多発性骨髄腫。緩和ケアしかないか?

回答者・鈴木憲史
日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

昨年(2013年)7月に右足股関節に激痛があり、多発性骨髄腫と診断されました。

ボルテゾミブ、デキサメタゾン、ゾレドロン酸の治療を受けました。その後痛みは治まりましたが、10月に左腕を骨折し、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、デキサメタゾンの治療に変更されました。

さらに今年3月には、歩行困難に陥り、放射線治療とレナリドミド、デキサメタゾンの治療で歩けるようになりました。

しかし、貧血と疲れがあり、8月に「もう打つ手がない。緩和ケアをする段階」と言われました。在宅か、施設かを家族で話し合って欲しいということです。ボルテゾミブ+レナリドミドをやってみたいのですが、効果はありますか?

緩和ケアへの誘導は、医師個人の意見なのですか、病院の方針なのでしょうか。

(82歳 女性 大分県)

抵抗性が出たら 治療は難しい

日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長の鈴木憲史さん

ボルテゾミブに抵抗性が出て、レナリドミドにも抵抗性が出ているようです。臓器障害の目安として “CRAB(クラブ)” という言葉が用いられます。Cはカルシウム値の上昇、Rは腎臓の障害、Aは貧血、Bは骨の病変を意味しています。その中の貧血が出たのですね。症状としては厳しいと思います。

3次治療ということになりますが、サリドマイドとデキサメタゾンによるTD療法、さらにシクロホスファミドを加えたCTD療法があります。

さらにMPT療法というメルファランとプレドニゾロンとサリドマイドを使う治療法もあります。経口薬なのでCTD療法より負担が少ないと思います。

しかし、これらの治療を選んでも、これまでの治療歴を考えると、長い効果が望めるかということになると、難しいと思います。金銭的な負担も大きなものとなります。痛み止めをきちんと使って、残された時間を有意義に使うことも大切ではないかと思います。再発を対象にした治験に参加できればいいのですが、現在はあまり行われていません。

また、治療方針の決定ですが、医師の意見や病院の方針とは違う次元で医療界のコンセンサスとして行われます。次に打つ手がないというよりも、緩和ケアをチーム医療として捉え、治療からそちらに移行していくということです。患者さんとしては見捨てられたというような気持ちを持ってしまうかもしれませんが、病気と付き合いながら残された日をよりよく暮らしていただこうということです。緩和ケアでは、緩和ケア病棟に入ることもあるし、在宅でもあり得ます。

相談者は、進行が速いようです。そのままでも10年以上生存する人も2割ほどいる一方で、厳しい人もいます。私はMPT療法をお勧めしますが、痛み止めももらって残された時間を全うするという考えも受け入れる必要があると思います。

ボルテゾミブ=商品名ベルケイド デキサメタゾン=商品名デカドロン ゾレドロン酸=商品名ゾメタ シクロホスファミド=商品名エンドキサン レナリドミド=商品名レブラミド サリドマイド=商品名サレド メルファラン=商品名アルケラン プレドニゾロン=商品名プレドニン

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート6月 掲載記事更新!