときわ賑やかでした。
特別講演では東京女子医科大学前教授の太田博明先生による「乳がん治療と婦人科領域への影響」。抗がん剤治療やホルモン治療と更年期障害の関係や、治療後に妊娠・出産を予定している女性にとってとても興味のあるテーマでした。
分科会を終えると「ぴんく・ぱんさぁ」が主催する患者懇親会です。ここでは普段、診察室の中でしか接することのない医師・医療関係者の方々も一緒に参加し交流を深めます。
『わんから(私から)タイム』では、希望者にひとことずつ話をしてもらいました。そして沖縄の宴の締めといえばカチャーシーです。サンシンの軽快なリズムにのって全員がイヤサッサ~と踊ります。最後にWith you~ OKINAWA 2010実行委員長の宮良クリニック院長、宮良球一郎先生が「来年も参加すると決めた人は必ず来れる!」と。
「また、来年のWith you~で会いましょう!」が、私たちの合言葉です。
NPO乳がん患者の会 ぴんく・ぱんさぁ
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