グリベック、いつまで服用したらよいか

回答者:西村 美樹
千葉大学付属病院 血液内科科長
発行:2006年5月
更新:2013年12月

  

2年前に慢性骨髄性白血病を発症しました。それ以後、グリベック(一般名イマチニブ)という薬を処方してもらっています。幸い、副作用はほとんどなく、飲み続けています。いつまで、飲み続けたらよいのでしょうか。グリベックの服用後はどんな治療を受けたらよいのでしょうか。また、しばしば不安に押しつぶされそうになって、眠れないことがあります。今後の治療法と不眠の解消法についてアドバイスをお願いします。

(茨城県 女性 50歳)

A 新薬の開発状況を確かめながら、今後の治療方針を

人には46本の染色体があります。慢性骨髄性白血病の原因となるのは、9番目と22番目の染色体がつながってできたフィラデルフィア染色体上の異常遺伝子によって作られたbcr/ablタンパクです。グリベックはその異常タンパクだけに作用する薬だということはご存知だと思います。グリベックはきわめてよく効く薬で、海外の大規模な臨床試験では、42カ月の内服でフィラデルフィア染色体が消えた症例が84パーセントにもなったという結果が得られました。異常遺伝子の減り方から治療効果を予測できるのではないか、という結果も得られています。

不安になるお気持ちは当然ですが、是非これらの結果をふまえ、ご自身の治療効果はどのようなものであるかを担当の先生に確認なさることが第1歩です。

効いていない場合は、グリベックの増量や他の薬との併用などが行われています。また、次世代のグリベックというべき薬も開発され、現在国内でも2剤の治験が行われています。慢性骨髄性白血病は、最も薬の開発が進んでいる病気ですので、担当の先生から新薬の開発の進行具合やグリベックの長期成績の報告などの情報をお聞きしながら治療を進められてはいかがでしょうか。

グリベックをいつまで内服し続けるかについて結論はでていません。やむをえずグリベックを中断された患者さんのその後についての報告はありますが、まだ数が少なく、一定の傾向はありません。副作用がほとんどないとのことですから、効果があるならばそれらの報告がまとまるまでは、今後とも内服を続けることをおすすめします。

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