急性白血病を発症。臍帯血移植後、再発。再移植は期待できないのか
67歳の母のことでご相談です。2018年3月に急性リンパ性白血病(ALL)と診断され、寛解導入療法、地固め療法を行い寛解となり、同年11月に退院。
その後、維持療法を行っていましたが、2019年11月に子宮の髄外腫瘤(腫瘤の大きさ8㎝)。その時点で骨髄検査の結果は異常なし。ビーリンサイトを2クール行ったが、腫瘤の大きさは3㎝にしかならなかった。
2020年3月にミニ移植の臍帯血(さいたいけつ)移植を行った。しかし、同年5月の採血検査で白血球201,700/μL、ブラスト(骨髄芽球)27%となり再発。オンコビンやデキサート等の抗がん薬治療を行い、現在ブラスト0%となった。
子宮に関しては現在も不正出血が続いているが、検査していないので腫瘤がどういう状態になっているのかわからない。
そこでご相談ですが、今後の治療としてどのような選択肢があるのでしょうか? 担当医からは、このままの状態が続けばベスポンサを使用するかも、という話もあります。私としてもそれはお願いしたいと思っていますが、その後が不安です。
ベスポンサだけでの根治(こんち)は難しいと本で読んだので、私としては再移植の選択肢の1つではないかと思っていますが、担当医はそれに関しては否定的な感じでした。今後、寛解状態を得られたとしても、リスクと比較して再移植はあまり効果が期待できないのでしょうか?
担当医は移植後のGVL(移植片対白血病)効果に期待して、とも話していますが、移植後に再発しているのに期待できるものでしょうか?
また子宮に関しても、再発前の話ではまだ腫瘤が残っているようなら放射線治療も検討するとのことでしたが、再発してからは放って置かれているような状態です。現在入院している病院には婦人科がないこともあり、放射線治療を勧めたのではないかとも思いますが、摘出は検討しなくても良いのでしょうか?
(43歳 女性 大阪府)
A 間隔を開けずの再移植は合併症のリスクが高い
血液内科副部長の塚田さん
67歳という年齢で臍帯血移植を受けられたということで、ご本人の全身状態(PS)も悪くなかったことと推測します。移植後2カ月程度で、残念ながら再発してしまったことを考えると、現状ではGVL効果にはあまり期待できないと思われます。
オンコビン(一般名ビンクリスチン)やデキサート(同デキサメタゾン)で骨髄芽球は0%になったとのことで、治療に対する反応性は悪くないと思われます。
ベスポンサ(同イノツズマブ オゾガマイシン)やビーリンサイト(同ブリナツモブ)も治療選択肢になるかとは思いますが、やはり移植前に残存していた子宮の髄外腫瘤への対応が必要と思われます。
放射線治療は有効であると思われますが、摘出はご本人の負担も考えると推奨されません。放射線治療で髄外腫瘤もコントロールされ、骨髄も完全寛解(CR)が維持できていれば、再移植も選択肢になるかもしれません。
ただし、67歳という年齢を考えると、初回の臍帯血移植からあまり間隔を空けずに再移植を行うことは、合併症のリスクがかなり高いと思われます。またベスポンサの投与後には、肝類洞閉塞症候群(SOS)のリスクが高くなると言われています。
ご本人の全身状態および意向を確認しながら、最善の治療を担当医と相談して下さい。