フェニックスクラブ(血液疾患)
不治の病に直面しても「より充実した人生」を目指した交流を続けていきたい
個人の判断と責任にまかせて楽しく運営している
骨髄バンクの活動にとりくんでいた大谷貴子さんなど患者さん6人が呼びかけ、フェニックスクラブは1994年4月に発足しました。それからもう13年。めざましい医学の進歩を実感しながら、その時々の患者さんの関心や要望をもとに、「患者自身が運営する」特徴を大事にしてきました。
発足当時は、日本の骨髄バンクが立ち上がったばかり。インターネットも普及しておらず、交流会では「生きるか死ぬか」という切迫した思いで、「どんな治療が」「どこの先生が」という声が飛び交いました。「CML(慢性骨髄性白血病)は移植しなければ必ず死ぬ」「成功の確率は低い。移植はしない」などという「論争」も懐かしく思い出します。アメリカから遺伝子標的治療薬の個人輸入をしている話など、最新の情報を真剣に聞き、「どうやって生き延びるか」を必死に探したものでした。
移植の厳しい体験を乗り越えた患者さんが、これから移植に向かうという患者さんを激励するのもいつも見られた情景でした。移植後のGVHD(移植片対宿主病)についても、ドライアイなどの粘膜障害、髪が生えてこない、下痢への対処など、生々しい体験談が盛んに交流されました。とくに移植後の「不妊」については、大谷さんを先頭に患者自身が声をあげることで、医療関係者の認識も大きく変わってきたことを実感します。
多くの患者さんが「生き延びる」ようになりインターネットが普及して、交流会や通信で語られる内容も変わってきました。しかし、医師や医療機関、製薬会社などに気兼ねする必要のない、患者さん自身の体験や情報交換は今も求められています。
いま深刻なのが移植後の免疫抑制剤の使用加減によって起こっているらしい「筋肉硬化」の症状です。とくに、これが肺などに起こった場合、命にもかかわる問題なのに、血液内科の専門医にはあまりその情報は伝わっていません。患者さんは、独自に情報収集し、膠原病や免疫の専門医に相談して治療方法を考えて対応しています。 また、化学治療による副作用や、移植後の状態も千差万別で、その状態に応じて、進学や就職、結婚や職場復帰といった、人生の選択や対応にも、他の患者さんの生々しい体験は大いに参考になっているようです。
最近、経済的な苦労や悩みを語る方が増えています。これまでは、「生きるか死ぬかというときにカネの事なんか言っちゃおられない」という感じでしたが、治療が必ずしも「短期決戦」ではなくなったためでしょうか。
とくにCML治療の第1選択が「グリベック」になり、かなりの人が化学治療で長期生存を期待できるようになりました。しかし毎月「高額療養費限度額」いっぱいの負担を10年も20年も続けていくことは耐えられません。
「子どもの進学のために、しばらく休薬して様子を見る」という話さえ聞こえてきます。最近も自営業の方が、景気がよくないし症状が落ち着いているということでグリベックを休薬していたら症状が悪化した、という相談も寄せられました。副作用や、移植後のGVHDなどで十分働けない場合などは、もっと大変です。内部障害者として「障害年金」を受給したことなどの経験交流も行ってはきましたが、個人の努力では限界にきています。
「明るく、楽しく、前向きに」という会のモットーだけを確認していますが、会則も役員も決めていません。会費は年に2000円、毎月発行している通信は、会員からの自由な投稿で編集しています。年に6回程度、全国各地で開かれる交流会は、やりたい人が主催し、通信で呼びかけ、運営し、行きたい人が参加するというしくみです。「会」として運動をするとかいう仕組みはありませんので、必要な場合は会員個人が呼びかけあって取り組んでいます。
通信や交流会でどういう情報を発信するか、それをどう受け取るかは、すべて個人の判断と責任にまかされています。自分の経験を他人に押し付けないマナーを大事に、楽しく運営されていると思います。
血液疾患患者の会・フェニックスクラブ
〒755-0097 山口県宇部市常磐台1-4-5 野村英昭方
TEL&FAX:0836-34-2533
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【Fair Winds】
血液疾患患者談話室
この談話室は、 血液疾患を抱える患者さん、 また疾患を克服した元患者さんが、 その日常でのちいさな出来事や、 ちょっと誰かに話をしたい、 また聞いてもらいたいと思うことが気軽に話せる……そんな場所にと血液疾患の患者自身が開いています
連絡先:孕石弘
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