岩手にホスピス設置を願う会
ホスピスケアの浸透と、正しい理解を求めて
代表の川守田裕司さん
がんの痛みに苦しむことなく、自分らしく暮らすために
「たとえ大変な病気になったとしても、自分らしく暮らしたい」と願っている人は決して少なくありません。医療従事者の中でも痛みのコントロールなどを中心とする緩和ケア医療を押し進める流れは大きくなり、県内初の緩和ケア病棟も今年4月開設予定の県立磐井病院(一関市)に設置されます。
私たち「岩手にホスピス設置を願う会」は、患者が希望し、医師が認めた場合、誰もがホスピスケアを受けられるよう、岩手県内により多くのホスピスの設置を求め様々な活動を行っています。
当会では、次の3つを会の目的としています。
(1)患者あるいは家族及び関係者の希望に基づいたホスピスケア(緩和ケア)を受けることができる体制づくり
(2)がん末期などの激しい痛みや身体的苦痛、精神的不安などへの理解を医療関係者・一般市民に求め、高水準のホスピスケア(緩和ケア)の浸透
(3)ホスピス(緩和ケア)施設設置の実現及び運営のための巨額な費用と労力等、一般市民のみならず行政・医療関係者・学識経験者・マスコミなどに幅広い協力を呼びかけ、運動を推進する
具体的な事業・活動としては、医療者、患者、家族などによる緩和ケア、ホスピスケアなどに関するセミナーを2~3カ月に1回、講演会、シンポジウムを年1~2回、それぞれ開催する他、年3~4回『岩手ホスピス通信』を発行、その他に、小冊子「岩手の緩和ケアハンドブック」、県民の方々に行ったアンケート調査報告「ホスピスアンケート集計報告書」の発行も行っています。
また、ホスピス設置運動の推進として、岩手にホスピス設置を願う請願書署名活動他、県内各地により多くのホスピスケアが浸透するよう様々な活動を行っています。これまでに、岩手県知事に岩手にホスピス設置を求める請願書署名16356人分を手渡した他、岩手県議会に「岩手県での緩和ケア等の医療の充実と施設整備の促進を求める請願」を提出し、これが全会一致で可決されました。
「がん難民」という言葉に象徴される現在のがん患者を取り巻く状況は、すべて法整備やシステム改善によって解決できると考えたがん患者や家族が、厚生労働省や地方自治体に対して要望を掲げ要求する運動が全国各地で生まれてきています。(2005年秋にはがんに関する全国規模の集会が行われ、NHKでは「がん撲滅キャンペーン」を行っています)
しかし、緩和ケア外来や在宅ホスピス対応医師の圧倒的不足、大都市圏を除いた地域での施設ホスピスの不足が際立ち、今この瞬間にも日本のがん患者の多くががんの痛みに苦しんでいます。これは、現在のわが国における緩和ケアがその必要性を認識した一部の医療機関や医師の個人的情熱に支えられて各地で非体系的に行われているのみで、国家レベルでの医師への緩和ケア医療教育とそれを学習する場が確立されていないことによるものです。
このような日本の現状は、次に述べる項目の法整備をはじめ、僅かな資金でできる項目については各地域での早急な取り組みにより改善が期待されます。
・日本における緩和ケア医療専門教育、緩和ケア専門医認定制度の確立
・全国がん診療拠点病院への緩和ケア外来、地域緩和ケア支援センター、デイホスピスの設置義務化
・がん診療に携わる医師・看護師へのがん診療拠点病院における緩和ケア実習の義務化と助成金制度導入、それに伴うバックアップ医療体制の確立
・緩和ケアを学ぶ医療者への助成金制度導入
・患者・家族・医療者が一体となった緩和ケア体制の確立
・がん患者の苦痛除去のためのモルヒネなど医療用麻薬の取り扱い規制の緩和
前述のような緩和ケアの現状を改善するために、岩手にホスピス設置を願う会では、今後次のような活動を予定しています。
(1)設置される岩手県内各ホスピスへの見守りと協力(ホスピスボランティア育成講座開催)
(2)患者主体のがん全般について考える講演会・セミナーの開催
(3)医療者向けの緩和ケアに関する講演会・セミナーの開催
(4)メディアを可能な限り活用して一般への緩和ケアの認知度を高める取り組み(テレビ、ラジオ、新聞他)
(5)緩和ケアが医療現場に浸透するための具体的な制度構築の検討と厚生労働省への要望
(6)他団体への積極的活動協力を行い相互の信頼関係を深め、日本の緩和ケア推進をはかる。関係団体で連携をとれるように全国レベルでの連絡協議会の設置を検討する
(7)設置される県内ホスピス視察(県立磐井病院、河南病院)
(8)他県の緩和ケア先進事例(広島県)について視察する
(9)ホスピス設置を願う会「がんに関する相談コーナー」開設など
ご入会の受付は随時行っています。年会費は1000円(複数口可)です。その他会に関するお問い合わせも、下記事務局までお願いします。
岩手にホスピス設置を願う会
代表・川守田裕司
〒020-0883 岩手県盛岡市志家町13-31 川守田方
FAX:019-653-6447
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