Keine Sorgen!、30-40
個人と個人のつながりを、自立した患者同志の支え合いへと育てていくために

文:沖原幸江
(2003年12月号)
発行:2003年12月
更新:2013年4月

  
おきはらゆきえ

沖原幸江さん
62年東京生まれ。99年独身会社員生活を謳歌している最中に偶然がんが発見され、右肺下葉切除。肺腺がん2A期。01年より東洋英和女学院大学で、比較宗教学、神話学、心理学などを勉強中。がん患者のセルフ ヘルプグループを多数サポート中。

たくさんの「スモール・ミーティング」、そして「おしゃべり会」から

37歳で肺がんの手術を受けてから1年間、私にはがん患者の友人はおろか、顔見知りすらいませんでした。同病の患者は年配の方が多いうえに、個室に入院していたことも影響していたと思います。術後2カ月目に、たまたま本屋で手にした『ウェルネス・コミュニティー がんに克つ人、負ける人』(ハロルド・H・ベンジャミン著、読売新聞社)を読み、患者が集まって話をすることの効用を知り、漠然と、そういうことを始められないか? と考えていました。

それから1年が経ち、がん関係の雑誌に体験談を連載したことがきっかけで、おもに同年代の患者さんからメールやFAXをいただくようになりました。この「患者さんたち一人ひとりとわたし」というきわめて私的なつながりを、グループに広げたらどうなるだろうか? と考えたのが、わたしが現在主宰する「Keine Sorgen!(カイネ・ゾルゲン)」と「30-40(サーティ・フォーティ)」の始まりでした。

その後、ボランティア・スタッフをしていたキャンサーネット・ジャパン(CNJ)で「おしゃべり会」を始めました。東京で毎月、部位別の患者同士でおしゃべりする会を実施しながら、東京エリア以外でも何かできないか? と考えていました。そして生まれたのが、CNJ主催ではなく、患者の自主組織としての「おしゃべり会」でした。この10月からは、東京の「おしゃべり会」のいくつかも、自主組織として活動を始めました。今回は、これらの会を手短にご紹介したいと思います。

Keine sorgen!(独語で「心配しないで!」の意)は、肺がん患者のセルフヘルプグループ(SHG)で、02年2月に発足しました。腺がんの方がほとんどで、最初は関東近県からの参加のみでしたが、現在は、北は福島、南は佐賀の30代から70代までの男女、20名ほどのメンバーで運営されています。日常的には、メーリングリスト(e-メールをメンバー全員に一度に送信するしくみ。以降、ML)で精神的なサポートをし合ったり、情報を交換したりしています。2~3カ月に一度、オフ会(ミーティング)もあります。

30-40(サーティー・フォーティー)は、02年3月にできた、30代・40代の女性がん患者のSHGです。部位は、乳がんが最多で全体の7割と、悪性リンパ腫、子宮がん、肺がん、大腸がん、膀胱がんなどの患者数名ずつで、現在約40名のメンバーが参加しています。

メンバーの居住地域は、国内は仙台から博多の間ですが、ロンドンから参加している方もいます。この会も、MLでの精神的支え合いを活動のメインにしています。今のところ東京エリアに限定されていますが、ミーティングや食事会、旅行などの企画もあります。病気の部位はいろいろですが、年代が近い同性のため、病気のことはもちろん、自分のことや家族のことなど、プライベートな話題が多く飛び出してきます。おいしいもの、楽しいことの話題で盛り上がることもしばしばです。

この他にサポートしている会に、「神奈川ろばの耳」(神ろば)と「ろばの耳」があります。神ろばは、キャンサーネットジャパンの「再発患者のおしゃべり会」に参加していた神奈川県の患者さんが02年12月に立ち上げたSHGで、現在、乳がんの再発または初発転移の方9名と甲状腺再発の方1名がメンバーです。MLと月1回のミーティング(横浜市緑区十日市場)で交流しています。

ろばの耳は、今年の10月に立ち上がったばかりの新しいSHGで、消化器の会、前立腺の会、甲状腺の会、婦人科系の会がそれぞれ自主組織として活動しています。現在は、東京で2カ月に一度、ミーティング(田町、西大井、中野などで)を行っています。MLでの交流については、各会ごとに検討中です。

神ろば同様に、CNJの「おしゃべり会」の呼びかけでできた「ConBrio(音楽用語:いきいきと)という会にも、関わらせていただいています。この会は、関西の再発・初発転移の女性がん患者のSHGです。女性の会としては珍しく肺がんの方が多数派となっており、その他に、乳がん、膀胱がんの方が参加しています。メーリングリストと関西地域(神戸周辺)でのオフ会で支え合っています。

わたし自身の闘病体験から、肩書きや役割をはずした「素」の自分になって、患者であるわたしの気持ちを吐き出すことが、精神的立ち直りに、大変重要な役割を果たすと感じています。そのためには、同じレベルで共感し合える仲間が必要なのです。

わたしたちの会はいずれも、「自立した患者同士で精神的に支え合う会」を目指しています。

仲間とおしゃべりしたい人が最低二人いれば、どこでも「おしゃべり会」は始められます。これからは、そんな仲間を探している人たちの橋渡しをしていかれれば……、と考えているところです。

Keine Sorgen!、30-40

主宰・沖原幸江

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