三重県乳腺患者友の会「すずらんの会」
思いを共有できる仲間と共に「幸福の再来」を
代表の徳山直子さん
人生をもう1度がんばるために
母として妻として、人生の女盛りと言われる年頃、37歳で乳がんを手術してから13年目になりました。平成7年に患者会を設立しようと、主治医と2人で仮発足、1年半ほど会員集めに奔走し、やっと10名の仲間ができて本発足させました。10年余りの時間が流れて、医療を取り巻く世の中の考え方がずいぶん変わってきたことには、深い感慨を感じます。
術後、私は再三心の苦しみを主治医に訴えました。親身に話を聴いてくださるものの、忙しい医師に申し訳なくなり、近くに同じ思いを聴いてくれる場所はないのかと思うようになりました。
「がん患者の心の苦しみには医師も看護師も太刀打ちできない、経験したもの同士が励まし合う患者会は是非とも必要と何年も思い続けた。しかし、顔や名前を公表して仲間の世話をしていこうという患者には出会えなかった」。「三重県はよく言えば穏やかなおとなしい地域、この辺りでは君が望むような患者会はないようなんだ」と主治医は話していました。
子育て年齢の私は、遠方の大きな患者会に参加することは無理でした。そこで、「無いなら作ってしまおう」ということになったのが、会の設立のいきさつです。
さて会の作り方は? 実働はいかに? 主治医が一目置く看護部長がストーマの会のお世話をされていたので、ご指導をいただいてから、医療機関を回ったり手紙を書いたり……。当時はFAXを取り付けている家庭も少なく、私はワープロがやっと打てる程度。携帯電話やインターネットメールなどまだまだ思いもよらぬ話。そんな中、精魂込めて作るA3の会報と、医療関係、教育関係の方々のバックアップで講演活動の機会を得たことが大きなアピールになりました。
術後の新入会員さんは、電話や手紙でご自分の乳がんについて語られ、医師には言いにくい話や質問をされます。薬の選択について他の会員の判断、手術は間違っていなかったのか、医療に対しての不信感・恐怖感、入院時の不満、セカンドオピニオンを求める声、夫婦、家族間の悩み、誰も取り合ってくれない心身の痛み、再発への恐怖、すでに再発をしてしまった苦悩の訴えなどを聴くうちに使命感のようなものさえ感じるようになりました。10年の間には私にも病気以外の人生の苦難が次々と降りかかり、もうやめてしまいたいと幾度も思いながら何とか乗り越えてきました。存続しているのは周囲の方々の励ましのおかげです。
総会、小旅行、新年会、食事会などの集まりに、医師や看護師、検査技師、看護師などサポーターの方々に賛助会員としてご同席いただき、問題に対処する知恵をいただいております。
難しい局面にある方には的確なアドバイスをいただけるところを探して、繋ぐ役割を私が受け持ち、癒しのための楽しい行事は数人の地域支部長の活躍を頼りにしています。また、医療機関に向けて、新たに乳がんと診断された方々を術前からフォローするとお知らせすることで、患者会の有用性、必要性を啓蒙できると考えています。
とかく患者は対医療者となりがちです。病気をした直後は自分が病気を患ったことへの怒りのような感情を医師にぶつけてしまい、闘うべきは病気そのものであることを忘れて医師との関係を悪くしてしまうケースがありますが、相互理解に一役買うのも、顔の見える範囲の小規模な患者会だからこそできる仕事と考えています。
術後、私は腕の痛みとだるさに長い間苦しみました。病院でリンパマッサージの仕方を書いたプリントをもらっても実際に施術できる人がおらず、書かれたとおりに自分でやってみましたが上手くできず、何も変わりませんでした。
私の座右の銘は、「暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう」という、中学生のころに教わった言葉です。現在は乳がん患者の経験を生かし(というのも変ですが)、勉強を重ねリンパマッサージのサロンを開いて自ら技術者をしています。当初は健常な方の疲労や痛みとり、癒し程度と始めたのですが、最近は大病をされた方や、アレルギーの方などが体質改善のためにみえたり、乳がん術後の腕のケアにみえる方があったり、病院からのオファーで、ターミナルケアに出張するようにもなりました。障害者の施設へボランティアでマッサージをしに出かける日もあります。
すずらんの花言葉は「幸福の再来」。派手さはありませんが、厳しい地で根をはり、仲間を増やし、清廉で凛とした姿を見せてくれるけなげな花。人生をもう1度がんばってみよう……この会のネーミングはここからきています。
三重県乳腺患者友の会「すずらんの会」
事務局 〒510-0829三重県四日市市城西町9-17 ミュゼ・ド・クオル内
連絡先 0593-56-5778
代表者 会長 徳山 直子
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