融和サロン・ともしび(がん全般/鹿児島)
ともしび 生涯の心の寄せどころ

融和サロン・ともしび 会長 大村五月
発行:2009年6月
更新:2013年4月

  

家族・遺族・患者であるからこそ、ともに苦しみを分かち合いたい

融和サロン・ともしび

家族、遺族、患者自身である立場から、苦しむ人の心のケアを目的に開設された「融和サロン・ともしび」

「融和サロン・ともしび」は、がんの苦しみに侵され、つらい日々を抱える患者さんやご家族の方々をサポートすることを目的に、2008年11月、開設しました。現在は、「融和サロン・ともしび」の拠点を中心に、近隣5~6カ所にある病院の中にそれぞれ患者会を開設し、運営管理は当会スタッフが行っています。

生まれたてのひよっ子の会ですが、会員は33名、スタッフも看護経験者、介護業務経験者、がん患者(完治者)を含めた6名で運営しています。

私が、開設の経緯に至った訳を顧みれば、2005年11月、長年苦楽を共に過ごした妻に肝がんが襲いかかったことから始まります。子どもたちも独立し、これからの老後の楽しみを種々話しながら過ごしていたときでした。

以後2年間の闘病。介護の甲斐もなく、永久の眠りにつきました。その間、妻の心は晴れることなく、また地獄の中をさまよっていたことは言うまでもありません。2年間の長い闘病生活は、本人はもとより、家族の心身のつらさを語る場所や相談相手もない苦しみが、容赦なく押し寄せました。

しかし、病人の前では悲しみや苦しさを表すことはできず、耐え難くなって近所の田畑に行って泣き崩れたこともありました。

以後、月日は過ぎ、心のわだかまりも何とか整理がつきつつある2008年6月、今度は自分に肺がんが発覚しました。検査の結果、末期の状態で、余命も1年未満との宣告を受けました。支えをなくし、自分1人、孤独感に襲われ、病気の恐さも手伝って、一時は治療すら断念する状態で、妻の後追いを考えたこともあります。

そんなとき、検査入院先の病院で、看護師の言葉によって自分を取り戻すことができました。

「今あなたの命は、奥様からこれから先のことを託されています。だからもっと自分を大切にして、奥様の分まで頑張ってください。いつまでも、夫婦の絆は切れないものです」

この言葉は、さまよう私の心に大きく響き、人生を変えました。もし、この言葉を聞いていなければ、今はないと確信しています。病人は、どんな些細な言葉1つでも如何様にも感じて、心の癒やしや、威嚇をも受けてしまいます。

家族・患者だからこそ苦しみがわかる

写真:会員の手作りのイラスト

会員の手作りのイラスト。院内患者会にて、心の癒やしの一環として取り組んでいる

退院後、名古屋の病院で治療することとなり、この入院中の出来事にこの上ない喜びに浸ることができました。それは、病院での患者会との出合いでした。

それまでの妻の介護から、閉ざされていた心と身体が開放されたようでした。会で出会った方々との、心からの和みや癒し、語らいで心身共に打ち解け合い、闘病への邁進ができるようになりました。もし、このような場を妻の闘病時に知り得ることができたことなら、どれだけ報われたことでしょう。

以後、私は、自分が痛切に感じた家族としてのつらさ、不安、苦しみを、また遺族としての心境を、日々耐えしのぎ過ごされている方々の心のケアに役立てることを目標として定め、また自分の心の支えとして当会の開設に至りました。

現在の私の病状、身体経過は幸いにして悪化傾向もなく、非常に良好な経過維持で月に1度の検査のみ行っています。

患者会で受けた恩恵に報われ、現在に至っていることに、感謝しています。この恩恵を忘れることなく、1人でも多くの方への恩返しと、命ある限りの心の支えとして、今後の患者会を意義あるものにしていきたいと考えています。

現在の活動と今後の目標

写真:郷土民芸の「初午祭」に参加

郷土民芸の「初午祭」に参加。病院で紀行開催してもらった。患者さん、ご家族が参加し、にぎやかな1日を過ごした

2008年12月には当会スタッフの運営する各病院の患者会が一堂に会し、患者さん、ご家族、関連する病院担当者との顔合わせの初会合を開催しました。初会合の場では、それぞれの立場を越えた意見交換や和みなど、意気投合した話し合いが行われました。患者さん、ご家族の心を癒やし、溢れんばかりの感激に包まれて、非常に有意義な1日を過ごすことができました。

2009年の1月には、患者さん、ご家族、当会スタッフが医師、看護師の協力のもと、神社初詣に貸し切りバスでお参りができそれぞれの思いの願掛けがすみ、一息つけました。

今後は、合同融和会を毎月2回ほど行う予定です。また、和みと癒しの目的で、演芸祭なども予定しています。

現在、合同会議などは公民館を利用して行っていますが、今後の会員増加に向けて、事務所兼会場の設置を計画しています。

今後、患者さん本人、ご家族、遺族の支援サポートとして、幅広い活動ができるよう、スタッフの増員、各種の研修、自己啓発を心がけ、支援や教育を重点に、目標を掲げていきます。

開設に至っては、現在まですべて自己資金にて調達してまいりましたが、今後の自分の余命や、もしものときを考え、残された患者さん、ご家族、スタッフの不安解消のため、NPO法人への切り替えを早急に取り計らっていく予定です。


融和サロン・ともしび
姉妹の会 鹿児島肝炎友の会ともしび

〒899-5241 鹿児島県姶良郡加治木町木田1768-1
TEL&FAX:0995-63-1857
Eメール
ホームページ「融和サロン・ともしび」


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