白血病治療、晩期障害が心配

回答者・長谷川大輔
聖路加国際病院小児科医幹
発行:2014年9月
更新:2014年12月

  

5歳の娘が急性リンパ性白血病(ALL)と診断され、移植はせずに化学療法を行うことになりました。子どものほうが大人よりも治療結果がよいという説明を受けましたが、治療後に体に影響が残る「晩期障害」が心配です。どのような障害が出るのでしょうか。対策はありますか?

(32歳 男性 東京都)

治療法の進歩で、リスクは少ない

聖路加国際病院小児科医幹の
長谷川大輔さん

小児がんにおける晩期障害は、親御さんをはじめ関係者の方々が心配なさるところです。今回、ご相談の白血病の場合は、治療法の進歩により、それほど大きな心配をしなくても大丈夫な時代になりました。

小児における白血病は、小児がんの約40%を占めて最も多く、小児白血病の約70%が急性リンパ性白血病、約25%は急性骨髄性白血病(AML)です。

1970年代には10%台だった小児ALLの治癒率は、今や80~90%にまで上がりました。そして、現在では一歩進んで晩期障害が起きないように治すことを目標として、治癒した後のQOL(生活の質)を損なわない治療の開発が進められています。

以前の治療では、治癒を目指すあまり、患者さん全員に強い治療をしていましたが、今は個人個人の病気の細胞の性質などに応じて治療の強さを調節し、治りやすい人には弱めの治療を、治りにくい人には強い治療を選択しようという流れにあります。また、晩期障害を起こしやすい薬剤をできるだけ少なく使うなど、慎重に治療計画を立てます。そのようなこともあり、治療を終えられた方々の多くは問題なく生活できています。この患児さんは移植をしないということですが、造血幹細胞移植を行う場合は、残念ながら現在でも晩期障害を回避することが難しいのが現実です。

放射線治療に対する考え方も変わってきました。以前は、中枢神経での再発予防をしっかりしようと、放射線の頭蓋照射をしていました。しかし、幼児期は脳が発達する時期なので大人よりも放射線治療による影響が大きいため、放射線治療を止めようというのが世界の流れです。実際に放射線治療の影響とみられる低身長や学習障害、発達障害の頻度が高い時代がありました。ALLの治療に際して放射線治療を全廃しようとする試みは日本でも行われています。そして、大切なのは小児がんが治癒した方々を長期フォローアップして、どのような問題が生じているか、QOLは維持されているかなどをチェックしていくことです。

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