ブーケ
恋愛・結婚…… 若い年代のオストメイトの悩みや問題を心から話せる仲間と出会い お互いに相談できる場

文:工藤裕美子
発行:2004年10月
更新:2013年7月

  
ブーケ

充実した会報、行事、声をかけあってお茶会やランチを楽しむことも

ブーケは発足して5年になります。平成11年10月に初めての会報を発行。翌年11月には念願の初座談会を開催、そしてその後HP、会員専用メーリングリストと、少しずつ活動が広がり、関西でスタートしたブーケの会員は少しずつ増え、平成16年7月現在で会員数165名となり、全国に広がっています。

私は16年前、直腸がんのため、オストメイトになりました。術後しばらくして患者会に入会したおかげで、会員の皆さんからとてもよくしてもらい、何かにつけ泣いてばかりいた毎日から抜け出すことができました。でもまわりは両親より年上の方ばかり。20代の私の悩みや問題を相談する機会はほとんどありませんでした。ストーマケアに関することは共通していても、精神面での悩みは年代ごとで違うのだという思いが、月日が経つにつれだんだんと強くなってきていました。

そんなとき、同年代の女性のオストメイト達と出会ったのです。「若い年代のオストメイトにとって切実な『恋愛・結婚・妊娠・出産・日常生活』を中心とする悩みや問題を相談することがなかなかできない。知りたい情報をなかなか得られないし、身内や親友でも私達の体のことを本当の意味で理解してもらうことはとても難しい」と彼女達も感じていたのです。そして彼女達と平成11年、若い年代の女性オストメイトの悩みを相談しあえる場として、ブーケを発足し現在に至ります。

会員がオストメイトとなった原因疾病は6割ががんで、あとの4割はクローン病・潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患、先天性疾患など様々です。がんは病巣を摘出すれば後は、術後の治療に専念することになりますが、オストメイトとなった場合それだけではありません。術後の治療や再発の不安に加えて、“ストーマ”という厄介なものを受け入れなければなりません。予想もしなかったがんという病気、そしてさらに考えてもみなかった“ストーマ”。命が助かったという喜びの反面、腹部からの排泄という現実はとても辛く情けないものです。

ブーケでは会員それぞれがいろいろな悩みや問題を抱えています。病気のことは同じ原因疾病の会員どうし情報交換したり、またそれぞれの病気の患者会で相談したりする場合もありますが、ストーマに関しては会員みんな共通です。オストメイトはほとんどの人が、ストーマ用装具(ストーマ袋)をお腹に貼り、排泄物の管理をしています。装具はいろいろな種類があり、自分にあったものを見つけ、慣れればうまく交換できるようになります。しかし、いい装具をつけているから今までと全く同じ生活が送れるというものではありません。オストメイトになったことでの精神的ショックは大きいですし、ストーマケアもうまくいくときばかりではなく、余計に落ち込んでしまうこともあります。そんなときにわかりあえる仲間がいることは、私達にとってとても心強いことなのです。

ブーケでは、年3回の会報の発行を中心に、座談会などの行事、HP、メーリングリストなどで会員どうしの交流を深めています。会報は行事に参加することが難しい会員や、メールを利用していない会員が得る情報が少なくなることのないよう、内容のバランスを考え、読むだけでも楽しめる、元気になれる誌面作りを心がけています。

ここで、これまで掲載した記事を二つご紹介します。

「今までオストメイトとの交流がなく、一人で悩んだり落ち込んだりして過ごしていました。でもブーケの存在を知り、そこに多くの仲間がいることを知って元気百倍!! 多くの仲間と出会っていろんなことを語りあえたら……」

「食事会に参加しました。最初はちょっと緊張しましたが、さすがブーケ! すぐにうちとけて携帯の番号やアドレスを交換したりいろんな話で盛り上がったり、笑いの絶えない食事会でした。ブーケに出会ってこんなに多くの方と知り合い、楽しい時間を過ごせるなんて、1年前の私には想像もつかなかったことです……」

この他にも、会員から届くたくさんの原稿の中には、オストメイトになってからの結婚や出産の報告もあり、読む人をとても元気付けるものとなっています。

行事は主に東京・神戸で年5回開催しています。東京・神戸だけでは参加できる会員が限られてくるので、いろいろな地域での開催が今後の課題の一つです。そんな中、最近では会員どうしが声をかけあって少人数でランチやお茶会を計画して楽しんでいるとの報告がちょくちょく寄せられています。初めて会ってもそんな気がしない、体のことを気にすることなく何でも話せるブーケの集まりは、まるで同窓会や友達どうしの集まりのようで、毎回とても充実しています。行事への参加が難しい会員も、HPやメーリングリストで悩みを相談したり、アドバイスをしあったりとメールでのおしゃべりを楽しむことができます。そして、会報を読むだけで他の会員と知り合う機会がないという会員には、希望に沿って他の会員を紹介することもあります。

会員から“ブーケに出会えてよかった” “ブーケに入って元気が出た”という声がよく寄せられます。たくさんの仲間が全国にいて、みんなの経験や様々な思いを知ることで“自分ひとりじゃない”と思うだけで、とても強くなれるのではないでしょうか。ブーケでは、体のことを隠す必要なく何でも話せてお互いに理解しあえる友人に出会うことが大切だと考えています。会員には一人でも二人でもいいからそんな友人を見つけてもらいたいと思います。たくさんの仲間と、また心から話せる友人と出会えることは、オストメイトとしてこれから生きていく私達にとってとても大切なことなのです。

これからもブーケは、会員一人ひとりの 悩みや問題を少しでも解消することができ、“元気の素”となれるようがんばっていきたいと思います。

オストメイト=人工肛門、人工膀胱の保有者 ストーマ=腹部に造られた排泄口のこと

若い女性オストメイトの会 ブーケ

年会費 2000
正会員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・若い年代の女性オストメイト(49才まで)
カトレア会員<準会員> ・・・・・50才以上の女性オストメイト
ET/WOC会員・・・・・・・・・・・・ 同年代の女性として会員とともに悩みや問題を考えていただけるET/WOC
ホームページ

ET=ストーマ療法士 WOC=創傷・オストミー・失禁(WOC)認定看護師

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