Himeji「オリーブの会」(乳がん/兵庫)
「あい励ましあいながら病を乗り越えていきましょう」をモットーに

文:松本雅子(Himeji「オリーブの会」)
発行:2008年3月
更新:2013年4月

  

地域に根ざした、小回りの利く患者会に成長して行きたい

写真:「NPO法人周南いのちを考える会会報
Himeji「オリーブの会」会報

乳がんは、手術をして悪いものをとってしまえばそれで治療がおわりというものではありません。乳がんの本当の治療は、手術後からはじまると言っても過言ではありません。

放射線療法や薬物療法などは退院後、みな外来で行われます。手術前より明らかに身体には不都合が増えています。そのうえ、抗がん剤でばっさりと抜けた髪の毛。「あぁ、大変な病気になってしまった」と身をもって痛感させられます。

そして本当に元気になれるのか不安で心配で、ずんずんと心が落ち込んでしまいます。前向きになりたいと思うのだけれどむずかしい。

そんな思いの乳がん体験者とその家族が、お互いの術後の不安な気持ちや悩みを話し合ったり、体験を聞いてみたりすることで、心の不安を少しでも軽くすることができればと、2001年4月にHimeji「オリーブの会」は結成されました。現在会員数は78名です。

どこの医療機関にもかかわりを持たない患者会として、地域の乳腺専門医の方々に支えられながら活動を続けています。


写真:2007年2月新春懇親会
2007年2月新春懇親会
写真:2007年6月峰山高原ホテルにて
2007年6月峰山高原ホテルにて

私たちは毎年、神戸国際会議場にて兵庫県下の乳腺専門医が結集して開催される「QOL輪唱・兵庫 講演会」に参加しています。乳がんの最新医療情報にふれるまたとない機会なのですが、体力が回復していなかったり、つらい再発治療中だったり、距離が遠くて行けないなど、さまざまな理由で参加を見送る方たちが多くいます。

関西、とくに京阪神間では、あちこちで開催される多くの良き講演会に恵まれています。乳がん患者たちの多くは、医療情報を豊富に得て、命を守る一助として当然のごとく活用しておられます。

一方、少し離れた我が地域では温度差は否めません。残念ながら乳がん検診率は低く、低迷状態を続けています。そして乳がんの死亡率が右肩上がりに増え続けている状況です。

我が地域でも、あちこちで常時に良き講演会が開かれていたら、乳がん患者たちの意識も変わり(医療者・行政なども含めた)民意も変わるのではないか、啓発の一助になるのではないか、と私たちは考えます。

そんな思いもあって私たちは、がんへの恐怖心を少しでも和らげるためやがんと向き合うために、そしてがん治療を知ることによって希望をもつことを目的に、講演会(お勉強会)を毎年開いてまいりました。

講師には地域の外科医(乳腺専門医)や、放射線治療医・病理医・精神科医など、乳がん医療にかかわる専門医や、がん看護専門看護師などコ・メディカルの方々をお願いしました。ガイドラインに沿った乳がんの治療法や、目まぐるしく進歩している最新の療法、期待できる新薬情報など、乳がん治療の最前線をわかりやすくお話していただいています。

そして7年目を迎えた昨年、より内容を充実させたかたちで、また県北部の患者たちをも巻き込んで、地域の乳腺専門医たちのご協力のもと、園尾博司教授・日本乳癌学会理事長(当時)をお迎えして特別講演会『乳がんなんかに負けるな!』を開催しました。とても有意義で、充実した時間を過ごすことができました。

今が始まりのとき「継続は力なり」、地道にしっかりと模索していくつもりです。

オリーブはこれからも、私たち1人ひとりの「治りたい・治してほしい」という思いに添った情報の交換や、専門医による学習会などの活動を通して、励ましあったり支えあったりしていきたいと思います。

地域の先生方のご協力のもと、地域に根ざした、小回りの利く患者会に成長して行きたい。そして「あい励ましあいながら病を乗り越えていきましょう」をモットーに、患者たちの思い切り泣ける場所であり、乳がんを笑いながら話せる場所でもある、乳がん患者たちの温かい陽だまり(居場所)であり続けたいと考えています。


Himeji「オリーブの会」

〒671-0247 姫路市四郷町東阿保1010-26
TEL&FAX:079-222-7567


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