NPO法人 周南いのちを考える会(ホスピスケア/山口)
「今、何をすべきか」を考え、ホスピスの心を地域に広めていきたい

文:前川育(NPO法人 周南いのちを考える会 代表)
発行:2008年2月
更新:2013年4月

  

山口県東部に待望の「緩和ケア病棟設置」の見通し

写真:「NPO法人周南いのちを考える会会報
NPO法人周南いのちを考える会会報(年4回発行)
写真:講演会風景
2006年10月に開かれた講演会風景
写真:講演終了後、記念撮影した世話人・ボランティアの皆さん
講演終了後、記念撮影した世話人・ボランティアの皆さん
『亡き息子との思い出 もっといっしょに遊びたかった ~ホスピス・緩和ケア病棟設置を願って~』

1昨年秋に前川さんが発行した『亡き息子との思い出 もっといっしょに遊びたかった ~ホスピス・緩和ケア病棟設置を願って~』

患者・家族のためのホスピス・緩和ケア病棟の必要性を感じて、「山口県東部に緩和ケア病棟を」の願いで市民活動を始めて7年になります。

この間に、全国的には在宅ホスピスがすすみ、がん拠点病院では緩和ケアチームが立ち上がっています。

しかし、私たちの住む地域では、それには程遠いのが現状です。まず、「拠点となる病院に緩和ケア病棟が設置され、在宅ホスピスまで裾野が広がる」のが当面の目標です。

現在会員は230名、無償ボランティアの13名の世話人が、会を運営しています。

緩和ケア病棟設置を求める署名運動を行い、2002年2月から7月までの3カ月間で2万5000人の署名が集まり、山口県知事へ要望書として届けました。署名用紙が会員から知人へ、そしてそのまた知人へと広がり、それとともに、「ホスピス・緩和ケア病棟」という言葉が知られるようになりました。

2007年5月に、山口県は私たちの活動を受ける形で「特例病床25床」を認め、待ち望んだ「山口県東部へ緩和ケア病棟設置」の見通しがつきました。

講演会の開催も毎年行ってきました。講師は2002年アルフォンス・デーケン先生、2003年山崎章郎先生、2004年徳永進先生、2005年鎌田實先生、2006年内藤いづみ先生、2007年垣添忠生先生でした。

世話人全員でポスターやチラシ配布などすべての準備をし、地域の皆さまからは、「いのちについて考える機会がもてて良かった」と、毎回好評をいただいています。

市民のためのホスピスケア講座(テーマは「いのち・愛・こころ」)を毎年、6回シリーズで開いています。聖路加国際病院の細谷亮太先生、東大放射線科の中川恵一先生、飛騨千光寺の大下大圓さん、死生学の波多江伸子さんなど各界の講師の先生方に来ていただいています。

参加者は会員以外に、患者さん、ご家族、看護師、介護職、市民の皆さんと多岐にわたっており、いのち・ホスピスケア・スピリチュアルケア・ボランティア・傾聴・がんについて学び、地域にホスピスの心が広がっていると感じています。

会員を中心とした活動としては年4回、会報を発行しています。内容は、講演会や講座など活動状況の報告や感想、医療情報などです。会の活動に参加できない会員さんとは会報でつながっています。

また、1昨年秋に16ページの小冊子、『亡き息子との思い出 もっといっしょに遊びたかった ~ホスピス・緩和ケア病棟設置を願って~』を発行。26年前の小児科病棟はまさにホスピスそのものでした。子どもを小児がんで亡くした経験が私の市民活動の原点であることを、多くの皆さんに理解していただいたことで運動が一歩前進したように思います。

がん患者会(ラ・ビューの集い)を毎月第1金曜日(1時30分~3時30分)に開いています。最初のころは参加者がゼロの日もありましたが、現在は、毎回10人弱の参加者があります。

「再発・転移したけれど、ラ・ビューのお陰で、元気な心で毎日を過ごすことができる」とYさん。

「健康な人の前では話せないことを、ここでは話せる」とMさん。

「1年前は海岸のどの松の木で死のうかと思っていたけれど、あのときに死ななくて良かった」と笑って話されるNさん。

みんなで遠慮なく語り合い楽しい数時間を過ごすことが、“生きるエネルギー”となっています。がん経験は人生の転機と考え、前向きに生きることを目標にしています。

他に、患者会に参加することが不可能な方、人の前では話したくない方のために電話相談や個人相談を受けています。

寂しいことですが、「緩和ケア病棟開設」を願いながら亡くなられた方も多くあります。この夏に亡くなったNさんからきた、緩和ケア病棟からの最後のメールをご紹介します。

「会のおかげで死に対してソフトな受け止めができそうな気がしています。こういうことは、長い時間が必要かもねえ。7年前に患者会に出会えて感謝・そしてありがとう! そのときが来たら、患者会のみんなによろしく」

「周南いのちを考える会」はこの“ラ・ビューの集い”を会の中で最も大切な活動として位置づけています。

緩和ケア病棟開設の見通しが立ったところで、来年度以降は会の方向性が大きく変わります。

病棟開設の場合は、ホスピスボランティア養成講座を開催し、病棟でのボランティア活動と患者会を中心にした活動になります。今まで7年間に学んだことを基礎に今後はもっと深く学び、更なる飛躍を夢見ています。

私たちは地域の皆様さまの温かい気持ちに支えられ、活動を続けることができました。これからも、「今、何をすべきか」をしっかり考え、ホスピスの心を地域に届けていきたいと願っています。


NPO法人 周南いのちを考える会

〒744-0032 山口県下松市生野屋西3丁目6-13
TEL&FAX:0833-43-7388
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