群馬ホスピスケア研究会
地域のなかで、人々に育てられ、人々のために
人生の最後の瞬間までを、仲間と共に支援し続けるホスピス活動
群馬ホスピスケア研究会は、1988年に発足しました。
国内最古参のホスピス施設である聖霊三方原病院が1981年、淀川キリスト教病院が1984年の誕生です。ですから、当会が立ち上がったのは、まさにこれからホスピスケアの理念、実践の浸透が地域のなかで始まろうとしていた創成期でした。
「群馬でホスピスを」を合言葉にして、活動を一般病院の1病棟から、やがて在宅ホスピスへと移行しました。同時に市民のための、市民を巻き込んだホスピスケアの理念の普及を目的に、啓蒙活動と患者、家族、遺族への相談と悲嘆ケアを開始しました。これまでの医療のあり方から転じて患者主体の自分らしい、自分の望む形での終末期のあり方を選択できることを市民に伝えてきました。
このホスピスの思想を多くの方々に知ってもらうことは、以後私たちの長年の取り組みとなっています。
1996年から、「死別体験者の分かち合いの会」を始めています。これまでに延べ1000人以上の方の参加があり、現在も継続中です。
会報誌『ねがい』
2006年に開かれた講演会
2007年5月のイベントのハイキング
県内緩和ケア病棟の庭でのボランティア活動。
毎週水曜日に行われる
緩和ケア病棟で毎月行っている病棟企画行事。
季節に合わせ、さまざまなイベントを企画実施
また2003年に「患者会」を立ち上げ、現在に至っています。こうした市民活動団体が地域のなかで、実践的な支援を展開していくには医療機関をはじめ各方面での連携が必要です。会のメンバーである、在宅ホスピス医、県内の緩和ケア病棟、行政、一般病院に自分たちの活動を理解してもらい、患者さんやそのご家族の問題にどう具体的援助を提供できるかが、一番の課題であることはいうまでもありません。
市民を対象に行うセミナーや講演会、会報の発行、日々の電話相談や訪問面談は、地道な活動ながら会の存在を地域に知ってもらうために大切です。ほかの関連団体と連携して合同セミナーの開催や、県内がん患者支援団体機構への参画もしており、活動の継続に力を入れています。
2年前からは、県内のホスピス病棟に定期的に出向き、ボランティア活動を行っています。環境整備やイベントの実施も含め、必要に応じて患者さんやご家族の話にも耳を傾けています。
こうした日々の支援活動のほかに、交流の機会として、ハイキングや食事会なども計画し、仲間と共にひとときを過ごしています。
ホスピスケアというひとつの形が日本に導入されてから20数年が経過しているものの、まだまだ一般の医療機関では、患者さん1人ひとりが望む形での終末期を送ることは困難な状況にあります。
ホスピスケアにおいてはことのほか、患者さんのQOL(生活の質)が問われますが、自立した生活を行えなくても、地域のシステムや行政のサービス、第3者のマンパワーを利用することで、その人らしい生活を維持することは不可能ではありません。
こうした機能が地域に根づいていくことが患者さんの尊厳を守り、ご家族の社会的、精神的困難にも耳を傾けることになります。そして、死と向き合う時間のなかで生じる死後の世界への問いかけ、人間の存在そのものへの問いかけなどにも対応していけるホスピスケアの実現が可能になると考えています。
市民活動という形で私たちができることは、小さな支援の連続性です。
私たちは声をかけることから始まり、患者さんや家族に対して、「できる者ができるときにできること」を提供する。「お互いさま」の気持ちを忘れたくないと常々考えます。
患者会で出会った方の残された人生の最後の瞬間までを、仲間と共に支援し、看取ったときに、人と人との出会いという縁を感じました。そしてそればかりでなく、市民から始まった市民のための、地域のなかでのホスピス運動に自分たちなりの意義を見出しています。と同時に、継続していくことの重要性を大切に思っています。
目に見える具体的な効果や変化は望めなくても、私たちの会の扉を叩いてくれる方々に向かって、その方たちが抱えているさまざまな形の困難や問題から「逃げない」支援を私たちはこれからも地域で続けて行きたいと思います。
そして、全国の同じような活動団体の皆さんと共に。
群馬ホスピスケア研究会
〒370-0872 高崎市北久保町10-9 事務局 吉本明美
TEL・FAX 027-353-1341
TEL・FAX 027-323-5824
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