ピンクのリボン
知識を深め、治療の在り方、メンタルサポートの重要性を医療側に働きかけていく

文:高橋厚子
発行:2005年8月
更新:2013年7月

  
ピンクのリボン
ピンクのリボン事務局のメンバーたち

病気に対する自分の考えをしっかり持つことが必要

患者会「ピンクのリボン」は、福島県立医科大学医学部付属病院の6F西病棟に入院していた乳がん患者たちが中心となり、「退院後も親睦を深め、お互いを励まし合える関係を続けて行きたい」と平成14年9月28日に結成いたしました。

「ピンクのリボン」という名前には、ピンク色の優しさで病気になった自分を愛しみ、病気と闘う仲間とのリボンのように結びつきを大切にしたいという願いが込められています。

現在の会員数は乳がん患者が42名、甲状腺患者が4名と大変小さな会ではありますが、私たち患者が自分の病気や治療についての知識を深めることで、治療機関や関係各位に治療の在り方、メンタルサポートの重要性を働きかけていきたいと考えています。具体的な活動内容は、次の通りです。

1.会報発行による情報の共有化と主治医とのコミュニケーション

会報は、会の行事やお知らせだけでなく、その他にも会員が必要としている情報を掲載しています。たとえば、本誌2005年4月号でご紹介がありました福島県立医科大学乳腺外科グループ主催の講習会など、各セミナーに参加させていただき、その情報をご紹介するページを設けています。参加できなかった会員に情報を提供するためです。

また、会員がそこで得た情報について質問や疑問を持ち、主治医に確認することで会話のきっかけに繋がっています。会報への掲載にあたっては誤報がないように、同病院乳腺外科の相楽浩哉先生に原稿確認のご協力をいただき、年間4、5回発行しています。

2.交流会の開催

年に1回、温泉ツアーと昼食会の場を設け、会員同士や家族の交流を図っています。会員が県内外にいますので、温泉ツアーでは、各会員のご当地巡りと称し、色々な温泉に行っています。

術後の傷や乳房がない引け目を感じることなく、会員皆でのびのびと温泉に浸かれるのが魅力です。諸事情で温泉ツアーに参加できない方から「短時間でもいいからお話しする機会がほしい」という要望があり、「お昼を食べながら楽しくお話ししましょう」と昼食会が生まれました。自由なおしゃべりの場なのでいつも笑いが絶えません。この心を自由にさせる時間が生きるための原動力であることを切に感じています。

3.悩み相談の受付

現在はIT時代と言われ、色々な情報が飛び交っておりますが、どれを信用し選択すれば良いのか困惑される方も多いのではないでしょうか? 私たちの会は、会長始め、5名の事務局員が日常生活における悩みの相談に応じる体制をとっています。事務局が判断できない専門的なご相談の場合には主治医に相談することを勧めています。

4.「学びの場」への参加

乳がん患者は手術によるリンパ節郭清により、リンパ浮腫を発症し、その後の日常生活に影響する場合が少なくありません。しかしリンパ浮腫の対処法などについては専門外という理由から、残念なことに主治医からの詳しい説明がないというのが現状でした。

実際に会員の中にもすでにリンパ浮腫を発症している方が数名おり、リンパの流れなどの基本的な知識や対処法を知る機会を得たいと本年3月に仙台医療センターでリムズ徳島クリニックの小川先生をお招きして行われたリンパ浮腫患者グループ「あすなろ会」主催の「リンパ浮腫講演会」に、ピンクのリボンも後援という形で参加させていただきました。

また、健康と生活を支える地域の仕組みについて理解を深め、地域社会に提言することを目指したヘルスケア関連団体東北地区交流会にも参加しています。

先にも述べましたように「ピンクのリボン」は本当に小さな患者会ですので、発展途上ではありますが、小さな会だからこそ会員1人ひとりの考えや意見を尊重し、同じ病気の患者同士が心置きなく集える心地よい場所の提供ができると確信しています。

私たち患者は病気になってしまったことを悩むのではなく、どのように病気と上手く付き合っていけるかを考えていくことが大切だと思います。自分はどうありたいのか、そのためにはどうしたらいいのかなど、自らの病気に対する考えを持つことが必要であると考えます。

1人で考えるには大きすぎるテーマではありますが、主治医・家族・友人の支えや協力を得ながら自分らしい生活を送るために、私たち「ピンクのリボン」は活動しています。

患者会 ピンクのリボン

会長・舟山正子
〒960-1301 福島県伊達郡飯野町大字飯野字宮平24  電話・FAX:024-561-2125

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