カトレアの森(婦人科がん/宮城)
「自分らしく豊かに生きる」ことを目標に
患者と医療関係者とを繋ぐ架け橋になりたい
会員向けに年4回発行している「会報」
「カトレアの森」は、東北大学病院婦人科医師及び医療スタッフのご支援のもと、東北大学病院で治療を受けた婦人科がん患者が中心となって運営している「婦人科がん患者会」です。勉強会や茶話会、講演会などの活動を通して正しい情報を共有し、希望や慰めを見出し、心の免疫力を高めていきたいと願って、平成18年3月に設立されました。
「カトレアの森」という名前には、「女性としての美しさと誇りを持ちつづけたい」「森林の持つ蘇生力、癒やしのパワーを借りたい」という願いを託しています。「1人では1本の木に過ぎないけれど、集まり、助け合うことで、新たな力を生み出せる」と信じて、患者と医療関係者とを繋ぐ架け橋となるべく、日々活動を続けています。
現在、会員数75名、東北大学病院婦人科教授・八重樫伸生さんを顧問にお迎えし、大学病院の医療関係者のご支援を頂きながら、スタッフ8名が会の運営に当たっております。
患者スタッフと医療スタッフが一緒になって開催している「茶話会」
患者さんのボランティアから始まった「手編みの帽子」
活動は、「茶話会」「病院内の窓口」「会報」が中心です。他にホームページの開設、外来図書コーナーを設けております。
当会の活動の特色は「茶話会」にあります。はじめは患者同士がおしゃべりをし、互いに励ましあったりしておりましたが、そこに「勉強会」を加えました。「患者さんに正しい知識を提供したい」という医療スタッフの願いが込められた勉強会になっており、ここには患者スタッフだけでなく、病院の医療スタッフの協力があります。
管理栄養士さんによる「バランスのとれた食事」、婦人科医師による「再発がんの最新治療」など、約2年で22回開催しております。
また、婦人科入院病棟の一角に会の事務局を設けていただいており、週4日患者スタッフが常駐。入院中の患者さん、外来患者さん、患者のご家族などが「いつでも」「気軽に」交流を持つことができます。多くの方が治療以外にも、家庭・社会・経済的環境、将来への不安などを抱えており、このような環境があることで、医療者に言えないことなどを気負うことなく話せるようです。
1人の患者さんのボランティアから始まった「手編みの帽子」は患者さん方の楽しみの1つ。患者さんやスタッフが編んだ帽子を安価でお譲りしています。
また、遠方や体調の具合で、「茶話会」などに参加できない方に好評なのが、会員向けの年4回発行の「会報」。茶話会の様子や、事務局の様子が在宅でもわかります。
仙台往診クリニックの川島孝一郎さんを迎えての「緩和ケア」講演会
年に1度の総会の際には、講演会も併催しています。これまでにタレントの向井亜紀さん、緩和ケア第1人者の仙台往診クリニック院長の川島孝一郎さんによる講演会を開催しています。
私たちはこれまでの「カトレアの森」の活動を通じて、自分らしく生きる患者の姿というものを考えてみました。
(1)孤立しない
がんという病気になったことの衝撃。誰にも相談できない。医療者とも十分なコミュニケーションがとれない。死への恐怖。それらによって、患者は内にこもりがちになります。
(2)他者の支援の活用
がん診療連携拠点病院には相談窓口が設置され、がん患者やその家族のがんに対する不安や疑問に適切に対応できるようになりました。また、各地にある患者会や患者サポートグループでの患者の自助サポートが、前向きな気持ちを支えることに繋がると思います。
(3)正しい情報に基づく適切な治療の選択
医療者や行政などからのがん治療に関する「根拠のある」情報を得ることで、適切な治療の選択が可能になります。氾濫するがん情報の中から正しい情報を得ることも患者に求められています。
(4)病気を含めた自分という存在を認める
なかなか難しいことですが、がんになった自分を責めたり否定していては前に進めないのも事実です。自分自身のこころの持ちようは、その後の生き方を決定します。
がん患者にはできるだけ多様なサポートがあってほしいと思います。それは病院内では医師や看護師、コメディカルスタッフからのケアであり、病院の外であっても、在宅医や訪問看護師、コメディカルスタッフの十分なケアが求められています。医療面でのケア以外に、患者会のような自助サポートがあり、行政サービスなど公的支援制度の充実も求められています。
1人でも多くの患者が「自分らしく豊かに生きる」。それが「カトレアの森」の願いでもあります。
カトレアの森 事務局
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