山梨まんまくらぶ(乳がん/山梨)
小さな活動でもいいから気づいたことから始めよう

文:若尾直子(山梨まんまくらぶ 代表)
発行:2007年11月
更新:2013年4月

  

県全体の医療環境の向上のために、『第1回山梨がんフォーラム』を開催

写真:山梨がんフォーラムのポスター
山梨がんフォーラムのポスター

2006年6月16日、「がん対策基本法」が成立した。その年の4月、この法律の成立に向け、おくればせながら私たちも成立請願活動を行った。成立後、次の目標は、国がつくる「がん対策推進基本計画」の中身と、各自治体がつくるであろう自治体のための「がん対策推進計画」を“絵に描いた餅にしないこと”だった。

このときから山梨県に住む人のがん医療に対する意識を、より向上させたくて公開講座を企画した。2006年5月から今年の3月まで2クール、「納得する医療を求めて~賢い患者になるために~」と題して各5回シリーズを行ってきた。内容は診察を受けるときの会話術、診療ガイドライン、医療の地域間格差などだ。

この企画を行いながら一般の人にがん医療に関心を持ってもらうにはどうしたらいいのかを考えた。本気で山梨県全体の医療水準を上げたいと思った。この気持ちは今でも変わりないし、私のライフワークとなっている。

この講座を始めるとすぐ、医学部看護学科の講師から連絡をいただいた。

「私もがん医療環境の向上にはとても関心があります。一緒にやっていきましょう」と。

このとき、小さな活動でもいいから気がついたことから何かをしようと心に決めた。県全体に訴えるような何かを。

当初は『山梨まんまくらぶ』だけでできるのかとても不安だったが、何かをしたい気持ちだけが先行した。

そこでまず、がん患者団体の事業に助成してくれるところを探し、フォーラムの企画書を送った。

その甲斐あって2団体の助成金対象として認められ、資金的な面ではとても楽になった。

写真:街頭で山梨がんフォーラム開催を呼びかける

写真:街頭で山梨がんフォーラム開催を呼びかける
街頭で山梨がんフォーラム開催を呼びかける
写真:がんフォーラムの司会者と打合せをする若尾さん
がんフォーラムの司会者と打合せをする若尾さん

同時平行して協力者募集の呼びかけを行った。最初は当会のメンバーと先の協力者を合わせ3名だけのスタートだったが、ホームページや『山梨県ボランティア・NPOセンター』、看護大学の学園祭でも呼びかけた。さらに山梨選出の国会議員の事務所もたずねた。この時、真摯に聞いてくれた議員が1名いたことはとても心強かった。

また、乳がん情報でお世話になっているドクターの口添えがあったおかげで、スムーズに他部門の診療科ドクターや医師会の協力を得ることができた。併せて行政への協力依頼も行い、県庁の「医務課」と「健康増進課」の協力も大きな力となった。

そして7回の実行委員会、イベントとして2回のチラシ配布、数え切れないほどのミーティングを経て2007年5月26日(土)に「第1回山梨がんフォーラム」開催に至った。

初めてのがんフォーラムなので「総論」としての位置づけで、山梨のがん診療連携拠点病院についての情報、がん対策基本法の制定過程と意義、山梨県が2007年4月から行う地域がん登録についての情報を基調講演とした。パネルディスカッションでは患者、医療提供者(全拠点病院)、行政の3者が同じフロアで意見交換をした。

300人以上の参加者があり、大成功だったと思っている。このときのアンケートや寄せられた意見をもとに、次回に何をするかが今の課題だ。

9月には山梨県のがん対策推進計画策定のため、「第1回山梨県がん対策推進協議会」が開催された。山梨県では19名の委員のなかに私を含め3名の患者・家族などが含まれている。この席で県内医療施設の連携を計ることの重要性が論議された。県全体として医療情報を共有し、医療の均てん化が進むことを希望したい。

患者としてもより一層の情報収集が必要となる。そこでミニ勉強会を行いながら患者学を高めていきたい。

10月27日(土)には「乳がん公開講座~もっと知りたい乳がんのこと~自分でできるリンパドレナージ」を行う予定だ。

これからもよりたくさんの人を巻き込んだ活動を通し、地域のがん医療向上のために少しずつでもかかわっていきたいと思っている。


山梨まんまくらぶ

〒400-0031 山梨県甲府市丸の内2-35-1
山梨県ボランティア・NPOセンター内
TEL 055-224-2941 FAX 055-232-4087
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