NPO法人ホスピス研究会さいどばいさいど ターミナルケアの充実を目指し、地域に根ざした啓発活動を
代表理事の蛭川和省さん
行政の共同参画による「東松山市ターミナルケア相談窓口」が開設予定
NPO(特定非営利活動)法人ホスピス研究会「さいどばいさいど」は、活動を始めて本年で11年目に入ります。
この間、地域の市民及び医療機関、行政等へ、ターミナルケア向上のための啓発活動として講演会の開催、東松山市教育委員会との協力によるホスピス講座の運営、その他広報誌などを通して情報の提供を行ってきました。
2004年に、東松山市の主管による、行政、医療・福祉関係、NPO、一般市民で構成された「東松山市ターミナルケア検討委員会」が設立され、昨年「東松山市に於けるターミナルケアのあり方」という答申を発表しました。
そして、次の段階として、「東松山市ターミナルケア相談窓口設置検討委員会」が東松山市保健センターの主管となり2006年7月より設立され、2007年に「東松山市ターミナルケア相談窓口」が開設される予定です。
相談窓口の内容ですが、がん患者、がん末期患者及びその家族へのサポート。必要な医療機関の選択のアドバイス。在宅医療を選択した場合の対応医療機関の選択と今後の生活全体のアドバイスとサポートなどが大まかな内容です。その中で私たちの役割は、患者及び家族の精神的サポートが中心となります。
私たちの地域を分析してみると、現在国民の3人に1人ががんで亡くなるという時代であるにもかかわらず、ターミナルケアばかりでなく、がんという病全体に対する認識や知識の薄さを感じます。
とくに、末期がんに関しては、その闘病期間が平均して6カ月~1年と短いせいか、突然訪れた嵐のようなもので、その対応方法を考える間もなく過ぎてしまい、状況に立ち向かう前に別れが来てしまうというような状況です。
また、医療機関に関しても、以前よりは改善されたものの、いまだ適切な疼痛管理がされていたのか疑問を感じる症例が多く、全人的な医療というにはほど遠い内容のものが多いと感じます。その原因の1つは、医療を受ける側の市民が健康なときに「病・老い・死」というテーマに無関心であったため、医療機関に自分自身のニーズを伝えることをせず、医療機関にすべてを依存しているところにあると思います。
相談窓口の開設にあたり、私たちNPOが担う患者及び家族の精神的サポートの具体的な内容ですが、
(1)がん患者及びがん患者を抱えた家族の会
(2)がんで家族を亡くした家族の会
(3)病・老い・死などのいのちをテーマとした学習会の運営
などが中心となります。
(1)のがん患者及びがん患者を抱えた家族の会に関しては、NPOの代表理事である蛭川和省氏自らががん体験者でもあるため力を注いでいる部分です。現在千葉県で活動しているがん患者の会、支え合う会「α」や、代表の土橋律子氏との交流などでさらに具体的なかたちを作っている最中です。
(2)のがんで家族を亡くした家族の会に関しては、地元在住の会員、現信州大学口腔外科名誉教授の小谷朗氏が中心となり「わかちあいの会」を毎月1回定期的に開催しています。
(3)の病・老い・死などのいのちをテーマとした学習会の運営は、今まで会が行ってきた学習会に加え、作家の米沢慧さんによる「米沢ゼミ」を毎月第2土曜日に定期的に開催しています。
以上の3つの項目の運営を充実させることにより、単なる相談内容のアドバイスに終わるのではなく、当事者自らが考え解答を出していくような内容になればと考えております。
また、どうしても孤立しがちな患者や家族のために”痛みを知る者”同士が楽しく交流し合うことのできる親睦会や小旅行などにも力を入れていきたいと思います。
これらの活動の根本にあるものは、上智大学教授のアルフォンス・デーケン氏が言われた「喜びをわかちあえば大きくなり、悲しみをわかちあえば小さくなる」という言葉によるもので、この活動のキーワードは「わかちあう」ことであると考えております。
今後私たちの住む町が豊かで安心できる町となるよう、地道ではありますが活動を続けていきたいと思います。
NPO法人ホスピス研究会さいどばいさいど
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