オレンジティ
地域に根ざした活動の中で、 女性特有のがん患者に情報の 提供と心のやすらぎを
代表の河村裕美さん
1人でも多くのがん体験者に会の存在を知ってほしい
静岡県の特産品をご存知ですか? そうです、「みかんとお茶」です。私たち「女性特有のがんのサポートグループ オレンジティ」の名前の由来はここから来ています。静岡県という地域に根ざした、顔の見えるサポートをしていきたいという気持ちが込められているんです。
オレンジティは、当初、子宮・卵巣がんの患者さんを対象に発足しましたが、乳がんの体験者(現在闘病中及び闘病後の患者を指す。以後同様)からの「一緒に参加したい!」という声を受け、現在は、女性のがん全般を対象としてサポートしています。
オレンジティが誕生したのは、2002年1月。まつばらけいさん主宰の「あいあい」のご協力の下、第1回定例会を行いました。それから2年後の2004年1月に特定非営利活動法人の認定を受け、今年の1月にやっと満3歳になりました。
3年の間に、定例会を11回開催。スタッフは15人、会員は120名と、3年で3倍になりました。年会費等の恒常的な金銭の徴収は行わず、定例会などを行ったときに、その都度、参加費をいただき、運営資金は、参加者からのカンパや助成などでまかなっています。
オレンジティでは、会員以外からも広く参加してほしいことからこのような形態を取っています。静岡県や地域自治体主催のイベントなどにも出展し、女性のがんに対する啓蒙活動なども行っています。
静岡県は、東西に長く、東部、中部、西部で医療環境や風土、地域性などが非常に違います。そのため、もっとそれぞれの地域の人たちにあった活動をしたいというスタッフからの声で、東・中・西部のそれぞれのスタッフが中心となり「おしゃべりルーム」を月1回開催し、もっと身近に体験者同士がくつろげる場を提供しています。東部おしゃべりルームが2004年4月にオープンして以来、西部、中部と静岡県の主要地域での活動が毎週どこかでされているという状況です。
3年間、オレンジティを地域に根ざしたいという気持ちで、スタッフと一緒に活動してきましたが、活動をする中で問題点も見えるようになってきました。
1番の問題点は、患者会・サポートグループの存在が、がんの体験者、家族のITスキルや置かれた環境などで情報が行き届かないということです。潜在的な需要を非常に感じてはいますが、新聞、ラジオ、雑誌などでの広報では限界があり、決まった人にしか情報が到達しないようになってきてしまうのです。今後は、患者会の存在を1人でも多くの体験者に知ってもらい、体験者が自分の目で判断し、それに参加するかどうかの選択をしてほしいと思っています。
最近、オレンジティの活動を知ったいくつかの病院から、チラシを待合室に置いたり、通院・入院者に配布することに協力してくれるという申し出を受け、さっそく置かせてもらったところ、病院から情報を得た体験者の参加が増えてきました。病院からも、好評だという知らせをいただいたので、今後も病院を訪問したりしながら、少しずつ協力者を増やしていきたいと考えています。
サポートグループを立ち上げてから、他の患者会の協力を得たり、情報交換などしてやっとオレンジティらしい活動が見えてきました。今年度は、6月4日に資生堂の協力で、がんの体験者向けのメイクアップ教室の開催や、リンパ浮腫の講習会を計画しています。
11月13日、14日には昨年の定例会で落語と講演をお願いした樋口強さんをお招きして、熱海温泉で「温泉寄席」を開催します。温泉寄席では、オレンジティ会員だけでなく全国から参加を呼びかけたいと思っています。静岡県では、伊豆地域での「かかりつけ湯」という構想を打ち出しています。オレンジティでも、全国のがんの体験者に静岡県の自然の恵みを考えた、上手に温泉とつきあい、リラックスをしながら体を癒すということを提案したいと考えています。興味のある方は、ぜひオレンジティにお問い合わせください。
私は、オレンジティのことを「できそこないのグループ」といつも紹介します。まだまだ未熟で、改善や努力が必要なところがたくさんありますが、それでもスタッフや会員の熱意がそれを補ってくれています。情報を求めるすべての人に、ほしい情報と、心のやすらぎを与えられるような会を目指して今後もがんばっていきたいと思います。
【活動情報】
定例会……3で割れる月の第1週土曜日
おしゃべりルーム……東部(第3土曜日)、中部(第1土曜日。ただし定例会のある月はお休み)、西部(第4土曜日)
NPO法人・女性特有のがんのサポートグループ オレンジティ
代表・河村裕美
〒413-8799 静岡県熱海郵便局私書箱34号
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