こまねっと(乳がん)
仲間と深く寄り添いながら、外との幅広い連携を目指す

こまねっと運営スタッフ代表 升田理絵
発行:2012年10月
更新:2013年5月

  

升田理絵さん

「こまねっと」代表の
升田理絵さん

乳がん患者同士の交流、病気に関する知識の向上を目的に

私たち「こまねっと」の会は、患者同士の交流および病気や治療法などに関する情報交換と知識の向上を目的とし、都立駒込病院・乳腺外科で治療している乳がん患者本人を対象として、03年4月に設立されました。

当時の乳腺外科部長の戸井雅和先生(現在は京都大学医学部付属病院)のお話をもっと身近でお伺いし、その後におしゃれなランチで先生との親睦を深めたいという、いわばファンクラブ的な思いからスタートした会でした。

当初は戸井先生に加え、佐治重衡先生(現在は京都大学医学部付属病院)のご協力をいただいたものの、病院側の理解を得られるには至っておりませんでした。講演勉強会のポスターを病院内に掲示することさえ叶わず、全ての連絡を郵便とFAXに頼らざるを得ない困難な状況でした。

その後、発起人の水田麻子さん他2名はそれぞれの事情で病院を去り、05年に一旦閉会を宣言しました。しかし、それではもったいないと、いまの運営スタッフ(約10名、内6名が再発・転移患者)を中心とした私たちが引き継ぐことになり、現在に至っております。

再スタートした際には会のホームページを新たに開設し、運営スタッフの連絡網とコミュニケーションの場としてミクシィを利用し始めるなど、インフラの整備を図りました。

佐々木常雄先生(現都立駒込病院名誉院長)との座談会

佐々木常雄先生(現都立駒込病院名誉院長)との座談会

09年には、佐々木常雄先生(現都立駒込病院名誉院長)のリーダーシップのお陰で、会を取り巻く環境を大きく改善させることができました。

具体的には、病院内に「こまねっと」専用の連絡箱を設置したり、ポスターの掲載などを病院事務局に直接依頼したり、申請すれば院内の講堂も自由にお借りすることが可能になりました。病院の公式ホームページに会のブログのリンクも貼っていただきました。

さらに昨年秋には、会員の皆が熱望していた患者サロンも設営されました。発足当初からすると、夢のようなことが実現され、心より感謝しています。

それらの皆様のご支援により会員数も徐々に増加し、現在では150名を超えるほどに成長しました。しかし、規模が大きくなった反面、運営費用の不足が懸念され始めました。

こまねっとオリジナル製作のボールペンと缶バッジ

こまねっとオリジナル製作のボールペンと缶バッジ

黒井克昌先生の講演勉強会風景

黒井克昌先生の講演勉強会風景(シビックセンター・スカイホールにて)

発足当初より入会費は無料を維持しており、独自に製作販売している「こまねっと」グッズの利益で何とか凌いできたのですが、前回の講演勉強会から参加者の方々にご寄付を募らせていただいております。

なお活動実績としては、主に都立駒込病院の医療関係者による講演勉強会を21回、患者同士のおしゃべり会を7回ほど実施しております。

これまでは、院内での限定的な活動に終始しておりました。多くの患者会が全国ネット、または地域ネットで活動されているかと思いますが、私たちはいまの小さな会のほうが「かゆいところに手が届く」的な身近な存在でいられると考え、あえて外部との連携にまで手を拡げませんでした。

しかしながら最近では、外部との触れ合いの意義を強く感じ始めてもいます。09年の出来事ですが、友人からの紹介で東京医科歯科大学看護学科・看護心理学の宮本直巳教授の授業「がん患者体験記を話す」に患者側プレゼンテーターとして参加させていただく機会がありました。

これから看護師を目指す方々に自分の闘病記を話したのですが、泣きながら真剣に聞いてくださる学生に感動し、深い感銘を受けました。院内だけの狭い視野で活動し続けるよりも、そういった乳がんの治療や看護に関係される多くの方々と広く交流を進め、心で結びつくことの重要性に目覚めた貴重な経験でした。

また10年、11年と連続して日本癌治療学会学術集会のがん患者・支援者スカラーシッププログラムに参加させていただきましたが、日本中の色々な患者会、医療支援団体の方々と接することができ、外部のさまざまな状況に触れることが、いま現在を生きている患者のポジティブな刺激になることに気づかされました。

今後の課題ですが、狭く深く寄り添える小規模な会のメリット、浅いけれど広範囲な連携と刺激が得られる大規模な会のメリット、その両方をどのようにバランスよく会の運営に反映させることができるか、という点に尽きます。

運営スタッフ内で議論は深めておりますが、一朝一夕に答えは見つかりません。最初から満点は得られないと割り切り、できることを粛々と真摯に取り組んでいくしかない、と話し合っております。

途中で方向性がおかしいなと感じたらすぐに軌道修正すればよいので、外部との接点を最初から閉ざすのではなく、いつでもドアは開けた状態にしておく所存です。

歴史も浅く運営も拙い小規模な会ですが、ご興味を抱いていただけたなら、いつでもご連絡いただければ幸いです。


駒込病院 乳腺患者の会 こまねっと

〒113-8677 東京都文京区本駒込3-18-22 都立駒込病院内
こまねっと連絡箱(ポスト)都立駒込病院2階 外科受付横
Eメール: komanet_info@yahoo.co.jp
ホームページ : http://koma-net.cocolog-nifty.com/


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