抗がん剤治療による、子供への影響は?
慢性骨髄性白血病のため、インターフェロンと経口の抗がん剤治療を2年ほど受けています。そんな中、少し前に妻が妊娠していることが判明しました。私がインターフェロンと抗がん剤治療を受け続けてきたことで、子供に何らかの悪影響が出ることはないのでしょうか。生まれてくる子供のことが心配です。
(愛知県 男性 32歳)
A 2004年時点では比較的安全と認識
まずインターフェロンの安全性について説明します。薬剤そのものが妊婦に使用されても安全である確証を得るのは難しいのですが、実際には使用しているのが男性であれ、女性であれ、妊娠や出産、あるいは子供に与える影響は小さく、現時点では比較的安全であると認識されています。
経口の抗がん剤は種類が不明ですが、最も可能性の高いものはハイドレア(一般名ヒドロキシカルバミド)と考えられ、ほかにはメソトレキセート(一般名メトトレキサート)、スタラシド(一般名シタラビンオクホスファート)などの可能性も考えられます。
多くの抗がん剤がそうであるように、いずれの薬剤も動物実験では奇形を生じる危険性が確認されていますし、メソトレキセートでは、実際にそれが原因になったかもしれないヒトでの奇形児の発生が報告されています。そのため、もしこれらの薬剤が妊娠中の母体に対して使用された場合には、安全であるとは言い切れません。
しかし、いずれの抗がん剤も、慢性骨髄性白血病に対するインターフェロンとの併用であれば、その使用量は少量であろうと予測されますし、これまでの総使用量もそれほどの量には達していないと予測されます。しかもこのケースでは、母親ではなく父親への使用であって、胎児に悪影響を与えている危険性は極めて低いと考えられます。奇形発生のリスクがまったくないわけではありませんが、通常の妊娠・出産に比較して、極めて高リスクともいえません。
しかし、その危険性が0ではないことから、妊娠の継続の是非を考えるには、この患者さんにとって、何人目のお子さんなのか、どの程度、子供を希望しているのかなどの要素も加えて考えてみる必要があるかもしれません。
いずれにしても、できるだけ早くに、できればハイリスク出産の受け入れ態勢が整った産婦人科での母体と胎児の精密検査を受けることが望まれます。